今日はプーリア風フォカッチャの話。
でもその前に、そもそもフォカッチャとは何、という大問題があります。
とても基本的な問題ですが、わざわざ考えるでもなく、なんとなくわかっているのでスルーしてきたようなこの話題。
取り上げると、多分大変なことになるだろうなあとは思いますが、いい機会なので、スッキリさせるためにも、ちょっと調べてみよう、と思いたった今日この頃です。
スローフードのとても役に立つ本、“スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズに、『パーネ・ピッツェ・エ・フォカッチャ』という本があります。
今日は、この本から、フォカッチャの部分を訳してみます。
まず大前提。
フォカッチャは、パンです、よね。
この本では、フォカッチャはパンの一種ですが、ピッツァと同じように、パンの中でも独特の種類に分類しています。
フォカッチャの語源はfocus。
火の上で焼いたものという意味の古代の食べ物を意味しているようです。
一方、ピッツァの語源は様々な説がありますが、pinzaやpitta。
南伊の中世ラテン語で、紀元1000年以前にはフォカッチャという意味でも使われていました。
という訳で、フォカッチャとピッツァは、限りなくよく似た食べ物だったようです。
薄く伸ばしたパン生地をかまどで焼いたものです。
ヨーロッパやアジア全域に同様の食べ物が普及していました。
熱くて汁の多い料理から指を守るために、パン生地を薄く伸ばして皿として使ったのです。
なるほど、これが、パンからフォカッチャやピッツァへと進化した理由なのですね。
そしてさらに、各種の具や調味料を加えてリッチにするという形で、イタリア各地で独自に進化していきます。
農村部では、サラミや肉の煮込みなどのリッチな具をはさんで食事にするようになりました。
リグーリアのフォカッチャは、軟質小麦粉の発酵生地をオリーブオイルと塩で調味しました。
甘いバージョンもある中部イタリアのスキアッチャータ。
ドーナッツ形で具入りのカラブリアのピッタ。
ピッツァは、中~南イタリアの代表的なフォカッチャ。
こうやってみると、ピッツァもフォカッチャもルーツはパンですが、ピッツァは具をトッピングする方法に進化して、フォカッチャは具を生地に混ぜ込んだりはさむ形に進化したんですね。
でも、『スクオラ・ディ・クチーナ』によると、フォカッチャは、平らに伸ばして熱した石にのせて焼く、という簡単な方法で作ることができるところから、パンより前に、つまり発酵やオーブンの発明の前に存在した、という説もあるそです。
ピアディーナのように発酵させないで鉄板や陶器で焼く平らなパンもあります。
皿として使って最後には食べてしまうのにはぴったりですね。
パンが先か、フォカッチャが先か、簡単には結論は出ない問題ですが、リグーリア(ジェノヴァ)のフォカッチャやスキアッチャータ以外にも、プーリアのフォカッチャは、フォカッチャの一大グループの一つです。
この話は次回に。
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“フォカッチャ・プリエーゼ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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2016年7月28日木曜日
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2 件のコメント:
なるほどそういうことだっんですね、
いろいろなフォカッチャがあるんですね、私も作ってみます、
ピアディーナはよく食べてました、最初はこれは何だろうと思いました。
Vittorioさん
ピアディーナは、発酵させずに、オーブンも使わないでできるパンで
かなり原始的な食べ物ですよね。
でも美味しいし、チーズや生ハムと相性いいし。
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