イタリア料理ほんやく三昧: パレルモのスフィンチョーネ

2010年11月11日木曜日

パレルモのスフィンチョーネ

きのこの話の続きです。
今回のお題は「南イタリアのきのこ料理」。


まずは、基本を押さえておきましょうか。

そもそも、イタリア風のきのこ料理とは?

やはり、オリーブオイル、にんにく、プレッツェーモロで炒める“トリフォラート trifolato”ですかね。

トリフォラートは、ロンバルディアの方言でトリュフという意味の「trifola」が語源で、トリュフのような香りがするところから、こう呼ばれるようになったと言われています。

きのこの他に、腎臓にもよく使われる調理方法です。

腎臓のトリフォラートはこんな料理


下の動画はフンギ・トリフォラーティ Funghi Trifolatiの作り方の一例。
オリーブオイル大さじ4、バター20g、にんにく2かけにきのこをたっぷり(600g)入れて強火で10分炒める。
塩とたっぷりのプレッツェーモロのみじん切りを加えてさらに5分炒める。




これを手打ちパスタのソースにしても美味しいし、肉や魚のコントルノにしたり、バールではサンドイッチの具にしていますよね。



では、きのこはどう調理すれば南イタリア風になるのでしょうか。

南イタリアの有名なきのこ料理・・・。
うーん、ちょっと思い浮かばない。

そこで、南イタリアのきのこ料理を本で探してみました。


まずはシチリア料理。

シチリア料理のリチェッタ集として最も評価されている本の一つ、『IL DIAMANTE DELLA GRANDE CUCINA DI SICILIA』から、きのこのリチェッタを紹介します。

この本の著者、ピーノ・コッレンティ氏は、シチリアの食文化の研究家としても知られる作家で、イタリア調理師協会(Federazione Italiana Cuochi)シチリア支部(Unione Regionale Cuochi Siciliani)の名誉会長。
ちなみに、会長は別の人です。



まずは、FUNGHI A SFINCIUNI(フンギ・ア・スフィンチューニ)という一品。

この料理名、イタリアの標準語で言うと、Funghi “a sfincione” alla palerminata(フンギ・ア・スフィンチョーネ・アッラ・パレルミターナ)となります。
つまり、「パレルモのスフィンチョーネ風きのこ」。


スフィンチョーネとは、パレルモのストリートフードで、トマト、玉ねぎ、アンチョビー、チーズ、パン粉のトッピングのフォカッチャの一種。

イタリアのWikipediaのこちらのサイトによると、ラテン語で“スポンジ”という意味のspongiaか、アラビア語の“sfang”が語源だとか。
発酵させた柔らかいパンだったから、こう呼ばれるようになったと考えられているそうです。


Sfincione fatto in casa
スフィンチョーネ


スフィンチョーネは、パン屋、ロスティッチェリーア、パスティッチェリーア、家庭など、様々な場所で作られていて、リチェッタも色々あります。

スフィンチョーネの屋台


きのこのスフィンチョーネ風を理解するには、まず、パンのスフィンチョーネのリチェッタを知っておく必要があります。

バリエーションは様々ですが、とりあえず一例を動画でどうぞ。
家庭料理バージョンです。






そして、『IL DIAMANTE DELLA GRANDE CUCINA DI SICILIA』から、ロスティッチェリーア版のリチェッタです。



材料:
 発酵させたパン生地・・500g
 ソース用トマト・・400g
 細くおろしたカチョカヴァッロ・・150g
 おろしたペコリーノ・・50g
 パン粉・・50g
 塩漬けアンチョビー・・6尾
 玉ねぎ・・50g
 プレッツェーモロ
 オレガノ
 レモン汁・・1個分
 オリーブオイル
 塩、こしょう
・レモン汁を熱し、オリーブオイル1/2カップを加えながらホイップする。
・パン生地、ペコリーノ、ホイップしたレモン汁とオイル、塩、こしょうをこねてまとめ、中央にクープを入れる。布巾で覆って数時間休ませる。
・玉ねぎを薄く切って油でしんなり炒め、プレッツェーモロ、皮と種を取って小さく切ったトマト、塩、こしょうを加えて煮る。
・丸いオーブン皿に油をたっぷり塗り、生地を厚さ約3cmになるように敷き込む。火を入れたばかりのオーブンに入れ、通風口を開けたまま温める。
・トマトソースにアンチョビー(骨を取る)の半量とカチョカヴァッロを加えてさらに煮る。
・生地が温まったら指で深い穴をあける。
・ソースの半量を生地にかけながら穴にも詰める。熱くなったオーブンに入れて焼く。
・パン粉をフライパンに入れてオリーブオイルをたらし、炒める。
・生地を30分焼いたところで残りのソースをかけ、残りのアンチョビーを小片にしてのせる。パン粉をかけてオレガノを散らし、再びオーブンに入れて焼く。




どうですか、スフィンチョーネ。
パンの上にパン粉ですよ!
いかにもシチリア、と言うか、いかにもパレルモですねえ。

パレルモの人は、パン粉のことを貧乏人のチーズとか言ってスパゲッティにかけますが、パンをパン粉で調味するとは、男前な料理が多いパレルモならではの発想。
スフィンチョーネがパレルモの外に広まらないのは、このあたりのセンスに原因があるのかも(笑)。

チーズはモッツァレッラではなくカチョカヴァッロ、というのもシチリア風。

このスフィンチョーネ、ルーツはサン・ヴィートの修道院で作られていた古いフォカッチャです。
サン・ヴィートのスフィンチョーネは、中にラグーが詰まっていて、パレルモの大晦日の定番。


きのこの話をするはずが、すっかり横道にそれてしまいました。
次回こそは、スフィンチョーネ風きのこの話です。



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