2014年3月17日月曜日

イタリアの黒豚たち

まずはご挨拶から。
土日のイベント、来てくださった皆様、ありがとうございました。
いや~楽しかったです。
く○○さんもイタリア○○さんも早○○さんも、まさかお会いできるとは思っていなかったので、大感激です。
初めてお目にかかった皆様も、イタリア料理を勉強したいという熱い情熱をお持ちの方ばかりで、こりゃあ、日本のイタリア料理界の将来は明るいなあ、なんて、感無量です。
そこでぽっこり湧いて出た、イタリア料理書を読むイタリア語講座の話も、ぜひ実現させましょぅねー。
賛同者の方、お待ちしてます。
とにかく、皆さんの話が面白すぎて、喉が枯れるほどしゃべり倒しました。
このブログのオフ会やったら楽しそうだなあ。
ワインや食材のテイスティングを兼ねたオフ会なんてどうでしょう。
輸入業者の方やご自分のご商売をイタリア料理人にPRしたい皆様、ぜひ、ご参加ください。
スポンサー募集します。
今回の主催者、onakasuitaさんにも、こんな場を設けていただいて大感謝です。
あざーす。

さて、イタリア料理の話に戻りましょう。
豚の話ですよ~。
切り口はラルドでしたね。

スパゲッティやピッツァ、パルミジャーノ、コーヒーは、イタリアが世界に誇る食材です。
それと、最近はスペインに押されていますが、生ハムだって、世界に誇っています。

イタリアには、生ハムのほかにも、パンチェッタとか、ラルドとか、グアンチャーレとか、サラミとか、豚肉の保存加工品が色々ありますよね。
特にラルドのような高カロリーの脂身を美味しく食べる文化が、古代ローマ時代から20世紀半ばまで続いていたという話は前回しました。

脂身を美味しくいただくには、分厚い脂身をつけた豚が必要です。
分厚い脂身を付けた豚とは、はっきり言うと、太った豚のことです。
ラルドは背中の皮下脂肪。
これが厚さは3㎝以上必要です。

The Big Pig
The Big Pig / lastquest


だから、イタリアでは太りやすい豚が優れた品種の証でした。
こんなに脂身がたくさんつく家畜、他にいます?

品種改良というのは、科学者が遺伝子をいじらなくても、消費者が市場で取捨選択をすることによっても自然と行われます。
21世紀の現代社会で、重装歩兵や鉱山労働者と同じカロリーを必要とする人は、確実に減っているわけで、脂身が多い肉が売れなくなれば、生産者は脂身の少ない肉を作るようになります。
脂身がつきにくい豚から美味しいラルドを作るのは、以前より難しくなっていることは間違いないですよね。

高カロリーが敬遠される現代で、豚の脂身を売るには、どうしたらいいのでしょう。
その方法の一つが、地方の伝統を受け継いだ洗練された製品とする、高級品化です。

ラルドの産地として有名なアルナッドとコロンナータですが、どちらも、原料となる豚は、パルマの生ハム用に飼育されている豚の背脂だそうです。

ただ、ラルドはイタリア各地で地元産の豚を原料にして作られています。

各地で地元のサルメリーアや農家が遺伝子選択や飼料などを工夫して、独自の豚を育てているわけですねー。

そうした地元密着豚の代表的な品種が、チンタ・セネーゼです。


Cinta Senese
Cinta Senese / Walter Saporiti



ロマーニャ地方では、モーラ・ロマニョーラ種がブランド化に成功。





カンバーニアではカセルターナ




シチリアでは、ネロ・シチリアーノと総称される黒豚。





ネロ・ディ・地名というパターンの黒豚が土着品種の代表的な名前のようですね。
とにかくすごい数があります。
部外者から見ると、どれも同じに見えるのですが、村ごとに独自の進化をさせた食材を作るのがイタリアの特徴。


カンバーニアの職人による豚肉加工のワークショップ
豚の解体、サラミ作り
 ↓



内臓も脂身も使って、お肉屋さんは、いろんな加工製品を作るんですねー。
サラミは冬の間の保存食として必需品だったので、人出のある祭りとか宗教行事と合わせて毎年同じ日に売りました。
なので、作る日や豚をさばく日も決まっていました。
そんな話をしながらサラミを作っていく職人さん、カッコイイですねー。

ところで、ドングリを与えて育てた豚はオレイン酸が多くて、新鮮な牧草で育てた豚はリノレン酸とビタミンEが多いって、知ってました?
確か、以前に豚の脂身の話をした時に、脂肪酸の話もしたと思うんですが、要は、これは脂肪酸の話なんです。
どうやら、ライバルのイベリコ豚に劣らずイタリア豚の栄養価も優れている、と言う時に、この話を持ち出すようですよ。



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関連雑誌;『ヴィエ・デル・グスト』2012年2月号、“ラルド”の記事の解説は「総合解説」2011年2月号に載っています。

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3 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

先日はお会いできてうれしかったです。
さて黒豚とラルドの話。以前、山羊乳を飲ませた鶏の卵で有名なパオロ・パリージのところに行った折、彼が飼っていたチンタセネーゼの牧場に連れて行ってもらいました。森の中で伸び伸びと育つ幸せな豚たち。ドングリの季節には食べ過ぎで、食べたどんぐりがお腹の中で膨らみ、死んでしまう豚もいるとか。まさに「豚死」と笑ってしまいました。
彼のところはピサの近くなので、チンタのラードをコロンナータに運び、ラルドへ加工。ミラノの「アイモ エ ナディア」などが特別に発注していました。これがまたおいしかった!!日本の短角牛のように肥育に時間がかかるけれどやはり時間をかけて丁寧に育てたものはおいしいです。
Itakiamama

Unknown さんのコメント...

先日はお会いできてうれしかったです。
さて黒豚とラルドの話。以前、山羊乳を飲ませた鶏の卵で有名なパオロ・パリージのところに行った折、彼が飼っていたチンタセネーゼの牧場に連れて行ってもらいました。森の中で伸び伸びと育つ幸せな豚たち。ドングリの季節には食べ過ぎで、食べたどんぐりがお腹の中で膨らみ、死んでしまう豚もいるとか。まさに「豚死」と笑ってしまいました。
彼のところはピサの近くなので、チンタのラードをコロンナータに運び、ラルドへ加工。ミラノの「アイモ エ ナディア」などが特別に発注していました。これがまたおいしかった!!日本の短角牛のように肥育に時間がかかるけれどやはり時間をかけて丁寧に育てたものはおいしいです。
Italiamama

prezzemolo さんのコメント...

秋元先生

こちらこそ、スーパー嬉しかったです。
でも、あまりお話しできなかったのが残念。
お忙しい中お越しいただいて、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いしますねー。
チンタ・セネーゼのラルド、日本で食べたような気がする。
イベリコ豚に匹敵する唯一のイタリアのブランド豚ですねー。


バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...