2009年2月19日木曜日

バレンタインデーの故郷テルニ市と聖ヴァレンティーノ

今日は久しぶりにポモドーロさんからのイタリア便りです。
----------------------------------------------


2月14日はバレンタインデーでした。 
そこで、そのゆかりの地、テルニ市とその保護聖人 聖ヴァレンティーノを紹介します。


テルニ市はウンブリア州テルニ県の県庁所在地。
ローマから北の内陸部に向かって120キロの所に位置します。

ローマ帝国の重要拠点として発達、近代には豊富な水資源を用いて鉄鋼の街として栄えた為、第2次世界大戦では爆撃によって大きな被害を蒙りました。 
その為、歴史ある町であるにもかかわらず、町は近代的な様相を見せています。

この街の保護聖人が、バレンタインデーの元となった聖ヴァレンティーノです。


サン・ヴァレンティーノは3世紀に生きたテルニの司教で、ローマの元老院によって迫害され、273年2月14日殉死しました。 

恋人達の守護神となる伝説は色々あります。

その一つは、 聖人は異教徒のレギオン兵士とキリスト教者の娘の結婚を祝福したと伝えられている為。

また、サン・ヴァレンティーノ教会のパンフレットによると、サン・ヴァレンティーノは教会を訪れる若者に庭に咲く花を贈る習慣がありました。
その中の若い二人の間に愛が芽生え、この司教のもとで結婚します。
彼らはとっても幸福だったことから、多くのカップルが司教の祝福を受けて結婚したいと申し出るようになりました。
あまりの要望に、1年に一回、日を決めて結婚の祝福をするようになりました。 

テルニの民間伝承では、ケンカばかりしていた夫婦が司教のお陰で和解し、その後はずっと仲良くらしたのを知って、多くの人が司教の祝福を受けたいと申し出るようになった、という事です。

伝説はそれとして、このタイトルを与えられた真の理由は、司教の温かい人間性の表れであり、司教の、若者に対するキリスト教徒としての夫婦のありかたの、熱心な教育にあります。
それが司教の死後、17世紀にわたってなお敬愛されている理由です。
サン・ヴァレンティーノの遺骸は、テルニの中心地から少し離れたところにある、同名の教会に安置されています。



サン・ヴァレンティーノ教会



サン・ヴァレンティーノの遺骸



毎年テルニでは、聖人の殉教した日に、聖人の生涯やそのメッセージに関わる様々な催しや行事が行われます。
そしてサン・ヴァレンティーノの日とその前後の週、聖人の教会では、多くの若いカップルがその愛を誓って結婚の準備をします。
今年は、2月5日に各地から選ばれた100組の若いカップルが、2月15日には結婚25年、同じく50年の夫婦が祝福を受けました。



祝福を受けるカップルの列


2月14日、テルニの守護聖人サン・ヴァレンティーノの日、テルニは休日となります。
公共の役所はもとより、ほとんど全てのお店が閉まり、営業しているのはバール、お菓子屋さん、そして花屋さんだけといった感じです。
その為、街の中心地はシーンと静まり返っていますが、サン・ヴァレンティーノ教会とその周りは多くの人で賑わいます。

聖人の遺骸は、教会の祭壇の下部に安置されていますが、教会の規模が小さいので多くの人々を収容することができません。
その為今年は、すぐ横の空き地に大きなテントが設置され、荘厳なミサが執り行われました。
一方教会では、祭壇にある聖人の遺骸に、順々に祈りを捧げる人々の長い列が出来ます。 

教会の横に接続している会堂では、慈善くじ引きが行われます。
一回1ユーロでくじを買うと、中に数字が書いてある券をくれます。
その数字によってもらえる品物が決定。
生活雑貨、おもちゃ、飾り物、手芸品、サラミなど景品は全て寄贈品、枕をもらっている人もいました。



慈善くじ引き


教会裏の大通りを渡ると、約1地キロ半にわたって市が開かれています。 
一番手前は、この日の名物、チャンベッラとポルケッタ(豚の丸焼き)を売る店がズラリ。

チャンベッラはドーナッツ型の物をさします。
直径15-20センチくらいの、味付きドーナツパンといったところで、ちょっと硬めです。
チャンベッラ・グラッソとチャンベッラ・コン・アーニチェの2種類があり、グラッソはパン生地にチーズ、パンチェッタが入った塩味の効いた物。
一方アーニチェは、同じくパン生地にアニスがたっぷり入っています。
その為香りが良く、塩も押さえてあるので、サラミなどと一緒に食べるのには、こちらの方が合っているようです。
ポルケッタをこれらのチャンベッラと一緒に食べるのでしょうが、その場で食べる人は皆、普通のパンにポルケッタを挟んでもらっていました。
このパニーノ、もちろん一つでお腹が一杯になります。



チャンベッラ。左がアニス入りで右がグラッソ



市をさらに進むと、乾燥イチジク、ピスタッキオ、乾燥栗(実だけを乾燥させたのも)、皮付きピーナッツなどを扱うドライフルーツ屋、オリーブや乾燥トマトなどの乾物屋、アーモンドやヘーゼルナッツを砂糖で加工したクロッカンティーノを売る店などの食ベ物屋のあとは、日用雑貨、衣類、靴、植え木屋など、何でもあり、といった感じの市が続きます。



クロッカンティーノ



ドライフルーツ屋



テルニの保護聖人を祝う休日。
家族連れが、サン・ヴァレンティーノ教会で祈りを捧げたあと、多くの人でごった返す市に繰り出す様は、いかにも平和で、聖人にふさわしい雰囲気でした。

by ポモドーロ



-------------------------------------------------------

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

0 件のコメント:

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...