イタリア料理ほんやく三昧: フィノッキオ

2009年6月15日月曜日

フィノッキオ

今日はフィノッキオの話。

フィノッキオ(フェンネル)は、地中海の沿岸部が原産地。
地中海を象徴する野菜と言えばトマトやズッキーニなどがありますが、これらが中米や南米原産なのに対して、フィノッキオは純粋な地中海生まれ。
イタリア南部も原産地の中に含まれています。
日本の気候には適さないのか、地中海料理がこれだけ広まった今も、いまだに一般的な野菜にはなっていませんねえ。


フィノッキオには、栽培ものの“フィノッキオ”と、野生の“フィノッキオ・セルヴァティコ”、別名“フィノッキエット”の2種類があります。
フィノッキオは、主に茎の根元がふくらんだ球茎の部分が食用。
フィノッキエットは、主にバルベ(ひげ)と呼ばれる葉の部分を香草として使います。
種はスパイスとして使い、花はエッセンスオイルを取ったり、料理の飾りに使ったりします。



フィノッキオ・コルティヴァート, photo by sassyradish



手前にあるのがフィノッキオ・セルヴァティコ, photo by the weed one


フィノッキオは古くからある植物で、ギリシャ神話にも登場します。
人間に火を伝えたとされるプロメテウスは、フィノッキオの茎の中に火を隠してオリンポスから持ち出したんだとか。
なるほど、あの白くてぷっくりした球茎なら、葉をはがして、提灯のように火を包むことができたかも・・・。

ん?
そう言えば、栽培もののフィノッキオは野生のものよりずっと後に登場したんじゃなかったっけ。
シャルルマーニュ大帝(別名カール大帝、742~814)は、フランス南部でフィノッキオを栽培するべし、という法令を出したことがあるそうです。
その時、皇帝が栽培するように指定したのは、当時の新しい品種でした。
それまでのフィノッキオは、細い茎に“ひげ”がわさわさとついていた(つまりフィノッキエットですね)のに対して、新しいフィノッキオは、食べることのできる球茎の部分が大きく膨らみ、葉の部分が小さい品種でした・・・。

つまり、ギリシャ神話の時代には、ぷっくりしたフィノッキオはなかったということでは?
いやいや、これ以上追及するとギリシャ神話にケチをつけかねないのでやめておきます。

ちなみに、シャルルマーニュ大帝はフランク王国の王だった人で、ローマ皇帝の称号(別に東ローマ皇帝もいましたが)も手に入れました。
フランク王国は、ローマ帝国没落後の西ヨーロッパで最大の勢力があった国で、後に分裂して、フランスと神聖ローマ帝国になります。
神聖ローマと言う言葉に反応したあなた、『ヘタリア』好きですね~(笑)♪
(今や、日本だけでなく世界中の女の子たちに大人気のwebコミック&アニメ『ヘタリア』)


フィノッキオの基本的な調理方法は、蒸す、ゆでる、ブラザーレする、煮る、焼く、揚げる。
あるいは生でインサラータに。
ゆでた後にグラティナーレしたり、キッシュのようなタルトにしてもいいですよね。


フィノッキオのブラザートの動画です。
薄切りにして、樹脂加工のフライパンでオリーブオイルで約10分ブラザーレしています。




野菜のブラザーレは、炒めるのではなく、放っておく調理方法。
この動画の場合はカリッと仕上げるために蓋をしませんが、しんなりさせたい時や厚いくし切りの時は蓋をします。
フィノッキオは、くし切りにしてバターでブラザーレすることもよくあります。
オイルにアンチョビーを加えたり、仕上げにチーズや香草を散らすのもいいですね。


次回はフィノッキエットのリチェッタです。


今日のおまけ。
『ヘタリア』の海外での人気はなかなかすごいですねー。
アメリカのサンノゼで行われたアニメコンで、ヘタリアのコスプレをした女の子たちの楽しそうな姿をどうぞ。
こちら
登場人物の一人、ロマーノ(南イタリアを擬人化したキャラクター)が歌う日本語のトマトの歌に合わせて、自然発生で踊ってます。
「パスタ~!」は、もはや世界中のヘタリア好きの合言葉。



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12 件のコメント:

くるり さんのコメント...

ある店でフィノッキオ・セルヴァティコですと出されたので、ええっ?野生のフィノッキオが日本にもあるんですか?と驚いて聞いたら、それを改良した品種だって。それじゃあ看板に偽りありじゃんと思ってしまいました(プレッツェーモロさんに聞いたばっかりだったのですぐ反応してしまったのですが、店の人もそこから対応が変わりました(笑)
しかし、フィノッキオのブラザート、めっちゃかんたんでうまそうですね。どっか日本でも出してくれるとこはないだろうか(そればっかり)

Vittorio さんのコメント...

画像のフィノッキオご立派ですね、

イタリアで私はフィノッキオは多く使った野菜の一つで思い出深い野菜です、
料理方は同じです。特にインサラタにしていました、

臨時シェフ1日目にオーナーのお父様に電話で注文したら、次の日出勤して扉を開けたらフィノッキオの強烈な香りが…、70cm位の葉茎ごと持って来たもので階段の踊り場までフィノッキオに埋め尽くしされてました、(笑)お父様が勝手にいっぱい持って来てしまったんですが、私が注文を間違えたと思ったスタッフが「イタリア語大丈夫ですか?」(笑)

葉茎は日本では貴重なのですが、もったいないのですが、ゴミ袋10袋位廃棄処分です

ギリシャの方では葉っぱは香りがいいので、トイレに置いてあったレストランがいっぱいあったような…。

私が働いていた所は専用のカッター機もありました。

そういう歴史があったんですね、フランスでも良く使っていました、

オカマぽい男の人を見る度に、友人達は「あいつはフィノッキオみたいやつだなぁ~」と良く言ってましたけど、なんか意味があるのでしょうかねぇ?

おしゃるように日本ではあまり見ないですね。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
フィノッキオ・セルヴァティコを改良したら、それは普通のフィノッキオですねー(笑)。
野生のフィノッキオが生えている場所が日本にあったら、そこはきっと地中海性気候で、レモンやオリーブも育つに違いないですよ。あっ、ウチワサボテンも育つかも!
さすがにフィーコ・ディ・インディアを出してる店は、日本にはないだろうなあ。
この動画のフィノッキオのブラザートは、簡単に作れそうですね。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
フィノッキオの切り落としが10袋ですか!それはすごい。実際に使える部分は半分以下なんですね。
ギリシャでは葉っぱをトイレに置くんですか。ほお~(メモメモ)。

フィノッキオがオカマという意味なのには諸説あって、一番怖いのは、宗教裁判で有罪になった同性愛者を火あぶりの刑にする時に、肉体を浄化させる、という目的で、香りの強いフィノッキオ・セルヴァティコの束を薪に加えたことが起源と言う説。
あと、フィノッキオは香りが強いので、安物ワインの質をごまかすために加える、なんてことが昔はあったそうです。それで、イタリア語ではだますことを“インフィオッキアーレ”と呼ぶんだそうです。そんな意味から、オカマちゃんという意味で使われるようになったみたい。
イタリア語にはオカマっていう意味の言葉が色々あるような・・・。

Vittorio さんのコメント...

イタリアの友人に聞いても明確な答えが得られないまま今まで来ました、prezzemoloさんの解説を聞いて一気にすっきりしました、グラッチェ ミレ、

市場で高額な値段で売られている香草のフィノッキオの葉を見る度に、これ廃棄処分してたんだよなぁ~って思ってしまいます。

フィーコディンディアもclaudioのマンマに出してもらってビックリした美味しさでした、種?が引っかかりましたけど、フルーツの部類何でしょうね。

くるり さんのコメント...

フィノッキオと全然関係ないんですが、何かでフィノッキオ入りのおぼれだこがあると見ました。真だこの取り寄せをするのですが、生トマトで煮込むかホール缶にするかどうしよう、煮込む時間も何時間もできないしと悩んでいます(¨;)
本当のおぼれだこのレシピ、わかれば教えていただけるとありがたいです。あとシャコのレシピも・・・。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
フィーコ・ディンディアの種、シチリアのおじさんは全部飲んじゃうと言ってましたが、初心者にはなかなかねえ。
でも、サボテンの実だとは思えない美味しさですよね。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
タコのアッフォガートにフィノッキオを入れるとしたら、セルヴァティコの可能性が高いかなあ。
レシピ、探してみますね。
ちょっと時間ください。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
タコのアッフォガートですが、ナポリ風だと、古いレシピではトマトは入らなくて、トマト入りはPolpo alla lucianaと呼びます。

『La Grande Cucina Regionale Italiana』という本には、こう書いてあります。

4人分
タコ2杯計1kgを肉叩きや棒で叩いて繊維を切る。
目、口、内臓を取って洗う。
完熟トマト350gは皮と種を取って刻む。
テラコッタの深鍋に入れ(鍋の高さの半分まで)、トマト、プレッツェーモロ30gのみじん切り、唐辛子1片(好みで)、塩、こしょう(唐辛子を加えない場合)、オリーブオイル1カップを加える。
わら半紙などを半分に折って鍋にかぶせ、外れないように糸で縛る。その上に蓋をする(つまり蒸気が漏れないように密閉する)。
ごく弱火にかけ、蓋を取らずに約2時間煮る。必要なら時々鍋を揺する。
できれば火から下ろして1時間休ませてから蓋を取り、皿に盛り付ける。
客の前でカットして各皿に盛り付け、煮汁をかける。レモン汁をたらしてもよい。

カットトマトの代わりに生のトマトを裏漉ししてレードル2杯程度加える、というレシピもあります。調理時間が長く取れないと言う時は、缶詰のトマトやパッサートがいいかも。タコも小さい方がいいですね。

よくイタリアでは、吸盤が2列のタコは岩場のタコ、1列のタコは砂地のタコで質が落ちると言います。くるりさんちのタコはどうでしょうねー。

シャコのレシピはもうちょっとお待ちを。

くるり さんのコメント...

うわー、貴重な時間を有り難うございます!本当のレシピだとやっぱり時間がかかるんですね。無理だから缶詰かなぁ・・・。確か前作った時は生でやったような気がするんですが、2時間ぐらいで勘弁してもらいました(¨;)
吸盤は知りませんでした。あさりの管みたいなことですね。観察しよう(^_^)

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
シャコでしたね。
私がシャコでイメージするのはシンプルにゆでたものなんですが、どうでしょう。
ヴェネチア風ゆでシャコなら、
シャコは軽く塩を加えた湯で約3分ゆでます。
はさみで両側を切って殻を取り除き、身を皿に並べます。
オリーブオイル、レモン汁、塩、こしょう、をホイップしてシャコにかけ、プレッツェーモロのみじん切りを散らします。

ヴェネチアやローマで食べたゆでシャコがとても美味しかったので、他の料理が思い浮かびませ~ん!
ポイントは、ケチケチしないでずらっと皿に並べることかな(笑)

くるり さんのコメント...

うん、全部そうしよう。野菜でも使ってパスタでも作ろうかと思ったのですが、やっぱりシンプルがいちばん。でも半分はわさびじょうゆで(笑)ありがとうございました〜。