イタリア料理ほんやく三昧: マスカルポーネ

2010年6月3日木曜日

マスカルポーネ

今日はマスカルポーネの話。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。



Mascarpone, photo by DavidErickson


ティラミスのおかげで日本にも定着しましたねえ。


Tiramisu, photo by Sifu Renka



このチーズ、その最大の特徴は、なんと、「チーズの味がしない」ということ。

マスカルポーネは、外見、味、製法のどれを取っても、いわゆるチーズより、製法的にはチーズに分類されないリコッタの方に似ています。

そもそも、マスカルポーネは、いったいどうやってできるのでしょうか。
その製法は、案外知られていない気がします。

マスカルポーネの原産地はロンバルディアのローディとアッビアテグラッソ地方。
この地方の方言で、「ミルクのクリーム」という意味の“マスケルパ”という言葉がマスカルポーネの語源、という説が知られていますが、他にも諸説あります。

たとえば、“マルケルパ”というのはロンバルディアの一部では多い名前だそうで、「マスケルパ酪農場で作った“マスケルポーネ”というチーズが元祖」、という、大物スポーツジャーナリストの説がwikiには載っています。

でも、一番魅力的なのはスペイン語説。
いわゆる俗説というやつです。
スペイン王のある高官が、このチーズを食べて思わず「mas que bueno!」と叫んだ、という話。
“マス・ケ・ブエノ”が、どうなまったのかマスカルポーネになった、という、ちょっと強引な説です。


マスカルポーネの原料は、最も有力な語源説の通り、「ミルクのクリーム」。
つまり、牛乳から分離させたクリーム分。
これをリコッタのように高温(85~90度)に熱します。
普通のチーズならここに、子牛などの胃袋から取ったレンネットを加えて固めますが、マスカルポーネはクエン酸や酒石酸という、動物由来ではないもので固めます。
これがマスカルポーネがチーズの味がしない理由なんですねえ。
凝固したら冷やしてから水切りし、乾かして出来上がり。


今では工場で大量生産されるマスカルポーネが主流ですが、酪農場で手作りされるものは酸味があるのが特徴なのだそうです。
マスカルポーネのルーツの一つ、ローディ県の公式サイトには、レモン汁で固めると書いてあります。
なんとローディのマスカルポーネのキャッチフレーズは、「ローディの黄金」。
ローディ人は、マスカルポーネを使ったティラミスやカンノーリ・ロディジャーニを毎日食べます、とも書いてありますねえ。
「マスカルポーネの代わりにもっと安い食材で作ったティラミスもありますが、それでは“上に引っ張り上げる”だけの力は出ませんよ!」だそうです。

こちらのサイト


ローディ風カンノーリ Cannoli alla lodigiana
写真と作り方の原文はこちら

材料:
 カンノーリの皮
 刻んだへーゼルナッツ・・50g
 マスカルポーネ・・500g
 クレーマ・パスティッチェーラ(カスタードクリーム)・・300g
 ドレンチェリー

・クレーマ・パスティッチェーラにマスカルポーネを加えてなめらかになるまでホイップする。
・ヘーゼルナッツを加える。
・クリームを絞り袋に詰めてカンノーリの皮の中に絞り出し、チェリーで飾る。





-------------------------------------------------------

関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2008年6月号
“マスカルポーネ”の記事の解説は、「総合解説」07&08年6月号に載っています。

[creapasso.comへ戻る]

=====================================

0 件のコメント: