サーモンの話、その3。
今日はスモークサーモンの話です。
ヨーロッパのアトランティック・サーモンの産地(養殖場)は北ヨーロッパに集中していますが、スモークサーモンへの加工は、他の国でも行われています。
フランス、オランダ、ドイツ、スペインなどもスモークサーモンの生産国。
イタリアで、スモークサーモンの中でも特に評価が高いのは、“スコティッシュ・スモークド・サーモン”。
これは、スコットランド産のスコティッシュサーモンをスコットランドで加工した製品のこと。
もしスコティッシュサーモンをイタリアでスモークすれば、それは“スモークド・スコティッシュ・サーモン”(スコットランド産サーモンのスモーク)という商品名となります。
イギリスの法律で、こう定められているのだそうです。
スコティッシュサーモンを買う時は要チェックです。
イギリスの料理はイマイチ、なんて声も聞きますが、スコティッシュサーモンは、文句なくイギリスが世界に誇るグルメの食材。
↓スコティッシュサーモンの養殖場
それでは、スモークサーモンはどうやって作られているのでしょうか。
基本は、まず切り身にし、塩漬けして余分な水分を取り除き、乾燥させ、そしてスモーク。
↓カナダ(ケベック)のメーカーの天然ベニザケのスモークサーモン。
この動画の製品は、かなり手間をかけて作っていますよねえ。
値段もそれなりなのではないでしょうか。
まず、サケは船で冷凍し、工場で解凍して切り身に。
中骨の身はミンチにしてサーモンパイにします。
塩とスパイスをミックスしてサケにまぶし、マリネ。
塩を洗い落とし、次にメープルシロップを塗ってサケに残っている塩気を中和します。
そしてスモーク。
チップはカエデ、サクラ、リンゴの木の順番で3種類使っています。
スモークは低温で行う“コールドスモーク”。
この工場では10度で最低24時間と、かなり低い温度で長時間かけて行っています。
メープルシロップというのは、カナダならではですね。
一般には、塩に砂糖とスパイスを加えて塩漬けしてからスモーク。
この動画のスモークサーモンは高級品ですが、世の中にはもっとお手軽な値段のスモークサーモンもあるわけで、スーパーに並んでいるのはそういうタイプが主ですよね。
そしてお手頃なスモークサーモンは、違う作り方をしています。
スモークサーモンのコストを下げる最大のポイントは、時間の短縮。
たとえば塩漬けは、塩水を針で注入します。
インジェクションという方法です。
インジェクションとは、注射とか注入という意味。
スーパーの塩鮭もこの製法。
インジェクションは、鮭だけでなく、値段の安いハムやベコーンなどにも行われています。
インジェクションによって塩を注入したスモークサーモンは、乾燥塩をまぶしたものと比べて約9%重さが増えます。
さらに、スモークサーモンの場合はスモークにもインジェクションを用いています。
木を燃やして出た蒸気を凝縮した“液体の煙”、リキッドスモークを塗ったり、注入している訳です。
この方法、普通の塩漬けと比べると、味と安全性に劣ります。
値段か、それとも味と安全か。
高級品と激安品、両方の値段があるものほど、消費者はシビアな選択を迫られているんですね。
イタリアの消費者向けの情報サイトのこちらのページでは、スモークサーモンの選び方について、こう説明しています。
まず、色は品質の良し悪しにはあまり関係ありません。
養殖の場合、色素入りの餌によって色を作り出しているわけですから。
もっと重要なのは、大きさです。
大きさがそろっている製品は、サケのもっとも上等の部位から取った、という証明です。
一方、他と比べて小さいものは尾の近くということです。
同じ理由から、大きすぎるのもよくありません。
次はスモークサーモンの料理の話です。
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年1月号
“スモークサーモン”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年1月号に載っています。
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2011年6月3日金曜日
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