パルマとサン・ダニエーレの生ハムの次は、それ以外の生ハムの話。
イタリアでは、北から南まで、各地で生ハムが作られています。
上記の2つ以外で有名なのは、
ヴェネト・ベリコ・エウガネオ
モデナ
トスカーノ
カルペーニャ
ジャンボン・ド・ボス
(ここまではDOP、つまりヨーロッパ諸国公認の産地呼称)
ノルチャ
サウリス
(これらはIGP、つまりイタリアの法律によって保護された地域表示)
といったところ。
プロシュット・ヴェネトは、軽くプレスして作るタイプ。
フレッシュな味で、ぶどうや桃との相性がばっちり。
シンボルマークは羽根のついたサン・マルコのライオン。
モデナの生ハムは、パルマのお隣で作られていて、パルマの生ハムとほぼ同じ。
調和が取れた味をしています。
この写真の左の生ハムはプロシュット・トスカーノで、右はサン・ダニエーレ。
プロシュット・トスカーノは黒ずんだ色をしていますねえ。
肉も赤みの強い色をしています。
トスカーナ地方の香料を加えているのが特徴で、きりっとした塩気があります。
塩気のないパーネ・トスカーノによく合いますよね。
一般的に、イタリアの中~南部の生ハムは、北部のものよりやや辛口です。
プロシュット・トスカーノ造りの動画。
カルペーニャの生ハムは、マルケの生ハム。
グリッシーニに巻きつけたりして、果物などとは組み合わせずに食べるのがお勧め。
脂身も適度に付けてスライスして、あまり冷やさずに、口の中で溶ける脂身の風味も味わいます。
カルペーニャの生ハムの管理組合のhpに、「生ハム上手に切れるかな?」ゲームというのがありました。
なかなか難しいですよ~。
こちら。
「play」をクリックすると、まず包丁が3種類出てくるので、生ハムを切るのに最適のものを選んでください。
間違えたらもう一度選びます。
次に包丁を持ちます。
もつ場所を間違えるとやり直し。
正しい場所を持ったら、さあカット!
上手にカットするコツは、包丁を入れたらぎこぎこ動かさずに、一気に切ることのよう。
ジャンボン・ド・ボスは、ヴァッレ・ダオスタの生ハム。
ヨーロッパでもっとも標高の高い場所(1,600m)で作られているDOPの生ハムなんだとか。
足付きで、軽くプレスしてあります。
野趣のある味で、香草の風味やほろ苦さも。
バターを添えると甘みを感じます。
生産量が少ない生ハム。
ジャンボン・ド・ボスの産地、サン・レミ・アン・ボスはこんな町。
とにかくのどかです。
ノルチャの生ハムはこんな姿。
カットの仕方によって、“ヴィオロンチェッロ”(チェロ)と呼ばれる独特の三角形をしています。
塩漬けするときに、バルサミコ酢、こしょう、スパイスも加えます。
原料の豚肉が外国産の場合もあるために、DOPではなくIGP製品。
熱いパンのクロスティーニにバターを塗ったものを添えてどうぞ。
サウリスの生ハムは、フリウリ産で、イタリアで唯一、軽くスモークする生ハムです。
サウリスはフリウリでもっとも標高の高い場所にある町(1,212m)で、周囲をアルプスの山々に囲まれています。
かつては、冬になると雪で閉ざされて外部との交通手段がなくなる、いわゆる山の孤島でした。
この町が有名になったのは、14世紀にヨーロッパ全土がペストに襲われた時。
この時、サウリスはペストの影響をまったく受けませんでした。
外部との接触が断たれた環境が幸いしたのかもしれません。
偶然、その数十年前に、イギリス人の巡礼によって、サウリスにある聖人の遺体の一部がもたらされていました。
そこで、ペストの被害を受けなかったのは、その聖人のご利益だという噂が広まり、それ以来サウリスは巡礼地となって多くの人が訪れるようになったのだそうです。
冬の間は暖炉の周りに集まって暮らすサウリスでは、薪が燃える香りが、家の壁にしみ込んでいるのだそうです。
そんな環境で、スモークする生ハムはきっと自然に生まれたんですね。
スモークは熟成の前に行います。
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2 件のコメント:
ノルチアの生ハム、そんな形していただろうかと昔の写真を見直したら、三角形のものがありました。でもほとんどはパルマ形?っぽい感じでしたが。地元でも希少なんでしょうかね。
くるりさん
私も大昔にノルチャに行った時は、ノルチャの生ハムというものの存在自体知らなかったので、生ハムの形なんてまったく気にしていませんでした。
ただ、ノルチャまで行ってパルマの生ハムは食べたくないというか、やっぱり地元ではノルチャの生ハムを売ると思うんですよね。
また行ってみないと答えは謎のままかなあ。
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