2013年2月25日月曜日

ガエータのティエッラ

ガエータのティエッラの話、続けます。
ティエッラはプーリアの料理が有名ですが、“ガエータの”ティエーラとはまったく別。
そもそも、これらの料理の名前は、ティエッラtiellaという浅鍋から取ったもの。

ガエータのティエッラ
 ↓
DOL


プーリアのムール貝とじゃがいものティェッラ
 ↓
Tiella di cozze


ガエータのティエッラは、“ピアット・ウニコ”と呼ばれるタイプの料理で、炭水化物、野菜(スカローラ、ほうれん草、ズッキーニ、玉ねぎ、トマト)や魚(主にバッカラ、タコ、イカ、アンチョビ)、肉(ハム、生ハム、卵、サルシチャ、チーズ)が全部入った料理。
炭水化物はパン生地です。
具は様々。
フェルディナンド四世いわく、“primo, secondo e terzo!”ですよ。

タコのティエッラ
 ↓
tiella from Gaeta


具を詰めるタイプのピッツァですね。
早朝に仕事に行くお父さんのために作った料理だけあって、家庭の温かさが伝わってくるような手作り感満載の一品。
手で持って食べて、日持ちするように作るので、具の汁気と生地の香ばしさの絶妙さ加減がポイント。
ティエッラの具、あれこれ。
具を詰めすぎると手で持てないし、この薄さがいいんですねえ、きっと。
 ↓


2枚目の生地をかぶせた後に、縁を作るのも忘れずに。
これもガエータのティエッラの特徴の一つ。
 ↓



こちらのwebページに、フェルディナンド4世とティエッラの面白いエピソードがありました。

それによると、王様がガエータを通りかった時、ある主婦がパン生地を作っているのを見て、急に空腹に襲われ(あるいは主婦の美しさに惹かれたのか・・・だって、プフ。)、お手伝いしましょうかと申し出た(きゃ~イタリア男~)。
いや~、ほんとにお茶目な王様ですねえ。
300年たっても、日本語のwikiにも、この言われよう。
すごいいじられキャラ。

実は、この人、女の子が4人続いた後にようやく生まれた長男、つまり王位継承者だったそうです。
そうとうチヤホヤされたんでしょうが、きっと、4人もいるお姉ちゃんたちだけは、彼にずけずけ文句が言えたはず。
多分、フェルちゃんはパシリ状態。
王様は、絶対お姉ちゃんたち(成人後は対象が美しい女性へと変化)に頭が上がらないですよ。

だから、そこら辺のおかみさんも、お手伝いを申し出た王様にちゃっかり、パン生地を薄く伸ばして型に敷き込むように指示する気になっちゃう。
王様も嬉々としてやっただろうなあ。
すると主婦は、そこに煮たスカローラとガエータのオリーブを詰めてガエータのとオイルをかけ、もう一枚生地をかぶせて閉じると、竈で焼きました。
あれ、これだと魚が入ってないんですけど。
まあ、スカローラと組み合わせる時はバッカラが定番のようだから、バッカラも入っていたかも。
ただし、王様のお気に入りの具は小ヤリイカだったそうです。

ガエータ市の公式認定料理として法理で認められていますが、リチェッタは家庭の数だけありますが、
とても詳細な、こちらのページのリチェッタを訳してみましょう。


ガエータのティエッラ Tiella di Gaeta
材料:
生地
 00タイプの小麦粉・・500g
 生イースト・・20g
 EVオリーブオイル・・大さじ3
 ぬるま湯・・200ml
 塩・・一つまみ
タコとイカの詰め物  小ダコ・・1kg
 イタリアンパセリのみじん切り・・1本分
 にんにく・・3かけ
 刻んだホールトマト・・300g
 唐辛子・・好みで
 EVオリーブオイル、塩
 白ワイン・・1/2カップ
玉ねぎ  玉ねぎ・・1kg
 卵・・4個
 おろしたパルミジャーノ
 スカモルツァかイートリ産チーズ
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう
スカローラとバッカラ  柔らかいスカローラ(エンダイブの一種)・・2kg
 バッカラ・・700g
 にんにく・・3かけ
 唐辛子
 イタリアンパセリ・・1本
 ガエータの種抜き黒オリーブ・・300g
生地
・小麦粉、ぬるま湯で溶いたイースト、塩、油をこねてなめらかな生地にし、覆いをして発酵させる。
・生地の半量強を厚さ1㎝以下に伸ばし、油を塗った型に敷き込む。
・詰め物を入れて伸ばした残りの生地をかぶせ、縁をつまみながら閉じる。
・表面をフォークでピケし、油を回しかける。180度のオーブンで約30分焼く。
タコとイカの詰め物
・タコを浅鍋に入れて蓋をし、油や水は加えずに蒸し煮にする。冷めたら小さく切る。
・タコと他の材料を混ぜてなじませる。
玉ねぎの詰め物
・玉ねぎを薄切りにして油で炒め、焼き色がついたら溶いた卵、イタリアンパセリのみじん切り、油少々、おろしたパルミジャーノをかけて全体を混ぜる。
・仕上げに小片に切ったスカモルツァを加える。
スカローラとバッカラ
・スカローラを洗って粗粒塩一握りをまぶ゛し、重石をする。時々かき混ぜながら2時間漬けて絞る。
・ほぐしたバッカラ、刻んだにんにく、唐辛子、イタリアンパセリのみじん切り、オリーブ、油を混ぜる。これらとスカローラを 混ぜる。
・バッカラの代わりに、塩抜きして骨を取り、1日オリーブオイルに漬けたアンチョビでもよい。
 


には、小さな型で一人前サイズの、トマト、ゆで卵、ペコリーノ、生ハムの具のティエッラが載っています。
これも美味しそう。



-------------------------------------------------------

関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年7月号、グルメ紀行“ガエータ”の記事は、「総合解説」2011年7月号に載っています。

[creapasso.comへ戻る]
=====================================

0 件のコメント:

マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...