今日からは、新しい「総合解説」13/14年8月号のビジュアル解説です。
まず最初の定番地方料理は、ヴィテッロ・トンナート。
ピエモンテの、というかイタリアの代表的な夏の料理ですが、この料理の背景には、意外と深いイタリアの食生活の真の姿がありました。
まずこの料理、なかなか特殊なものでした。
子牛とマグロというその名の通り、肉と魚の組み合わせ。
しかも北イタリアの海のないピエモンテで、マグロ料理とは。
マグロはピエモンテ人にとって、どう考えても珍味です。
この料理は、近代イタリア料理の父、ペッレグリーノ・アルトゥージが19世紀末に出版した本、『La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene』のリチェッタがイタリアに広まりました。
極東で魚を食べている国民からすると、ヨーロッパ人は、普段は肉ばかり食べていそうなイメージですが、『クチーナ・イタリアーナ』の記事によると、19世紀のイタリアの庶民にとって、肉はまだ特別な機会に食べるもので、食べたとしても、内臓などの質素な部位が中心だったそうです。
ただ、16世紀以降、ピエモンテには牛肉がたっぷりあり、他の地方よりは食べる機会が多かったようです。
それにしても、問題はマグロです。
中世には現在よりマグロの数自体は多かったし、トスカーナあたりでもマグロが捕れました。
しかも、クロマグロ。
マッタンツァと呼ばれる、現在はマグロとともにほぼ消滅した原始的な漁で捕ったクロマグロの中トロを、塩漬けや干物にして、金持ちの北イタリアの領主様の食糧庫まで届けたのです。
料理にはバッカラのように戻して使いました。
まだ、ツナ缶はない時代です。
ヴィテッロ・トンナートは、子牛とマグロという高級珍味を使った、貴族のための料理だったんですね。
それが、19世紀になってマグロのオイル漬けが出回るようになり、アルトゥージの本によってリチェッタも広まって、庶民も食べることができる料理になっていった訳です。
貴族料理としてのヴィテッロ・トンナートを食べてみたかったら、クロマグロの中トロのオイル漬けあたりを使ってみるということですね。
サルデーニャ産クロマグロの中トロのオイル漬けは、300g1800円ぐらいで販売されています。
逆に一番現代的にしたかったらマヨネーズを加えます。
もちろん伝統的なヴィテッロ・トンナートにマヨネーズは入りません。
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“ヴィテッロ・トンナート”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年8月号に載っています。
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2 件のコメント:
トンナート、最初は肉に魚のソースと思いましたが、美味しかったです、シェフがユウモア混じりに教えてくれました、最初は余りイタリア語が分からない私ですから大声で言ってました、年配の方に言っているような感じでした(笑)、
アイフォーンをタイマーにするとは現代的ですね^ ^
私も良く作ります、ケッパーがアクセントですよね。
Vittorioさん
イタリア語が分からなくても、伝わるものなんですね。
大声で教えてくれるシェフ、優ししいけど、ちょっと笑えるなあ。
この料理はピエモンテ地方ではフランス語風にヴィテル・トンネとも呼ぶのですが、よく考えればフランス語で子牛はヴォー。
なんちゃてフランス語なんですね。
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