2010年1月8日金曜日

ブロッコロ・ロマネスコ

年末に、近所のスーパーで、なんとローマ生まれの野菜を売っているのを見つけました。
しかも山積みで。

その野菜は、イタリア語では、broccolo romanesco。
ブロッコロ・ロマネスコ
「ローマのブロッコリー」という意味です。

日本ではロマネスコという名前で流通しているようですね。
店では、「“ロマネスク”、ブロッコリーとカリフラワーをかけ合わせた野菜」と書いて売っていました。
1個255円でした。



ロマネスコ, photo by xrrr


ローマのトラットリーアで初めてロマネスコを見た時は、その形が珍しくて、写真を撮ったっけ。
その時は、後に日本のスーパーに山積みされる日が来ようとは、想像もしませんでしたよー。
同じローマ生まれのプンタレッレより先にメジャーになっていたんですねえ。

でも、山積みの割には、今ひとつ売れていなかったような・・・。

多分、そのスーパーのたいていの客にとって、ロマネスコは初めて見る野菜だったはず。
こんなご時世じゃ、味も食べ方も分からないものを、簡単な説明だけではなかなか買ってもらえないだろうなあ。


この野菜、イタリア語では「ブロッコロ・ロマネスコ」ですが、「カーヴォルフィオーレ・ロマネスコ」という名前でも流通しています。
英語では「ローマン・カリフラワー」とも言います。

いったい全体、ブロッコリーの一種なんでしょうか?
それてもカリフラワー?

ゆでたものを目隠しして食べると、カリフラワーに近いですかね。

イタリアの料理辞典『GRANDE ENCICLOPEDIA ILLUSTRATA DELLA GASTRONOMIA』を見ると、ブロッコロ・ロマネスコはブロッコリーの欄に載っています。
正確には、「ブロッコロ」の欄と言うべきでしょうか。
つまり、日本でイメージするブロッコリーと、イタリアのブロッコリーとは、少々違うんですねー。


ブロッコリーは地中海原産と言われている野菜。
イタリアにはブロッコリーが何種類かありますが、大きく2つに分かれます。
一つは、“カーヴォロ・ブロッコロ・ラモーゾ”と呼ばれるタイプで、日本の一般的なブロッコリーによく似ています。

 カーヴォロ・ブロッコロ・ラモーゾ・カラブレーゼ


もう一つは、ラモーゾがつかないで、単に“カーヴォロ・ブロッコロ”と呼ばれるタイプ。
これがカリフラワーにそっくりで紛らわしいことこの上ないんです。

 カリフラワーにそっくりな白いカーヴォロ・ブロッコロ・ディ・ヴェローナ

 紫色のカーヴォロ・ブロッコロ・ヴィオレット・シチリアーノ

 そして緑色のカーヴォロ・ブロッコロ・ロマネスコ


下の動画に出てくる野菜は、ブロッコリーと呼んでいますが、カリフラワーにそっくり。
ということは、カーヴォロ・ブロコッロ・ディ・ヴェローナですね。






このように、素人目にはカリフラワーにしか見えないカーヴォロ・ブロッコロ。
では、カリフラワーとどこが違うかと言うと、ブロッコロは「芽が発達している」、「開花が複数回」という点だそうで。
そもそも、ブロッコリーの語源はラテン語で「芽」という意味の“broccus”。
カリフラワーのように見えて、実は微妙に違う野菜、なんですねえ。


そして、カーヴォロ・ブロッコロでも、ラモーゾとそうじゃないのはどこが違うかと言えば、ラモーゾは脇芽が次々に出る。
この脇芽は「ブロッコレッティ」と言って、茎ブロッコリーに少し似ています。
このタイプは、柔らかい部分なら茎も葉も全部食べることができます。

そうじゃないタイプは、カリフラワーと同じでこんもりとした花序の部分を食べます。



さて、ブロッコロ・ロマネスコですが、このブロッコロは、ローマ地方で昔から栽培されていた野菜です。
「1834年に書かれたソネットにブロッコロ・ロマネスコの名前が出てくる」というエピソードが知られています。
ローマでは、ブロッコリーと言えばこのロマネスコのことだったので、昔はただ「ブロッコロ」と呼ばれていました。
だから、ローマの古い料理書に出てくるブロッコリー料理は、このロマネスコの料理と考えるのが無難です。



次回はブロッコロ・ロマネスコの料理についてです。



-------------------------------------------------------

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

2 件のコメント:

vittorio さんのコメント...

そうそう、まぁにスーパーでも置いてありますよね(笑)

市場の常連店でみんな買ってくれないからと、数ケース私のコーナーに山積みになってました(笑)。安くしてくれるからと何も言えないですよ(笑)

近年外国生まれの野菜が多く入ってきては残っているのもあるし、消えてしまうのもありますよね。

ラディキオ・キョッジャとチコリはいまだに残っているいますね(笑)。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
日本のスーパーで売れる野菜だとは、思ってもみなかったですよ~。
あの形、人によっては気持ち悪いと思うかもしれないし、食べ方も知られていないし。
イタリアでもローマ以外ではそれほど一般的ではない気がするし・・・。
残りますかねえ。
でも、元々ブロッコリーはイタリア原産でしたね。
そうそう、ラディッキオ・ディ・キオッジャは定着しましたねー。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...