『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。
イタリアで、“エクストラバージン・オリーブオイル”というものが法律で定義されたのは、今から50年前の1960年11月3日のことだそうです。
ところが、この記事を寄稿したオリーブオイル生産者は、50周年なんて祝う気分じゃない、と、これまでの政府の方針に非常に憤慨しています。
現在、イタリアのオリーブオイル生産者は、外国産オイルの強烈な攻勢にさらされています。
ライバルは1ℓ1.99ユーロだというから、状況は厳しいですね。
最近はイタリアでもオリーブオイルのコンクールでスペイン産オイルの優勝が続いたりして、品質、価格の両方で、イタリアのオリーブオイルの現状は大変そうです。
それにしても、記事によると、イタリアでは畑1ヘクタールあたりに植えられているオリーブは250~300本だが、外国の格安品は2000本、というのはすごしいですねえ。
50年の間に、オリーブの収穫もすっかり機械化されました。
これだけ密集してオリーブを育てる方法は、イタリア語では“インテンシーヴォ”と呼ばれますが、今ではさらに密集させて機械で一気にどさっと収穫する“スーペルインテンシーヴォ”という方法が用いられています。
↓超密集したスーペルインテルシーヴォの畑でも、機械でささっと収穫。
広大な畑を所有する大地主が歴史的な経緯から今でも残っているスペインと違って、個人の小さな農場で手間暇かけて栽培する農家が主流のイタリアでは、生産の規模が違いすぎますよね。
生産者が、政府のバックアップが少ないと文句をいいたくなる気持ちもわかりますよ。
↓ゾニン社のオリーブ畑。
まだ隙間があって、広々してますねえ。
そんなイタリアの職人的生産者にとって、多少はスカッとした出来事だったのが、脂肪酸エチルタステルと脂肪酸メチルエステルを添加したオイルをエクストラバージンオイルと認めないという、2011年1月24日のEUの決定でした。
これらの添加物は脱臭剤です。
収穫されて大量に山積みされたオリーブが、搾る前に発酵を初めるために、オイルから悪臭が発生するんですねえ。
それを消すためのものです。
さらに、オリーブオイルの栄養的評価が、不飽和脂肪酸が悪玉コレステロールを減らすという点にのみ集中している。
もっとポリフェノールに注目すべきだ、という説も、新鮮ですねえ。
ポリフェノールの抗酸化作用は、昨今ではとてもよく知られていますもんねえ。
丁寧で誠実なオイル作りをしているイタリアの小さなオイルメーカーが、外国の巨人に簡単に潰されていくのが悔しい、という思いが伝わってくる記事でした。
その一方で、『ガンベロ・ロッソ』の新しい格付け本、『オーリ・ディ・イタリア2011』の記事は、そういったイタリアのオイル作りの最高峰を冷静に分析、評価するものとして興味深いものでした。
この記事の話は次回に。
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2011年4月号、“イタリア産オリーブオイルの未来”の記事の訳は、「総合解説2011年4月号」に載っています。
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2 件のコメント:
はじめまして、いつも拝見させていただいてます
他の国に負けないでほしいですねイタリアのオリーブオイルも
個人的に一番好きなバージンオイルはカンパーニャのやつなんですがなかなか手に入らないのでコラビータを使うようにしてます(笑)
次の記事楽しみに待ってます~
寝夢さん
コメントありがとうございます。
カンバーニアのオイルとは、こだわりが感じられる選択ですねえ。
私はプーリアのオイルが好きなんですが、ラッキーなことに近所の激安スーパーでもちょい安で売ってます。
それにしても一昔前と比べると、増えましたよねえ(遠い目)
次の記事は明日こそupします(汗)
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