2009年6月1日月曜日

コスタ・ヴィオラのシッラ

今日はカラプリアのヴィオラ海岸の話。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事の解説です。

ヴィオラ海岸。
イタリア語ではコスタ・ヴィオラ Costa Viola 。
日本語ではスミレ海岸・・・。

きれいな名前の海岸ですねえ。
この名前を付けたのがプラトンだとは、歴史を感じますねえ。
なんでも、船から見た夕暮れ時の海岸や海が、さまざまなトーンのスミレ色に染まっている光景に魅了されて、こう名付けたんだとか。
スミレが咲く海岸という訳じゃないんですね。
もちろん、プラトン名付け親説に確たる根拠はありませんが・・・。


コスタ・ヴィオラの場所は、ここ

シチリアとカラブリアの間にあるメッシーナ海峡のすぐそばにあって、ティレニア海に面しています。
西側に海が開けているから、海に日が落ちる夕暮れ時が美しいのでしょうか。



コスタ・ヴィッラを代表する町、シッラの城, photo by fataetoile It's a dream...isn't it?



山の上から見下ろしたシッラと城, photo by ~Tony~


コスタ・ヴィオラの真珠、と形容されるシッラは、ホメロスの『オデュッセイア』にも登場する町なんだそうです。
『ヴィエ・デル・グスト』の記事には、ギリシャ神話に登場するシッラというニンフの話が出てくるのですが、日本人の私たちにはまったく馴染みのない話なので、クレアパッソの「総合解説」には、この神話のもう少し詳しい説明を載せました。

大体こんな話・・・。

シッラはギリシャ語でスキュラと言います。
ニンフのスキュラに、ポセイドンの息子グラウコスが一目惚れします。
グラウスコは魔女キルケに惚れ薬の調合を頼むのですが、なんとここで、キルケがグラウスコに一目惚れ。
ところがグラウスコはキルケを拒否!
げに恐ろしや、女の嫉妬。
キルケは毒薬を惚れ薬と偽ってグラウコスに渡します。
あほグラウコスは、海に毒薬をどぼどぼ・・・。
何も知らないスキュラは、水浴びをしようとその海に下半身を浸しました。
すると、な、なんと、スキュラの下半身は、犬の頭が6つついた蛇になってしまったのですよ~。
ひえ~、ひどすぎる~。
ショックのあまりスキュラは海に飛び込み、それ以来、岩場の岩窟の中で暮らしたのでした。


ギリシャのコインに描かれたスキュラ


『オデュッセイア』の中では、スキュラは通りかかった船の船員を6人食べてしまう怪物とされているんだそうです。
逆恨みでこんな目にあわされたというのに、可哀そすぎる・・・。

フィレンツェのシニョリーア広場にある有名なネプチューンの噴水の台座の一部にも、スキュラの像があるんだそうです。
知らなかったなあ。



1999年のTVドラマ『オデッセイ』から、スキュラの登場シーン。





スキュラとばかり書きましたが、イタリア語ではシッラです。

コスタ・ヴィオラの話、次回に続きます。



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関連誌;『ヴィエ・デル・クスト』2008年1月号
“シッラ”の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年1月号、P.36に載っています。


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5 件のコメント:

くるり さんのコメント...

たしかシッラに2つほど銅像がありましたが、どっちかがシッラ?(ややこしい)

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
多分、左がシッラで右がカリュブディス(カリッディ)です。
どっちも似てるから分かりにくいですよねー。シッラには犬の頭がいっぱいついてます。

Vittorio さんのコメント...

おはようございます。

行ったことがないんですが、マテーラも有名ですよね。

友人のクラウディオとシチリアのラグーサに行く時、コスタ·ヴィオラは通りました、クラウディオが言っていたのを思い出しました、なんせ車でヴェネツィアからの長旅、私がウトウトしたから、運転しているクラウディオを気づかうとクラウディオは寝てました(笑)。彼は今、ラグーサのホテルで総料理長をしているそうで、日本人はあまりいないそうです。

イタリアでは仕事詰めで観光をしたことがないんですが、今度イタリアに行ける機会があれば観光で行きたいです。


話が変わりますが私は飛行機が大の苦手なんです、エールフランス残念です、事故を見て思い出してしまいました、私も1990·11に墜落したアリタリア航空、ミラノ·マルペンサからチューリッヒ·クローテン行きに乗る予定だったんです。
Vittorio

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
あ、失礼しました、メッシーナの銅像と勘違いしました。シッラの銅像、いつの日か、この目で見て確かめたいです~。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
ヴェネチアから車ですか。イタリア縦断ですね~。
ラグーザあたりになると日本人も少なくなるのかあ。ラグーザはいつか行ってみたい場所です。
イタリアをのんびり観光していないとは、もったいない~。でも仕事じゃしょうがないですね。私も仕事だと行く所はいつも同じです。
ひえ~墜落した飛行機に乗るはずだったのに難を免れたなんて、そ、それはすごい運命!そんな経験すると、私なら怖くて二度と飛行機に乗れません。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...