北の水牛の話の続きです。
モッツァレッラ・ディ・ブーファラ
水牛の飼育はイタリア南部の伝統。
でも、現在水牛はイタリア各地で飼育されています。
現在、カンパーニアではイタリアの水牛の約80%が飼育されているそうです。
それに次いで多いのは、ラツィオ、シチリア、そしてなんとロンバルディア。
ロンバルディアには、2004年9月の時点で5,369頭の水牛が登録されています。
(by A.N.A.S.B.)
伝統のない北イタリアで水牛を飼育することに、いったいどんなメリットがあるのでしょうか。
それが前回示した疑問でした。
まずは、モッツァレッラに限定して考えてみましょうか。
北イタリアで水牛のモッツァレッラを作ることには、1つ、大きなメリットがあります。
それは、カンパーニアのDOPの規定に従う必要がない、ということです。
モッツァレッラ・ディ・ブーファラ・カンパーナDOPは、原材料や製造方法がEUの規定によって細かく定められています。
当然、それを守ると、それなりの値段で限られた量のモッツァレッラしかできません。
ところが、カンパーニア以外ならなんの制約もないので、DOPのお墨付きはない代わりに、もっと安いモッツァレッラを大量に作ることが可能です。
カンパーニアというブランドは、イタリア国内やEU内では知名度がありますが、世界市場ではまだまだ無名です。
一方、カンパーニア以外で作った水牛のモッツァレッラでも、イタリア産、というブランドがあれば世界市場では有利です。
さらにもう1つ、水牛を飼育するメリットがあります。
現在EUでは、供給過剰による価格の下落を防ぐために、牛乳の生産を割当制にして制限しています。
でも、水牛には制限がありません。
いくらでも生産することができます。
考えれば考えるほど、北イタリアの現代的で資本力のある農業は、大量生産のモッツァレッラ作りには適しているように思えます。
モッツァレッラ・ディ・ブーファラ・カンパーナDOPのwebページ(こちら)では、DOPのカンパーニア産モッツァレッラ・ディ・ブーファラと、DOPでない、ただのモッツァレッラ・ディ・ブーファラの違いについて、歴史と伝統を強調しながら、とにかくやっきになって説明しています。
確かに、北イタリア産の水牛のモッツァレッラは、伝統、本物、という切り口では、カンパーニア産にはかないません。
でも、モッツァレッラ以外のチーズならどうでしょう。
北の水牛の話、次回に続きます。
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