今日はドルチェの話。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。
どう見てもイタリアのドルチェらしくない名前のパイ菓子、ストゥルーデル strudel 。
ストゥルーデル, photo by pandemia
まあ、これがオーストリアから伝わったドルチェだということは、イタリア人でも異存はないですよね。
でも今ではすっかりイタリアの中に溶け込んで、立派な伝統料理の一つ。
オーストリアのstrudelとイタリアのstrudelを見分けるポイントの一つは、発音ですかねえ。
ドイツ語だと“シュトゥルーデル”で、イタリア語だと“ストゥルーデル”。
ついでに英語だと“ストゥルードル”。
イタリアの中でもストゥルーデルが地元の定番ドルチェとして定着しているのは、昔、オーストリア=ハンガリー帝国の一部だった地域で、特にりんごの産地。
トレンティーノ・アルト=アディジェ、ヴェネト、フリウリ・ヴェネチア・ジューリアのあたりです。
今ではイタリア中に広まっているストゥルーデルですが、“ストゥルーデル”ってどういう意味か、知ってました?
正確には、ドイツ語の“シュトゥルーデル”の意味ですね。
「渦巻き」とか「ぐるぐる巻き」っていう意味なんですねー。
最近節分の時期に人気の「恵方巻き」なんて、さしずめ、寿司版ストゥルーデル。
そしてさらに、「ストゥルーデルのルーツはオーストリア」ではなかったんですねー。
知らなかったなあ。
なんとトルコだったとは。
これがストゥルーデルの元祖、トルコのバクラヴァ。
バクラヴァ, photo by Scott MacLeod Liddle
オーストリアで売られていたバクラヴァ
バクラヴァがどんな菓子かと説明すると長い話になるので、詳しくはWikiの説明をご覧ください。
これがどうしてオーストリアの名物菓子に生まれ変わったかと言うと、16世紀に、トルコのスルタンがハンガリーやウイーンに攻め込んで、一時占領したことがあったからなんですねー。
結局、スルタンはウイーンを手に入れることはできなかったけれど、スルタンと一緒にやってきたバクラヴァの方はウイーンを手に入れてしまった、というか、逆にウイーンの方がバクラヴァに夢中になって、自分のものにしてしまったという感じでしょうか。
バクラヴァは「木の実」という意味の言葉が語源だそうですが、その名の通り、詰め物はくるみやピスタチオ、アーモンドなどのナッツ類が主体。
オーストリアの人たちは、ナッツ類よりもっと自分たちに身近な食材、りんごを使ってシュトゥルーデルを作ったわけですね。
生地も、バクラヴァは薄~いフィロ生地を何枚も重ねますが、シュトゥルーデル生地はもう少し厚め。
見事に中央ヨーロッパのお菓子に生まれ変わりましたね。
そしてさらに、イタリアだけでなく世界中に広まって、りんご以外の各地の様々な食材を使ったストゥルーデルが作りだされている訳ですねえ。
スペックとチーズのストゥルーデル
(マスタードと蜂蜜を混ぜてパイ生地に塗り、スペックとスライスチーズで覆って巻いて白ごまを散らす)
今日のおまけ
5分で作るりんごのストゥルーデル
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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』'06年11月号(クレアパッソで販売中)
“りんごのストゥルーデル”の解説は「総合解説」'06&'07年11月号、P.14に載っています。
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3 件のコメント:
アッフェル・ストゥルーデルはよく作りました。私が作っていたストゥルーデルはフィロ生地のように手のコウで薄く畳み一畳位に伸ばしてました。デリケートな生地で慣れないとすぐ生地をやぶってしまいます。
動画のように折パイ生地で代用しているお店もありました。折パイ生地の出来上がりはカットしないままだと、オオサンショウウオのようになってしまいますけど(笑)、
そういえばルイジ達のprezzemoloさん翻訳されたtorta Sette・veri完成しました。
ウチの田舎の地域からしたら少しカカオ分が多いように思いますが、とても人気があります、ルイジのリチェッタかどうかわかりませんが、ルイジのリチェッタは日本に帰って来てもそのまま直さないで使えました、
パティシエではルイジの他にdanilo・freguja氏、料理人ではgiorgio・nardelli氏の友人がいます。ダニィーロのリチェッタの場合は砂糖を減らさないと駄目でした。
私も遠い昔、ルイジとは別の大会でイタリア代表として参加させて頂きました、日本に勝って複雑な心境だったのを覚えています。
私はイタリアに働いていながら、お恥ずかしい話La cucina italianaの本を知りませんでした、フランスで言えば、La bonne cuisineのような感じなんですね、La cucina italianaはきいたことありましたが、本だとは知りませんでした、
今、私の店がある地域はまったくヨーロッパとは関係ない地域です、prezzemoloさんのブログを読んでイタリアに浸っている今日この頃です。もっと見たいのですが、多忙な為、パソコンを一日30分しか出来ません、残念です。また楽しみです。
追加です、PASTICCERIAの取材は受けたことがありました。
Vittorioさん
ストゥルーデルの生地、たたみ一畳分に伸ばすんですか。器用な人じゃないとできない!
折りパイじゃない生地のストゥルーデルは、手間がかかってる分おいしそうですねえ。
トルタ・セッテ・ヴェーリ完成、お疲れ様でーす。食べたい~。
ドルチェのリチェッタは、配合がちょっと違うと仕上がりが大分違うものなんですね。何度も試作を繰り返すパティシエのみなさんは、きっとまめな性格なんだろうなあと常々尊敬してます。
え、イタリア代表ですか!さりげなくそんなこと言って、ちょっとすごすぎですよ、なんですかそれ~。
FregujaさんもNardelliさんもイタリア料理界の大御所のようだし。
まったく、Vittorioさんの話はビックリすることが次々に出てきますねえ。
次は何が出るか、楽しみにしてますよー(笑)
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