さて今回は、地方料理のパンの話。
イタリアで一番有名な地方料理のパンと言えば、ピッツァ。
他に有名なのは、トスカーナのパーネ・ショッコとか、ロンバルディアのミケッタ、トリノのグリッシーニ、シチリアのごまつきパン、プーリアのパーネ・ディ・アルタムーラなど硬質小麦粉のパン、フェッラーラの奇妙な形のパン、北イタリアのライ麦パン、リグーリアのフォカッチャ、などなど。
まだ無数にあります。
偶然ですが、「総合解説」の次号には、「アルト・アディジェ料理」の記事が載ります。
パンはアルト・アディジェの名物の一つなので、その料理にも、パンを使ったものが欠かせません。
その中に、名前がチョー読めないパンが登場。
そうでなくても、アルト・アディジェの料理名や地名は、ドイツ語系で???なのに、
今回は、schüttelbrotと、 Vinschger Paarl。
チョー読めない。
で、ぐぐったら、なんと、このブログでも4年前にschüttelbrotを紹介していたことを発見。
schüttelbrotの記事
↓
http://prezzemolo-creapasso.blogspot.jp/2008/06/blog-post_13.html
シュッテルブロートでした。
Vinschger Paarlはヴィンシュガー・パール?
こんなパンです。
この写真をのせたブログによると、ヴィンシュガーはヴァル・ヴェノスタという地名のこと、パールとはペアーという意味で、丸いライ麦パンが2つくっついた形のパン。
ちなみに、ブログ主さんはアルト・アディジェの観光ガイドさんのようです。
アルト・アディジェには、あまりイタリアらしくはないけれど、もっと言いやすくて有名なパンがあります。
brezel(プレッッェル)です。
常識的にはドイツやスイスの名物パンとされますが、正確には、ドイツ、スイス、アルト・アディジェの名物パンだったんですねー。
『IL LIBRO DEL PANE』によると、アルト・アディジェのプレツェルにはこんな伝説があるそうです。
昔々、王様が、太陽の光より3倍輝くものを作れ、という命令をパン屋に下しました。そこで天才パン職人が考え出したのは、黒パンに岩塩を散らすという方法でした。
プレッツェルは今はビアホールの定番のつまみですが、かつては修道院でも作られていました。
プレッツェルの形は、修道士たちがお祈りの間腕を組んでいる姿を模したものだそうです。
メラーノ(アルト・アディジェ)を訪れたイタリア人観光ア客が食べているのは、ソーセージ、プレツェル、ザワークラウト、クネーデル、ビール。
この動画はイタリアの食文化の多国籍ぶりを伝えていて面白く、以前にも紹介しています。
↓
そういえば、イケアに行ったらチャバタというパンをセルフサービスレストランで売っていました。
マクドナルドにも、期間限定メニューで、チャバタというパンを使ったハンバーガーが登場してましたよね。
最近時々見かけるようになって気になっていたチャバタですが、イタリアではチャバッタciabattaです。
夏バテしたみたいな、ぐたっとした生地なんですね。
とても一般的でサンドイッチやパニーニに最適のパンですが、どこでいつ生まれたパンかというのは、はっきりしていないようで、諸説ありますが、どれもこれといった証拠は示されていません。
とりあえず、チャバッタというのはイタリア語でスリッパという意味の言葉なので、イタリアで生まれたパンという可能性は大です。
歴史が浅いからか、地方料理としての痕跡はあまり残っていません。
ということは、生まれてすぐに急速に世界中に広まったようです。
『IL LIBRO DEL PANE』には、
「北イタリア全域に広まっているパン。
外側はカリッとしているが多孔質、中はふんわりしているので、味が濃い料理やソースのある料理、つまり北部の料理と相性が良い。
時間と力をかけてこねた生地を、スリッパ型のサンダルのような形に伸ばすところから、この名がついた」
と紹介されています。
上の動画は、確かに生地をスリッパみたいな形に成形してましたねえ。
アルト・アディジェのチャバッタはライ麦とクミン入りです。
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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2011年5月号、“アルト・アディジェの味”の記事は近日発売の「総合解説」2011年5月号に載ってます。
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