2013年1月17日木曜日

マグロとカタクチイワシ

年の初めに、築地では、何やらすごい記録が誕生しましたよね。
初セリで、クロマグロの市場最高値更新ですか。
1億5540万円。

同じくクロマグロ漁の伝統があるイタリアへも、当然、このニュースは伝わりました。
喜代村の木村社長のこんな言葉とともに。

『Un prezzo leggermente caro, ma spero che possa essere un incoraggiamento perché il Giappone continui a rifornirsi di ottimo tonno』
(こちらのページから引用)
「やや高いですが、日本を元気にするためにも、最高においしいマグロを日本の人たちに食べてもらいたくて 奮発した」

落札が香港のすしチェーンとの一騎打ちになったかことから、ナショナリズム的に頑張ったという分析もしっかり紹介されていました。
なんと巷では、セリの前から1億超すという予想があっなんて、知らなかった~。

マグロの数が激減して、漁獲高の割り当て会議のたびに大騒ぎになる世界のクロマグロ業界ですが、イタリアのマグロ漁師さんの数も減少の一途。
築地の値段に、よーし、頑張ろうと思ったサルデーニャやシチリアの漁師さんたちもいるのでは。
そのうち、地中海産巨大マグロが築地の初セリを賑わす時代がやってくるかも。

かつてのマグロ漁、トンナーラで水揚げされたマグロ。
築地のマグロが小さく見えます。




マグロ漁と言えば、『ヴィエ・デル・グスト』2011年7月号に、偶然、興味深い記事がありました。

アンチョビの魚醤“コラトゥーラ”で知られるアマルフィ海岸の町、チェターラの話です。

チェターラのコラトゥーラ




実はこの街は、ちょっと前までは、マグロ漁が産業の中心の街でした。
ところが、年々マグロが減り続け、とうとう、2011年にマグロ漁に出た船は、わずか5隻だったそうですよ。
これは経済的に大打撃。
なんとかせにゃーいかん、というわけで、代打に立たされたのが、アンチョビ!
カタクチイワシです。
記事によると、アンチョビ製品と伝統料理業界で、職人たちが総出で美食文化プロジェクトを企画して、世界中からグルメが集まるようになり、マグロ漁の落ち込み分は、完璧にカバーされているのだそうです。
素晴らしい!
ていうか、チェターラのカタクチイワシはクロマグロを超えたのか!
1匹10円以下のカタクチイワシも、やり方次第では1匹1億のマグロに匹敵するんだね。


そういえば、去年の暮れごろ、カリスマ投資家のジム・ロジャーズ氏が、ロブスタ種のコーヒー先物の取引が、2倍近くに膨らむ、つまり、今年はアラビカよりロブスタ、という予想を立てた、ということがニュースになって世界を駆け巡っていました。
去年ブログで、コーヒーは石油に次いで第2位の世界的規模の大市場を持つ商品、という話をしましたが、そのうち、カタクチイワシの話がカリスマ投資家の口から出てくることもあるかも。
そういえば、小麦の品種改良でノーベル平和賞、という話もしたっけ。
まさに、「1粒の麦」ですなあ。



-------------------------------------------------------

関連雑誌;『ヴィェ・デル・グスト』2011年7月号、“チェターラ”の記事は、「総合解説」2011年7月号に載っています。

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

1 件のコメント:

自己ピーアール さんのコメント...
このコメントはブログの管理者によって削除されました。

生ハムの一番美味しい部位はガンベレットこと端っこ。

生ハムやパルミジャーノを、パルマの食文化の観点で見ると・・・。 食の都パルマのシェフが語るパルマの食文化 これはアルタ・クチーナとしてのパルマ料理ですね。 もう少し庶民的な、パルマの日曜日の家庭のプランゾの場合、スタートは、クラテッロ、パルマの生ハム、コッパ、ストロルギーノなどの...