2011年7月25日月曜日

マイオルキーノ

今日はチーズの話。
『ア・ターヴォラ』の解説です。

記事で取り上げているのは、シチリアのマイオルキーノMaiorchinoというチーズです。

こんなチーズ


産地は、シチリア東部、メッシーナ県の山岳部。
羊乳がベースのペコリーノの一種で、山羊乳も加えています。
生産量がとても少ない貴重なチーズ。


このチーズには、特徴が2つあります。
1つは、ドッピア・スプルガトゥーラdoppia spurgatura、という製造方法。

“ドッピア”とは、「ダブル」という意味。
“スプルガトゥーラ”とは、「排出」という意味で、カード(凝乳)からホエイを出す作業のことを指します。
つまり、「ホエイの排出を2回行う」製法です。


↓普通、手作りのペコリーノはこのくらいのサイズで、スプルガトゥーラはこんな感じ。
(2:04からはリコッタ)





一方、マイオルキーノは直径30~35cmと、ペコリーノの中では最大級。
だからスプルガトゥーラも大変です。
↓金属の細い棒を刺して穴をあけながらながら、手で押して水分を出していきます。






忍耐が必要な、ローテクのチーズ造り。
その辺りが、とても高く評価されています。


このチーズのもう1つの特徴は、チーズ転がしレース。

産地のノヴァーラ・ディ・シチーリアNovara di Siciliaという町で、毎年カーニバルの時期に行われる伝統的なレースです。
町の中で、1.5kmに渡ってマイオルキーノを転がして、その速さを競うというもの。
数週間かけて予選を行うほど人気のある行事です。


↓今年は、日本の芸人さんが参加したようですね。





なかなか面白そうなレースですねえ。

数が少なくて評価の高いマイオルキーノ。
遭遇したら、ぜひ味見を。


-------------------------------------------------------

関連誌;『ア・ターヴォラ』2008年2月号
“マイオルキーノ”の記事は、「総合解説」'08&'09年2月号に載っています。

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

0 件のコメント:

トンカ豆はバニラの代用品として世に出ましたが、最近の日本のある出来事にそっくりの事実から使用が禁止されました。

きのうはオーストラリアのフィンガーライムとか、聞いたことないフルーツを紹介しましたが、(CIR1月号P.5)の料理で一番謎だったのは、fave tonkaです。 始めて聞いた名前です。いったい何なのか、想像もできません。 ドイツで行われたアイスクリームのワークショップでトンカ豆に...