2008年10月22日水曜日

カルボナーラのルーツ

今日はカルボナーラの話。
『ア・ターヴォラ』の記事の解説です。


spaghetti carbonara
ローマのトラットリーア、アルマンド・アル・パンテオンのカルボナーラ, photo by exile in suburbia


カルボナーラは、1950年代にローマのトラットリーアで人気が出て、それ以来、ローマを代表する名物料理として知られる料理。
でも、そのルーツは謎。
謎はルーツだけではありません。
なぜ、カルボナーラという名前なのか・・・。
卵を生で食べることを忌み嫌うイタリア人が、なぜ、生卵の料理を考え出したのか・・・。

『ア・ターヴォラ』では、この料理のルーツとしてよく知られている説を3つ紹介しています。

一番有名なのは、ラツィオの山で炭を焼いていた人たちが作っていたパスタ、という説。

2つ目はもう少し具体的で、チョチャリーア地方が発祥地、という説。
チョチャリーア地方は、ローマの西に広がる内陸部分。
以前はアブルッツォ州の一部だったところで、南隣りのカンパーニア州の影響も受けています。
このあたりでは、卵、グアンチャーレ、ペコリーノ、パスタと言うのは、昔から一般的な食材でした。
“カーチョ・エ・ウーヴァ”(チーズと卵)というパスタもあります。
この地方の料理が、なぜローマ料理として広まったのか。
その理由として有力なのが、第二次大戦時、ドイツ軍から逃れてローマから疎開してきた人たちがこのパスタを知って、ローマに広めたというもの。

『ア・ターヴォラ』では、その当時のチョチャリーア地方のことを知りたかったら、『ふたりの女』という映画がお勧め、と言っています。
ソフィア・ローレン主演の1960年のイタリア映画です。
監督はヴィットリオ・デ・シーカ。
この監督とソフィア・ローレンのコンビは、『ひまわり』という映画も有名。
この映画で、ソフィア・ローレンはアカデミー賞とカンヌの両方で主演女優賞を獲得しました。
原作はアルベルト・モラヴィア。


ソフィア・ローレンがこの映画でアカデミー賞を取った当時の映像を紹介している動画がありました。
映画の場面も一部出てきます。





いや~、ソフィア・ローレン、きれいですねえ。


カルボナーラのルーツの仮説、その3は、かなり奇想天外な話。
個人的にはそんなのありえないー!と思うのですが、本当だっだら楽しいかなあとも思ったりして。
なにしろ、米軍の支援物資にあった粉末の卵とベーコンの缶詰から、どこかの天才が閃いて考えだした、というんですからねえ。
この説、昔から有名で、『GRANDE ENCICLOPEDIA ILLUSTRATA DELLA GASTRONOMIA』にも載っています。



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関連誌;『ア・ターヴォラ』2006年9月号(クレアパッソで販売中)
“カルボナーラ”の記事の解説は、「総合解説」'06&'07年9月号、P.30に載っています。


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6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

カルボナーラって、そんなに近代のものだったのですか。半世紀しかたってないのに、ルーツが謎というのもおかしな話ですね。

しかしアブルッツォというのは情報が少ないところですよね。とくにローマから1時間ちょいで着くのに、なぜ対外的に人気がないのか。個人的に好きな場所なだけに謎です。タロスとか歴史的なものも謎がかなりあります。

モラヴィアも読まなきゃならないリストですが、イタリアのインテリといわれる人達って、一般的なイタリア人のイメージ(偶像かも)と不思議なくらいかけ離れているのイタリアたるゆえんなのでしょうか。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
カルボナーラって、有名になった時からすでにルーツが謎だったみたいですねー。イタリアらしいと言うか・・・。

そうそう、アブルッツォってなぜか影が薄いんですよね。面白いところやお勧めのこと、教えてくださいよー。

モラヴィアもデ・シーカも、一応トライはするけど、あまりにも暗くて、すぐに挫折します。確かに、イタリアは一般ピープルとインテリのギャップが大きすぎ!一度、女医さんに一般人のノリで話しかけて、液体窒素漬けのように冷たく扱われたことありま~す。

匿名 さんのコメント...

>液体窒素漬け
これ爆笑!エルブリか!?

アブルッツォのおすすめっていっても、どうせプレッツェーモロさん、みんな知ってるだろうしなぁ(笑)
山が好きなのでどうしても自然公園関連ですかね。個別に上げるとどれも捨てがたくてすごいことになりそうなのですが、まだまだ行きたいリストがたーんまり。今まで海が好きだと思っていたら山の方が好きじゃないかと指摘され最近認識しました。でも水辺の景色を見ると血が騒ぐような気がするんですが。

海といえば、Vastoでブロデットが食べたいなとtraboccoを探したら見つかったんですけど、しまってました。夏だけなんですかね、あのあたりの中途半端なリゾートは(笑)

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
アブルッツォは山ですか、師匠。
トラボッコも写真でしか見たことないから、いつか実物を見たいもんです。3年前は使われてるのは12軒って言ってたけど、なくならないうちに見れるかなあ。
やっぱりあのあたりは、バカンスシーズンじゃないと人がいないんですねえ。

匿名 さんのコメント...

やめてくださいよ、師匠(^^;)

テルモリとかオルトーナとかもあるみたいですが、どこが本場みたいのがあるんですか?それともプーリアとアブルッツォの専売特許?
あと、トラブッコなのかトラボッコなのかとか、ロザートなのかロサートなのかとかわからないことがあるんですが……。

ところで、今日代官山のitalyに行ってきたのですが、料理は高いのでちょっと…でしたが、ワインはほぼ売値で出していました。雰囲気はまさにイタリア的で本当に現地にありそうでした。といってもトリノ行ったことないのでわからんのですが(笑)

でも品物の説明が激しく出ていたので見本市みたい。しかもフォントがイマイチなのがまた「わけわからんけど一応日本語でパンフ作ってみました」的で笑える。本当はそんなことはなくがっつり日本人がバックアップしているとは思いますが。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
ロザートかロサートか、これは難しい問題だー。
思うに、ザとサの中間、かなあ。

トラボッキ海岸(コスタ・デイ・トラボッキ)の中心地はオルトーナで、景色がいいのはサン・ヴィート・キエティーノあたりと聞いたことがありますよん。

ほお~、イータリーはイタリアの雰囲気出してますか。ワインの値段がリーズナブルなのは嬉しいですねえ。そう言えば、TVで、イタリアでも見たことのない変わったパスタを紹介してたなあ。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...