今日はリグーリア料理の話。
「総合解説」10月号、2つ目の地方料理の話。
コウイカのジミーノです。
ほとんど知られていない料理ですよね。
だいたい、日本ではコウイカの料理が一般的って話、聞かないし。
イタリア料理をかじった人なら、コウイカはイタリア語ではセッピアで、セピア色(黒褐色)の語源でもあり、イカ墨のパスタなどに使われるイカ墨はコウイカの墨のこと、ということぐらいは知ってますよね。
そこにさらに、リグーリアではコウイカはサバやイワシと同じ大衆魚の一つ、という情報を加えてください。
そもそも家庭料理がルーツのイタリア料理には、ゴージャスで高価な食材を使うものはほとんどなく、むしろ、節約上手な主婦がやりくりして作る料理が中心。
この料理はトスカーナ料理としても知られていますが、今回は珍しくマイナーなリグーリア目線のリチェッタです。
まず、リグーリア料理の特徴は、
「質素だがとても独創的」
「海と山に挟まれた狭いやせた土地を有効利用する才能が発揮された料理」
「作物は野菜が主体で、穀物と香草も少々あり、肉はほとんどなく、あったとしても家禽肉」
「しかし、海からは魚が大量に獲れた。
特にサバ、イワシ、カタクチイワシ、イイダコ、コウイカといった大衆魚が中心だった」
どうですか、リグーリア料理のイメージ、湧いてきましたか?
このたくさん捕れるコウイカとビエトラを組み合わせた料理という訳です。
「ジミーノはアラビア語のsaminが語源で、魚がベースの料理にかける野菜のソースのことを意味した」
「コウイカ、バッカラなどの魚にビエトラやほうれん草を加えて煮る料理」
コウイカはビエトラと相性が良いようです。
たくさんあるバリエーションの一つとして、今回は乾燥ポルチーニ入り。
まず、香味野菜のみじん切りをソッフリットにし、戻したポルチーニ、イカ、ワイン、トマト、香草を加えて煮ます。
さらに硬い茎を取り除いたビエトラの葉を加えて煮ます。
これをガーリックトーストの上にかけてサーブします。
リグーリアのコウイカの旬は春、ポルチーニは秋には生を使う、ビエトラの代用野菜はカタローニャやチーメ・ディ・ラパ(ブロッコリーレイブ)、イタリアで食べる時はこのくらいの予備知識があったらばっちりです。
仕上げに、リグーリア料理のエンブレム的食材、松の実を加えれば、トスカーナ料理との区別がより明確になりそう。
最後にコウイカではなくヤリイカのイン・ジミーノの動画をどうぞ。
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“コウイカのジミーノ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年10月号に載っています。
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