今日はワインの話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の解説です。
今日取り上げるのは、パッシートワイン。
パッシートとは、干して糖分を凝縮させたぶどうから造るワイン。
甘口と辛口があります。
甘口の代表的なパッシートは、パッシート・ディ・パンテッレリーアやヴィン・サントなど。
他にも様々なものがあります。
辛口のパッシートの代表格は、アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ。
これ以外にはほとんどありません。
ヴィン・サント用ぶどうの天日干し, photo by Chris P.
パッシートワインを造るために8ヶ月間棚で干したマルヴァジーア。
このパッシートワインの格付け本が、2008年に『クチーナ・エ・ヴィーニ』から出版されました。
『パッシーティ・ディ・イタリア』という本です。
現在は2009年版が発売されています。
2008年版で、甘口、辛口、両方の中から、最優秀の「最も感動的なパッシート」に選ばれたのが、
「コッリーネ・ペスカレージIGT・“クレマティス”2002」
というワイン。
こう書くと全然ピンとこないですが、分かりやすく言うと、モンテプルチャーノ・ダブルッツォのパッシートです。
赤の甘口。
しかもモンテプルチャーノ・ダブルッツォの甘口です。
モンテプルチャーノは、サンジョヴェーゼと並んで中部イタリアの2大ぶどう品種の1つ。
その特徴は、多様性です。
上質な赤、手頃な赤、ロゼ、白、スプマンテと、何にでもなります。
当然、甘口ワインも・・・、と思うところですが、これがそうでもないようです。
モンテプルチャーノは、ポリフェノールが豊富で厚いタンニンのあるぶどう。
タンニンの多いぶどうから甘口ワインを造るのは、かなり大変なことなんだそうです。
タンニンの多いぶどうから造られるパッシートの甘口ワインというと、伝統的なものでは、モンテファルコ・サグランティーノ・パッシートあたりがありますが、他にはあまりありません。
アブルッツォでモンテプルチャーノのパッシートが造られるようになったのは、比較的最近のこと。
どの造り手も、試行錯誤を繰り返しながらチャレンジしているようです。
2008年の最優秀パッシートに選ばれた“クレマティス”も例外ではありません。
完成するまでに10年以上かかったそうです。
モンテプルチャーノのパッシートの話、次回に続きます。
-------------------------------------------------------
関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年3月号
“モンテプルチャーノ・ダブルッツォ・パッシート”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年3月号、P.38に載っています。
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
登録:
コメントの投稿 (Atom)
キャビアはしばらく見ないうちにずいぶん種類が増えてました。
(CIR12月号)の話、今日はクリスマスにふさわしいゴージャスな食材、キャビアとトリュフの話です。 カスピ海のチョウザメの 卵を初めて塩漬けにしたのは、2千年前のペルシャ人だと言われています。それをロシアの皇帝が輸入して宮廷に取り入れたところ、キャビアは黒い金と呼ばれる高級品と...
-
グラナ・パダーノの話、その2です。 イタリアで流通しているハードチーズの50%近くを占めるグラナ・パダーノ(AC Nielsen調べ)。 2008年の生産量は、435万5347個でした。 平均的な販売価格は11.05ユーロ/㎏。 イタリアの硬質チーズの平均価格は12.70ユーロな...
-
(CIR)2月号の“ゆでないパスタ”というのは、たっぷりの沸騰した熱湯にパスタを入れて常に沸騰させながらゆでる、といういわゆる伝統的と呼ばれる昔ながらの方法でパスタをゆでない方法です。 プロの技を駆使しながらゆでないでパスタを加熱する方法を取り上げたのがこの記事です。 その一つが...
-
今日のお題はプリーモピアット。今月の「 総合解説 」P.5の料理です。 スパゲッティなんですが、料理名がやたらカッコイイ。 “アサシンのスパゲッティspaghetti all'asssassina”だって。 初めて聞きました。 聞いたこともない料理だったのに、逆にnetに...
4 件のコメント:
この前飲んだものの写真を見直したら、Di Bacco MOSTO COTTO Montepulciano d'Abruzzoとなっていました。これはパッシートとは違いますよね。ちなみにピッツァ・ドルチェ・アブルッツェーゼは、盛り合わせで向こうが勝手にチョイスしてきたもので、自らつっこんでいったものではありません(笑)。まあ、地方料理が好きというのは、お店の人にも十分バレていたとは思いますが。その後運ばれて来たのが、これ。お店のサービスのようでした(勘定についていなかった)。ちなみにこの店、ヴァレンチーニのエキストラバージンをボンとテーブルに置いていくんです。水はレストラン内の蛇口から汲む(汲むところも見せる)というすごい店でした。
パッシートは凝縮されて、果実が豊富ですよね、私も個人で何種類か持っているんですが、特別な日に機会があればと思うんですが、なかなか飲めません(笑)
画像の右のマァジのアマローネ、クラシコだったらウチでお出しているのと同じです(笑)、お客様のご要望で色々探しました(笑)
くるりさん
アブルッツォには、果汁を煮詰めて甘くするヴィーノ・コットがありますねー。
古代ローマの貴族は、これを食後に飲んでいたんだそうですよ。
私もいつか飲んでみたい~。
ドルチェといい、アブルッツォははまってみるとすごく面白そうな所ですね。
蛇口の水ですか!
そういうディープな店、くるりさんの大好物ですよねー(笑)
Vittorioさん
私も食後にパッシートを飲みたいんですが、日本のレストランではあまりの高さにいつも断念して、代わりにおやじくさくアマーロ飲んでます(涙)。
写真のは、マージのコスタセーラ・アマローネ・クラッシコですね。
リクエストがあったんですか。
いいなあ。飲みたいなあ。
コメントを投稿