今日はピエモンテの詰め物入りパスタ、アニョロッティ・デル・プリンの話。
この料理、プリンという響きの可愛さに、ついついプリンという料理として覚えてしまいますが、プリンとは、つまんで閉じるという製法のこと。
トルテッリーニの話題の時にも出ましたが、詰め物入りパスタの中でもドッピア・キウズーラと呼ばれる製法のパスタです。
だから、アニョロッティじゃなくても、つまんで閉じているなら、“ラヴィオリ・デル・プリン”といった風にも使えます。
逆に言えば、プリンじゃない閉じ方をしたアニョロッティは、ただのアニョロッティとなる訳ですねー。
ピエモンテ以外でプリンという閉じ方をしたパスタは聞いたことがないので、ただ単純に、詰め物の間をつまんで閉じれば、ピエモンテ風詰め物入りパスタの出来上がり。
ラヴィオリ・デル・プリン
↓
では、プリンという言葉とセットになっているパスタ、アニョロッティ。
プリンで閉じないただのアニョロッティは、カッターで切り分けるので、四角いパスタになります。
これは、ラヴィオリとどう違うのか。
そこが問題。
どうやら、詰め物に特徴がある、というのが公式の見解のようです。
公式って何かというと、ピエモンテ州です。
ピエモンテ州はパスタ・フレスカに関して、パスタのルーツから考察したこんな立派な公式見解(こちら)まで発表しています。
ピエモンテに、州が公式見解発表するほどのパスタ文化があったのか、とも思いますが。
ピエモンテのパスタというと、タヤリンとアニョロッティ・デル・プリンぐらいしか思い浮かびませんが、アニョロッティ・デル・プリンの生い立ちを熱く語っている部分を読むと、軽く見ていてすみませんでしたーという気分になります。
それでは、その部分を訳してみます。
「かつて人気を博していた料理人が、アニョロッティは典型的な月曜日の料理だ、と書いた。
日曜日の残りの肉と野菜をリサイクルした料理だからだ。
確かに、残り物を使った料理だが、残り物はあらゆる料理に使った。
しかし、アニョロッティは単なるリサイクル料理ではない。
ピエモンテでは、アニョロッティは常に大切な食事の主役だった。
ロースト肉、スパイス、パスタ・フレスカ、ソースのコクが一体となった香りと味が、目出度い宴席の賑やかなイメージと結びついた華やかな料理なのだ。
アニョロッティがクリスマスのご馳走の代名詞になっているのも偶然ではない。
前菜で食欲が刺激された後に登場して歓声で迎えられる料理なのだ。
昔のような大家族は珍しくなって、おばあちゃんや親戚のおばちゃんたちがかまどの前で腕を振るえる機会も減ったが、それでもアニョロッティは特別だ。
女の子にとって、この中に加わるのは料理の秘訣を体験する第一歩で、経験を積めば、材料を混ぜるのが上手になるだけでなく、美食文化を身を以て吸収することができる・・・」
さらに話はアニョロッティの形の話題へと続いていきます。
なんと、アニョロツティはピエモンテの栗の蜂蜜色の髪をした23歳の美女だとか言った元首相までいたそうです。
ちなみに、アンジェリーナ・ジョリーの髪は栗の蜂蜜色らしい。
どうやらピエモンテ人のアニョロッティ愛は、かなり深いようで、調べればどんどん出てきます。
次回はリチェッタでも。
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“アニョロッティ・デル・プリン”の記事は、「総合解説」2012年12月号に載っています。
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