2018年6月6日水曜日

『ピッツァ/グランデ・トラディツィオーネ・イタリアーナ』

今月の新着書籍1冊目は、『ピッツァ/グランデ・トラディツィオーネ・イタリアーナ』

スローフード出版の本です。

この出版社の本は、とても素晴らしいものばかりなのですが、欠点は、とてもアカデミックでまじめ、ということ。

この本も、料理の写真が少な目で、ちょととっつきにくいです。
でも、これだけの内容をとっつきにくいと言う理由で読まないのは、もったいない。
最初だけ、ちょっと気合を入れて読んでみましょう。
すぐに内容に没頭できます。

ピッツァの本というと、主にナポリのピッツァを取り上げる本が多いのですが、この本は、ボローニャやピエモンテのピッツェリアも取り上げています。

ナポリのピッツァイオーロとしてこの本が一押ししているのは、エンツォ・コッチャ氏。
彼は20~21世紀のナポリのピッツァを代表する人物でピッツァ作りの限界と常識の壁を取り除いた最初の人物と評価しています。
かなり早い時期からアルバの白トリュフをピッツァにのせていた人物でもあるそうです。

この本で紹介しているもう一人のナポリのピッツァイオーロは、ジーノ・ソルビッロ氏。
ピッツァは70年以上携わっている家族の仕事で、彼の父親は21人兄弟の19番目だそうです。
しかも兄弟全員ピッツァイオーロ。
これは二の句が継げないですねえ。



彼はピッツァイオーロの中でも、トッレ・デル・サラチーノのジェンナーロ・エスポジトシェフや、ドン・アルフォンソのエルネスト・イアッカリーノシェフなどとコラボをした最初の人物で、テレビやSNS という新しいメディアを利用するのが得意なようです。

ヴェローナ県には、シェフ・ピッツァイオーロという呼び方を定着させた人物の一人、シモーネ・パドアン氏がいます。
彼のピッツァは伝統のピッツァとグルメのための料理の組み合わせ。
彼の凝り性な性格も影響しているそうです。




この本は冒頭に、ピッツァはハンバーガーに勝った、という文章が出てきます。根拠は、検索するとピッツァ関連のwebページがハンバーガー関連より3倍多いから、だそうです。
ちょっと安直だとは思いますが、ピッツァは世界で一番広まっている食べ物だと言い切る自身も、大したものです。
その自身の根拠は、イタリア移民です。
外国に移民したイタリア人の数は、イタリアに住むイタリア人の数とほとんど同じで、しかも移民の子供や孫が増えれば、イタリア料理をふるさとの味とする外国人は、増える一方です。
アメリカの新聞、USAトゥデイがアメリカの若者12000人を対象に行った調査によると、24%がピッツァを一番身近な食べ物に選んだそうです。
ピッツァはアメリカにすっかり受け入れられたようです。
同じく移民が多かった国、ブラジルにも受け入れられました。

ちょっと眺めただけでも興味深いエピソードが満載の本です。
次回はリチェッタをいくつか訳してみます。



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質問、去勢鶏のチョウザメ風て、どんな料理でしょう。想像するとちょっと面白いけど、チョウザメもキャビアも一切入りません。

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