今日はリグーリア料理の話。
mesciuaです。
どう発音するのか、ちょっと戸惑いますよね。
ヒントは、元となった言葉はmes-ciua。
意味はmescolata、ミックスしたという意味。
メスチュアと発音します。
ミックス豆のスープですね。
チンクエテッレがあるトスカーナに近いラ・スペツィア地方の名物です。
作り方の動画はこちら。
残り物の豆を混ぜて作ったスープと言われていますが、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事によると、壮絶な過去を持つ料理だったんですね。
なんと、ラ・スペツィアの港で荷物の積み下ろしをして働く人たちの奥さんたちが、袋からこぼれ落ちた豆や穀物を拾い集めて作った料理なんだそうです。
昔、ラ・スペツィアの港は豆や穀物の集積地だったんですね。
「メスチュアの町」をBGMにラ・スペツィアを紹介する動画をどうぞ。
この記事を読んで最初に思い浮かんだのは、ミレーの「落穂拾い」。
収穫後の畑に残ったわずかな麦の穂を拾い集めている最下層の貧しい人たち。
こうまでしないと生きていけない人たちのために、こうした行為が許されていたんですねえ。
ラ・スペツィアの港でも、豆を拾い集めることが許されていたんだって。
落穂と言えば、プーリアのグラノ・アルソも思い出すなあ。
これは小麦を収穫して、さらに畑を焼いた後に残った、鳥も食べないような小麦を拾い集めたものです。
グラノ・アルソの小麦粉は黒ずんでいて、いかにも焼け残り風。
黒ずんだカヴァテッリやオレッキエッテを見るたびに、可哀そうな話だなあ、と思っていたのですが、なんと最近じゃ、普通の小麦をトーストして、わざと焼け残り風にしているという衝撃の事実を知ってしまったー。
そりゃそうだよなー。
今時、畑で落穂を拾う人も、港で豆を集める人もいません。
だけど、メスチュアは、その名も「ミックスした」なので、何種類かの豆を混ぜて作ることに存在意義がある。
だから、今や、最初からメスチュア用に豆をミックスして売ってるんだってー。
しかも、定番の組み合わせは、カンネッリーニ、ファッロ、小麦、チェーチだっていうから、律儀に全部揃えたら、かなりリッチなスープになっちゃいそう。
どの豆を使うか特にルールはないですが、他に、オルゾ、チチェルキア、レンズ豆、いんげん豆、ささげ、そば粉などと、バリエーション豊か。
よーく考えてみると、豆や穀物は、それぞれ戻し時間や加熱時間が違うから、拾ったもので作るわりには、超手間がかかる料理だったんですねー。
豆を戻す時に重曹を加えるのは、時間は短縮できるけど味の点からは勧められないという人もいるので、とにかくじっくりのんびり作らないと。
でも、豆のスープの割には見た目がなかなかきれい。
ラ・スペツィアのレストランでは、メスチュアが美味しい店は全体的な評価も高いみたいですねー。
ココット入りのメスチュア。
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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2012年1月号、『メスチュア』の記事とリチェッタは、「総合解説」2012年1月号に載っています。
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2014年1月9日木曜日
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