2016年2月25日木曜日
トマトのリコピン
今日はトマトの話。
元ネタは、『ヴィエ・デル・グスト』誌です。
トマトはイタリア料理を象徴する食材だけあって、「総合解説」でも、これまで何度も取り上げてきました。
新大陸からやってきて、19世紀後半にフランチェスコ・チリオによって最初のトマト缶が造られたのをきっかけに世界中に広まり、今やイタリア経済にとっても重要な産物となったトマト。
イタリアで最も消費量の多い野菜はトマトだそうです。
こんなトマト大国で、グルメ情報誌がグルメなイタリア人向けに書いたトマトの記事とは、どんな内容なのでしょう。
今回のトマトの記事のテーマは“リコピン”です。
トマトの栄養価を話題にするとき、日本でも、リコピンは避けて通れないですよね。
リコピン、どこがで聞いたことあるような~、程度でしたが、イタリア料理を作る人なら知っておいて損はないものだったのですね。
まず何よりも、リコピンは、トマトの赤い色の元、カロテノイドのこと。
トマトの最大の魅力、赤い色を作る色素なんです。
さらに、トマトを煮たトマトソースには、生のトマトの5倍のリコピンが含まれています。
加熱することで細胞からリコピンが放出されて、消化吸収されやすくなるのです。
さらにさらに、リコピンは脂溶性なので、エキストラバージンオイルなど少量の脂肪分があれば、効果はさらに増します。
さすがはイタリア人。
だから、トマトソースを使ったパスタやピッツァは、美味しいだけでなく、ヘルシーな料理でもあるのだと、誇らしげにまとめています。
そこで問題になるのが、リコピンにはどんな効果があるのか、ということ。
リコピンの効能を説明する動画
↓
カンクロという言葉を何度も言ってましたね。
カンクロはイタリア語で癌のことです。
記事でも、リコピンの働きについての調査や研究はまだ未確定の仮説が多い、と前置きされていますが、かなり広まっているのが、抗酸化作用がある、という説。
細胞を掃除したり、ダメージを与える不安定な分子に効果がある、言い換えれば、腫瘍の肥大を抑制する効果がある、という説が、イタリアでも日本でも、かなり信じられているようです。
ちなみにこの記事を提供したのはウンベルト・ヴェロネージ財団。
2003年に設立された癌や心臓病の医師や研究者支援のための機関です。
リコピンはサプリメントから得られるものではなく、自然の食べ物からのみ得られるのだそうです。
生、パッサータ、濃縮などどんな形でも、含まれています。
特に日当たりのよい場所で栽培されて6月に収穫したトマト(イタリアの場合)には、リコピンが大量に含まれている、ということまで分かっているのですよ。
トマトを育てている人は、トマトを赤くすることに、十分価値を見出していると思いますが、真っ赤に熟したトマトの栄養価は、なかなか素晴らしいものだったのですねー。
この記事を訳して以来、トマトソースへのリスペクト度が大幅に上がりましたよー。
とにかく意外なことに、リコピンの効能は、まだ確定していないので、さらなる研究が待たれている状態なのですね。
今日はトマトソースたっぷり作りたい気分です。
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“トマト”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年4月号に載っています。
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