今回のお題は「南イタリアのきのこ料理」。
まずは、基本を押さえておきましょうか。
そもそも、イタリア風のきのこ料理とは?
やはり、オリーブオイル、にんにく、プレッツェーモロで炒める“トリフォラート trifolato”ですかね。
トリフォラートは、ロンバルディアの方言でトリュフという意味の「trifola」が語源で、トリュフのような香りがするところから、こう呼ばれるようになったと言われています。
きのこの他に、腎臓にもよく使われる調理方法です。
腎臓のトリフォラートはこんな料理。
下の動画はフンギ・トリフォラーティ Funghi Trifolatiの作り方の一例。
オリーブオイル大さじ4、バター20g、にんにく2かけにきのこをたっぷり(600g)入れて強火で10分炒める。
塩とたっぷりのプレッツェーモロのみじん切りを加えてさらに5分炒める。
これを手打ちパスタのソースにしても美味しいし、肉や魚のコントルノにしたり、バールではサンドイッチの具にしていますよね。
では、きのこはどう調理すれば南イタリア風になるのでしょうか。
南イタリアの有名なきのこ料理・・・。
うーん、ちょっと思い浮かばない。
そこで、南イタリアのきのこ料理を本で探してみました。
まずはシチリア料理。
シチリア料理のリチェッタ集として最も評価されている本の一つ、『IL DIAMANTE DELLA GRANDE CUCINA DI SICILIA』から、きのこのリチェッタを紹介します。
この本の著者、ピーノ・コッレンティ氏は、シチリアの食文化の研究家としても知られる作家で、イタリア調理師協会(Federazione Italiana Cuochi)シチリア支部(Unione Regionale Cuochi Siciliani)の名誉会長。
ちなみに、会長は別の人です。
まずは、FUNGHI A SFINCIUNI(フンギ・ア・スフィンチューニ)という一品。
この料理名、イタリアの標準語で言うと、Funghi “a sfincione” alla palerminata(フンギ・ア・スフィンチョーネ・アッラ・パレルミターナ)となります。
つまり、「パレルモのスフィンチョーネ風きのこ」。
スフィンチョーネとは、パレルモのストリートフードで、トマト、玉ねぎ、アンチョビー、チーズ、パン粉のトッピングのフォカッチャの一種。
イタリアのWikipediaのこちらのサイトによると、ラテン語で“スポンジ”という意味のspongiaか、アラビア語の“sfang”が語源だとか。
発酵させた柔らかいパンだったから、こう呼ばれるようになったと考えられているそうです。
スフィンチョーネ
スフィンチョーネは、パン屋、ロスティッチェリーア、パスティッチェリーア、家庭など、様々な場所で作られていて、リチェッタも色々あります。
スフィンチョーネの屋台
きのこのスフィンチョーネ風を理解するには、まず、パンのスフィンチョーネのリチェッタを知っておく必要があります。
バリエーションは様々ですが、とりあえず一例を動画でどうぞ。
家庭料理バージョンです。
そして、『IL DIAMANTE DELLA GRANDE CUCINA DI SICILIA』から、ロスティッチェリーア版のリチェッタです。
材料: 発酵させたパン生地・・500g ソース用トマト・・400g 細くおろしたカチョカヴァッロ・・150g おろしたペコリーノ・・50g パン粉・・50g 塩漬けアンチョビー・・6尾 玉ねぎ・・50g プレッツェーモロ オレガノ レモン汁・・1個分 オリーブオイル 塩、こしょう |
・レモン汁を熱し、オリーブオイル1/2カップを加えながらホイップする。 ・パン生地、ペコリーノ、ホイップしたレモン汁とオイル、塩、こしょうをこねてまとめ、中央にクープを入れる。布巾で覆って数時間休ませる。 ・玉ねぎを薄く切って油でしんなり炒め、プレッツェーモロ、皮と種を取って小さく切ったトマト、塩、こしょうを加えて煮る。 ・丸いオーブン皿に油をたっぷり塗り、生地を厚さ約3cmになるように敷き込む。火を入れたばかりのオーブンに入れ、通風口を開けたまま温める。 ・トマトソースにアンチョビー(骨を取る)の半量とカチョカヴァッロを加えてさらに煮る。 ・生地が温まったら指で深い穴をあける。 ・ソースの半量を生地にかけながら穴にも詰める。熱くなったオーブンに入れて焼く。 ・パン粉をフライパンに入れてオリーブオイルをたらし、炒める。 ・生地を30分焼いたところで残りのソースをかけ、残りのアンチョビーを小片にしてのせる。パン粉をかけてオレガノを散らし、再びオーブンに入れて焼く。 |
どうですか、スフィンチョーネ。
パンの上にパン粉ですよ!
いかにもシチリア、と言うか、いかにもパレルモですねえ。
パレルモの人は、パン粉のことを貧乏人のチーズとか言ってスパゲッティにかけますが、パンをパン粉で調味するとは、男前な料理が多いパレルモならではの発想。
スフィンチョーネがパレルモの外に広まらないのは、このあたりのセンスに原因があるのかも(笑)。
チーズはモッツァレッラではなくカチョカヴァッロ、というのもシチリア風。
このスフィンチョーネ、ルーツはサン・ヴィートの修道院で作られていた古いフォカッチャです。
サン・ヴィートのスフィンチョーネは、中にラグーが詰まっていて、パレルモの大晦日の定番。
きのこの話をするはずが、すっかり横道にそれてしまいました。
次回こそは、スフィンチョーネ風きのこの話です。
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