2015年11月5日木曜日

カルチョーフォ・ロマネスコとイル・ポスティーノ

今日のお題は、カルチョーフォ・ロマネスコ。

このブログでは以前にも取り上げて詳しく解説していました。
(こちら)

今回の「総合解説」では、メイド・イン・イタリーの食材として、つまりイタリアを代表する国民的食材として紹介しています。
アーティチョークの中でも、ロマネスコは、アグロ・ロマーノと呼ばれるローマ郊外で栽培される、独特のまん丸い形をした棘のないアーティチョーク。
IGP製品は直径10㎝以上と決められている大型の美しい野菜です。

gastronomia romana

代表的な料理はユダヤ風とローマ風。
そのリチェッタも昔のブログで詳しく訳しています。

前回は、映画『星降る夜のリストランテ』の話題を出して、ユダヤ風とローマ風のエピソードを説明したりしてました。

偶然ですが、今回の記事でも、映画の話が引用されています。
今回の映画は、『イル・ポスティーノ』(1994)です。
イギリスと日本で外国語作品賞を受賞した秀作。
主演の役者が重病をおして演じ続け、撮影終了直後に亡くなったことも衝撃的でした。

この映画のもう一人の主役は、パブロ・ネルーダという実在の詩人です。
この人は、ノーベル文学賞も受賞しているチリの国民的詩人だそうで、そんな詩人がイタリアに亡命していた間のことが、この映画では、美しく感動的に描かれています。

イル・ポスティーノは島の郵便配達人。
狭い世界に住む無垢な青年が、国民的詩人と触れ合って、芸術や生きる喜びに目覚めていくという淡々とした物語です。
ネルーダは、比喩が得意な詩人として知られていました。
そのあたりのシーンをどうぞ。
 ↓



私がこの映を観た時は、パブロ・ネルーダがどれほど世界に影響力を持つ人なのか知りもせず、
ましてメタファーの話なども事前知識は何もありませんでした。
つまり、この郵便配達人と同じ状態。
でも、何も知らないと、新品のスポンジのように、どんどん吸収して、受ける感動も大きいものですね。
小難しい芸術的な話も、なんとなく分かったような気がしたものです。

さて、ネルーダは、アーティチョークもメタファーで表現しました。
国民的詩人は、アーティチョークを何に例えたのでしょう。

ヒントは、アーティチョークの下ごしらえにあります。




答えは、柔らかい実を堅い鎧で包んだ戦士だそうです。
彼が亡命したのはカプリ島だったので、彼が知っていたアーティチョークはロマネスコではなくて、もっと棘々した品種だったはず。
ロマネスコは棘がないので非武装の鎧ばかり立派なボンボンみたいな太っちょ戦士ですね。
私の比喩の才能なんて、こんなもんです。




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“カルチョーフォ・ロマネスコ”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年2月号に載っています。
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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...