ポレンタの話ですが、以前にもこちらのページやこちらのページで、ポレンタは北イタリアだけのものではないこと、8列とうもろこしの粉で作るポレンタが美味しいらしい、というような話を紹介してきました。
今回の「総合解説」では、全粒粉、粗挽き粉、コーンフラワーなどの粉の種類に合わせて、銅鍋、圧力鍋、普通の鍋でのポレンタの作り方を紹介しています。
来月号では、そば粉入りのポレンタ・タラーニャなど、ポレンタのバリエーションを紹介しています。
ポレンタの入門編としてはかなり詳細な説明。
イタリア文学に登場した最初のそば粉のポレンタの話などという超マニアックな話題まであります。
ポレンタつながりで、今月の「総合解説」の“冬山のディナー”という記事は、素朴な山の料理で構成するパーティーメニューです。
山の食材で作るディナーとは、どんなメニューだと思いますか。
なかなか面白い料理が並びます。
まず、食事の始まりを告げる1品となるのは、木のトレーに並べられたポレンタのクロスティー二。
オーブンでクリルしたポレンタジャッラに、リコッタ、キノコのマリネ、ブレザーオラをのせた一品。
料理の写真はこちらのページ。
ブレザーオラはロンバルディアはヴァルテッリーナ名物の牛の干し肉。
これが黄色いポレンタの上にのっているだけで、アルプスにいる気分です。
きのこはカルドンチェッリ。
プーリア料理によく使われるエリンギの一種ですが、ポレンタとブレザーオラに挟まれると、アルプス固有のきのこに見えてくるから不思議。
そして次の料理は、フィラッシェッタ。
聞きなれない名前ですが、ロンバルディアの伝統的フォカッチャ。
写真はこちら。
トッピングは赤玉ねぎとバターのソッフリットと、タレッジョやトーマなど、名前の由来にもなっている“とろける(フィーラ)”チーズ、さらに砂糖もかけて焼きます。
これもヴァルテッリーナ料理で、ブレザーオラを添えたりします。
プリーモ・ピアットはそば粉のシュペッツレの玉ねぎのクリームとコテキーノがけ。
シュペッツレはドイツ料理でおなじみですね。
ということは、イタリアでは南ティロル地方、トレンティーノ=アルト・アディジェ州北部の料理ということです。
実は「総合解説」のリチェッタが他のものになっていたので(大変失礼しました)、ここに載せておきます。
材料は問題ありません。
❶ボールに2種類の粉を混ぜて卵を1個割り入れ、塩2つまみを加えて溶く。粉を少しずつ混ぜ込みながら水100mlを加え、均質の生地になったら布巾で覆って30分休ませる。
❷たっぷりの湯を沸かして塩を加える。シュペッツレの型を通して生地を少量ずつ湯に落とす。または鍋の上でポテトマッシャーに通しながら短く切る。1分ゆでて浮かび上がったらすくい取り、すぐに油をまぶす。
❸玉ねぎをみじん切りにして油大さじ2~3とセイボリー、クローブ、塩、こしょうでソッフリットにし、透き通ったら生クリームを加える。シュペッツレを加えてなじませ、小さく切った熱いコテキーノを添える。
コテキーノは、イタリアではレンズ豆を添えて新年に食べる料理として有名ですが、このメニューではコテキーノとレンズ豆をバラバラにして、コテキーノはプリーモ、レンズ豆はサラダにして、セコンド・ピアットに添えました。
セコンドは豚肉のローストのクランベリーのコンポート添え。
肉のローストにベリーを添えるのは北ヨーロッパの手法。
そしてドルチェは、北の山間部で冬の間手に入る唯一のフルーツ、りんごのトルタ。
マロングラッセを加えて素朴さの中にもゴージャス感を。
それでは最後に、イタリアの代表的山岳地の一つ、ヴァッレ・ダオスタのアルタ・クチーナの本のPVを。
山のイタリア料理は、地中海料理としてのイタリア料理とはまったく別の顔で、独自の進化を遂げていますが、アルティジャナーレを尊重するという根本は同じですねー。
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“冬山のディナー”のに日本語リチェッタは、「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年9月24日木曜日
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