今月の地方料理はプーリアの“bombette”です。
ボンベッテ?
ミニ爆弾?
聞いたことないなあ、と思ってプーリア料理の本を調べてみましたが、どこにも載っていません。
『サーレ・エ・ペペ』の記事によると、ストリートフードから生まれた肉屋の惣菜らしいので、ストリートフードを調べてみたら、『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』にとても面白い話が載っていました。
多分、プーリアに住んでいる皆さま以外は、見たことも聞いたこともないイタリア料理だと思いますが、そもそも、プーリアのイトリアの谷(アルベロベッロ近くのロコロトンドやマルティーナ・フランカあたり)などにあった伝統、肉屋が店の横に厨房を作って、そこで肉を調理して売っていたという習慣がベースになっています。
イトリアの谷
↓
この地方の店内で肉を焼いて売っている肉屋、fornello pronto
↓
40年ほど前、マルティーナ・フランカのある肉屋が、炭焼き総菜の中に“ボンベッテ”というメニューを加えました。これが始まりです。
ボンベッテ
↓
豚の肩ロースでカネストラートなどの地元の食材を包んで串焼きにしたものです。
この料理がスローフードのイトリアの谷担当者の目に留まり、大々的なプロモーション活動が始まったのです。
それは、スローフードが参加する食のイベントの場で披露する、というものでした。
こうしてマルティーナ・フランカのお肉屋さんのメニューは、たちまち全国区になり、国際的になったのでした。
そして今ではプーリアの地方料理として認知されつつあります。
なんとも現代的な地方料理の誕生物語ですね。
現代のヒット商品は、すぐにコピーが出回ってえげつないことになりますが、この料理は珍ししくルーツがはっきりしています。
この料理を広めるのに貢献した人々。
↓
-------------------------------------------------------
“ボンベッテ”の記事の日本語訳は「総合解説」2015年8月号に載っています。
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
2017年12月15日金曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
イタリアワインの歴史を“ワインと階級”をキーワードで読み解く。農民のワイン、貴族のワイン、中産階級のワインはその誕生の背景からして全然違う。
(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)は、昔は「統合解説」という名前でした。多くのイタリア料理雑誌を訳していたので、こんな変な名前になってしまいましたが、長い年月を経て、取り扱い雑誌が変わるなどの変化もあり、結局、イタリアの地方料理に特化しした内容にすると決めて、名前も...
-
今日は、イタリア料理業界の最先端とは無縁の地方の村を紹介します。 ずばり、バジリカータのポッリーノ国立公園です。 イタリア人でさえ、よく知らないというバジリカータの、国立公園の、標高1000m以上の山の中にあるド田舎、もとい、大自然に囲まれた古くて素晴らしい集落です。 ...
-
グラナ・パダーノの話、その2です。 イタリアで流通しているハードチーズの50%近くを占めるグラナ・パダーノ(AC Nielsen調べ)。 2008年の生産量は、435万5347個でした。 平均的な販売価格は11.05ユーロ/㎏。 イタリアの硬質チーズの平均価格は12.70ユーロな...
-
今日のお題は豚肉のリブロースのグリルです。 イタリアで子羊肉のアッロスティチーニが大流行している様子を見るにつけ、羊飼いのいない日本ではなあ・・・、と思うのですが、子羊以外にも炭焼きグリルにすると美味しい肉、もちろんあります。 イタリアのバーべキューの定番は、豚肉のコスティーネ、...

0 件のコメント:
コメントを投稿