2009年7月3日金曜日

ラディッキオ

今日はラディッキオの話。
クレアパッソでもうすぐ配本の『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。

ラディッキオは、チコリの仲間。
うんとおおざっぱに言えば、チコリの仲間の中で葉が赤いものをラディッキオと呼びます。
イタリアでは、チコリの仲間の中で最も多く栽培されているのがラディッキオ。

ラディッキオの語源は、「根」という意味の“ラディーチェ”。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事によると、イタリア人は、“ラディッキオ”という音の響きから、軽快でしゃきしゃきっとしたイメージを感じるのだそうです。
パリっとしたみずみずしい冬野菜、といったところでしょうか。

チコリは、地中海地域では文明の誕生と共に知られていた植物。
ラディッキオは、15世紀頃にヴェネトに伝わったチコリの一種を改良して作られたものだそうです。


ラディッキオにもいくつか種類があり、それぞれに、誕生した町の名前がついています。

まず、キャベツのような球形のラディッキオ、
ラディッキオ・ディ・キオッジャ
日本でもこの形はおなじみですよね。
1930年代生まれでラディッキオの中では一番新しい品種ですが、今ではイタリアでもっとも多く栽培されているそうです。
つまり、栽培しやすい品種として作られたのでしょうね。


photo by topquark22


ずんぐり形のラディッキオ・ディ・ヴェローナ

白地に赤い斑入りの花のようなラディッキオ・ヴァリエガート・ディ・カステルフランコ
見た目と同じでデリケートな味。

白菜形のラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ・プレコーチェ
苦味が強いタイプ。

そして、ラディッキオのスター、ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ・タルディーヴォ


photo by mararie


ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾには、プレコーチェとタルディーヴォの2種類があります。
“プレコーチェ”とは「早生」という意味で、秋の初めに市場に出てきます。
“タルディーヴォ”は「晩生」という意味で、11月の霜をかぶってから登場します。


様々あるラディッキオの中でも、やはり目が釘付けになるのがラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ・タルディーヴォ。
美しい形ですよねえ。
この形は、独特の軟白栽培によって作られます。

イタリアには、カルド・ゴッボやホワイトアスパラガスのように、高度な軟白技術によって作られる野菜がいくつかありますが、このタルディーヴォもその一つ。

タルディーヴォの場合は、冬になって収穫したら、根を湧き水に漬けるという方法です。
この水はトレヴィーゾ地方の川からやってきた水で、適度な温かさを保っています。
この水を吸ったラディッキオは、株の内側から新しい芽を出して、白くて柔らかい葉を作ります。
この部分がタルディーヴォの食用部分です。


その様子がよく分かる動画をどうぞ。
英語です。

まず最初に、種を取るために良い株を選んで埋め換え、花を咲かせて虫に受粉させ、出来た種を夏に畑にまきます。
冬が訪れてラディッキオが最初の霜をかぶったら、収穫します。
そして根を、水温10~12度の川からの水に20~25日漬けます。
すると株の中では新しい芽が出て・・・。






様々な改良や手間をかけて作られたラディッキオ。
こういう圧倒的に美しい形を造り出すセンスは、イタリア人ならではですねえ。

ラディッキオの話、次に続きます。


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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2008年2月号
“ラディッキオ”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年2月号、P.29に載っています。


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4 件のコメント:

くるり さんのコメント...

ラディッキオって、冬野菜だったんですかー。全然知らなかった。しかもわざわざ白くするためにこんな手間暇かけるなんて、白至上主義みたいのがあるんでしょうか、ヴェネトあたりって。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
7月だというのに、冬野菜の話してます(笑)
野菜を白くするのが好きなのは、なぜなんでしょうねえ。次回のブログは、タルディーヴォがどうやって誕生したかっつー話です。

vittorio さんのコメント...

私、キオッジャにも住んでいた時がありました、漁業の町ですよねぇ~、

長崎の出島のようで平行何本も水路がありますよね、先端の船場からヴェネツィアに行ってました。

ラディッキオ・ディ・キオッジャも有名ですよね、日本の市場ではトレヴィスとして売ってますよねぇ~。

いろいろな形のラディッキオ懐かしいです、またほろ苦さが何ともいえなく好きですね、ヴェネトの時のスタッフもラディッキオがすきな見たいで、まかないで三日に一回はラディキオのリゾットでした(笑)、インサラタも最高、

例のお父様のフィノキオで私の注文ミスと勘違いしたスタッフのステファノが「今日から俺が注文する」っと、何日かしたある日、注文とは違うラディッキオ・ディ・キオッジャが山のように着ました、

私が「シニョール・ステファ~~ノ、イタリア語大丈夫でか?笑笑笑」

ステファノ「マンマミーア、悪かった、親父が勝手に持って着てたんだねぇ~」

私「わかってくれればいいんだよ、今日から当分まかないはラディッキョのリゾットだねぇ~、ドルチェもラディッキオにしようか?(冗談)」

ステファノ「ラディッキオが嫌いになりそう(笑)」

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
三日に一度はラディッキオのリゾットですか。ヴェネトですねー。私はまだ一度もラディッキオのリゾットを食べたことがないんですよー。苦いのがちょっと苦手なんですが、一度はトライしてみたいと思っています。
キオッジャは行ったことはないのですが、素朴で魚がおいしい町、というイメージがあります。同じヴェネトでも、トレヴィーゾあたりは高級住宅地が目について、ちょっととっつきにくい雰囲気だったなあ。

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...