今日は、黒トリュフの話。
黒トリュフと言えばフランス、特にペリゴール産。
そしてイタリアなら、ウンブリア州ペルージャ県のノルチャ産。
といったところが、世界的に知られる黒トリュフでしょうか。
でも、イタリアの黒トリュフは、ノルチャ産だけではありません。
実際、イタリアでは、ヴァッレ・ダオスタとフリウリ=ヴェネチア・ジューリア以外のすべての州で、何らかのトリュフが採れ、栽培されています。
特にネーロ・プレジャートに関しては、最近ではピエモンテ州が強力に売り出しています。
↓ノルチャで年に一度開かれる町を挙げてのイベント、“ネーロ・ノルチャ”。
毎年2月の週末に行われています。
来場者は約2万人。
トリュフだけでなく、生ハム、腸詰めなど、ノルチャやウンブリアの名物を満喫できます。
ノルチャは鉄道も通っていない標高600mの町。
気軽にぶらっと立ち寄る、という訳にもいきません。
どうせ行くなら、こんな機会にじっくり滞在してみたいもの。
ネーロ・ノルチャのwebページはこちら。
↓ノルチャと同じペルージャ県の人口500人弱の町、スケッジーノでもトリュフ祭り、“ディアマンテ・ネーロ”を開催。
2011年3月の祭りでは、卵1000個、黒トリュフ30kgを使って世界最大のトリュフのフリッタータを作りました。
ちなみにトリュフのフリッタータは、卵におろしたトリュフと塩を加えてオリーブオイルで焼きます。
イタリアの伝統料理の中でトリュフを使ったものというと、ピエモンテの白トリュフを使ったパスタや目玉焼きあたりがよく知られていますが、黒トリュフとなると?
・・・。
イタリアの黒トリュフの伝統料理は、主に中部のリチェッタなのですが、今ひとつ思い浮かばないですねえ。
そこで、ノルチャの黒トリュフのwebページから、リチェッタをいくつか訳してみることにします。
まずは前菜。
原文はこちら。
タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャートのブルスケッタ Bruschette al tartufo nero pregiato |
材料: スライスしたパン EVオリーブオイル にんにく・・1かけ 赤唐辛子 タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャート・・100g 骨を取ったオイル漬けアンチョビ・・1尾 塩、こしょう |
・トリュフは土をきれいに取り除き、細かくおろす。 ・オリーブオイル1/2カップににんにく、唐辛子少々、塩、こしょう、フォークで潰したアンチョビを入れて熱し、にんにくに色がついたら火から下ろす。 ・粗熱を取ってトリュフを加える。 ・これをトーストしたパンにかけ、必要なら塩をする。 |
つぎはスパゲッティ。
原文はこちら。
タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャートのスパゲッティ Spaghetti con il Tartufo Nero Pregiato di Norcia |
材料: スパゲッティ・・500g 骨を取った塩漬けアンチョビ・・1尾 タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャート・・90g にんにく・・1かけ EVオリーブオイル・・100ml |
・オリーブオイルににんにくを入れてソッフリットにする。 ・アンチョビを塩抜きしてオイルに加え、フォークで潰して溶かす。 ・トリュフを粗くおろし、火から下ろしたオイルに加える。 ・すぐにゆでたてのスパゲッティにかけてあえる。 ・イタリアンパセリやトリュフのスライスで飾ってもよい。 |
↓イタリアの食文化研究家で農学者のアウグスト・トッチ氏が教えるタルトゥーフォ・ネーロ・ディ・プレジャートのスパゲッティ。
上のリチェッタとまったく同じです。
もう一つパスタ。
原文はこちら。
タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャートとサルシッチャのタリアテッレ Tagliatelle con Tartufo e Salsiccia Tartufo |
材料: 卵入り麺のタリアテッレ・・500g 生ソーセージ・・3本 EVオリーブオイル タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャート・・90g 塩、黒こしょう |
・オリーブオイルににんにくのみじん切りを入れてソッフリットにする。 ・生ソーセージは皮をむいて崩し、オイルに加えて炒める。必要ならタリアテッレのゆで汁をかける。 ・タリアテッレをゆでる。 ・トリュフを粗くおろしてソーセージのソースに加え、1分なじませる。塩、こしょうで調味する。 ・タリアテッレをソースであえる。 |
次はセコンド・ピアット。
原文はこちら。
アニェッロ・タルトゥファート Agnello Tartufato |
材料: 子羊の肩肉・・1.5gj EVオリーブオイル フェンネルシード・・1つまみ ローズマリー・セージ・ローリエを束ねる・・2束 赤ワイン 黒トリュフ 塩、こしょう |
・肉を切り分け、オリーブオイル、塩、こしょう、フェンネルシード、香草1束で2時間マリネする。 ・肉の油をきり、浅鍋で表面を焼く。 ・赤ワインと残りの香草の束を加え、肉に火を通す。 ・出来上がる少し前に香草を取り除き、トリュフをおろしながら加える。 ・蓋をして数分置く。 |
香りが全ての白トリュフは、表面積が広くなるようにスライサーで薄~くスライスして、そのまま料理に散らすだけで、一日中香りの余韻が残るぐらい堪能できます。
一方、黒トリュフは香りだけでなく、歯ごたえも味わうトリュフです。
短時間の加熱もOK。
オリーブオイル、塩と一緒にすり潰してペーストにすることもできます。
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関連誌;『V&S』2009年4月号
“タルトゥーフォ・ネーロ・プレジャート”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年4月号に載っています。
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2 件のコメント:
youtubeにノルチャで行った店のおじさんが出てました。まあ、目立つ場所にありましたからね。しかしあの静かな街に2万人ですか。イタリア人はほんと食に保守的かつ貪欲ですからね。
くるりさん
知ってる顔があったんですか。
記憶力もスゴイ!
これは大きなイベントのようですね。
私が大昔に行った時は、黒トリュフを食べようという考えはまったく浮かばなくて、もったいないことしました。
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