イタリア料理ほんやく三昧: 脾臓のパニーノ

2008年11月12日水曜日

脾臓のパニーノ

ストリートフードの話、その3。
『ガンベロ・ロッソ』の記事の解説です。

今日は、パレルモの脾臓のパニーノ pani ca' meusa 。
脾臓って何、て話ですよねえ。

人間の場合、お腹の左上の、胃の裏側にあるんだそうで。
血液やリンバ液に関係する器官だとか。

牛の脾臓は、日本ではホルモンの一つのチレ。
イタリア語では、ミルザ milza 。
パレルモの方言では、メウサ meusa 。


Spleen
カットしたミルザ, photo by Graham Holliday


イタリアでもパレルモでしか見かけないこの脾臓のパニーノには、こんな歴史があります。
中世のパレルモでは、食肉処理場で多くのユダヤ人が働いていました。
ところが、ユダヤの戒律では、畜殺によってお金を得てはいけないとされています。
そこで、お金の代わりに家畜の内臓を現物支給で受け取っていたのです。
彼らはそれをゆでて、ユダヤ人以外の人たち、つまりキリスト教徒に売ってお金に換えました。


パレルモの人たちのお気に入り、脾臓のパニーノは、ゆでた内臓をラードで煮て、それをチーズと一緒にパンにはさんだもの。
街角でひっそり売られていたりもしますが、有名なのは、なんと言ってもアンティカ・フォカッチェリーア・サン・フランチェスコ。
パレルモ料理に興味がある人なら、必ず一度は訪れる店。


Antica Focacceria San Francesco, Palermo
アンティカ・フォカッチェリーア・サン・フランチェスコ, photo by Federico Saggini


20081025_Palermo
店内のミルザのパニーノの売り場, photo by Franco Pecchio


A' mevusa
ミルザの鍋, photo by Federico Saggini



上がミルザのパニーノの“マリタータ”、下はアランチーネ




ミルザをアップで



ミルザのパニーノは、プレーンの“スキエッタ schietta ”と、細く下ろしたチーズをたっぷりはさんだ“マリタータ maritata ”の2種類。
脾臓は子牛のもの。
肺など他の部位も入れます。
これらを油とラードでソッフリットにするので、油でギトギトでかなり男前な味。


パレルモの街角の屋台





この他に、トスカーナのランブレドットのパニーノ、ローマのポルケッタのパニーノ、レッコのチーズのフォカッチャなど、まだまだイタリア風ストリートフードはありますが、今回はここまで。


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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2007年9月号
“ストリートフード”のリチェッタは、「総合解説」'06&'07年9月号、P.9に載っています。


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2 件のコメント:

くるり さんのコメント...

脾臓をゆでてラードで煮る?こ、こわい。
でも食べてみたい。なにかたとえる味はない?

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
あれはやっぱり“臓物”です。火を通したレバーをもっと硬くして、味を薄くしたみたいな・・・。それにチーズを山盛りにのせるんですよお。働く男の食べ物です。ちなみに、パンも油をかけて焼いてあるので油ギッシュ。一度食べてみそ。案外気に入るかも。