2015年5月28日木曜日

ミラノEXPO

今日は、イタリア便りです。
今、話題のあの場所の話。
それでは、どうぞ。


果たして開幕に間に合うのかと言われていたミラノEXPO 2015、ついに5/1から始まりました。
私も早速行って来ました、
€5の夜間入場チケットで!
19時以降に入場できるセラーレという名の夜間チケット、EXPOの雰囲気を楽しむのには最適です。
19時には既に閉館しているパビリオンもいくつかありますが、ミラネーゼの間では週末、セラーレチケットでEXPOに行き、夕食を楽しむというのがブームになっているそうです。
私が行ったのも土曜日。
18時過ぎに入場ゲートに到着しましたが、思ったよりたくさんの人が並んでいました。

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ミラノ市内から公共交通機関でEXPOへ行くには、地下鉄メトロ又は鉄道を利用するという2通りの方法があります。
メトロ側の入場ゲートは、入ってからパビリオンのある場所まで無機質な歩道橋をかなりの距離歩かされます。
時間に制限のあるセラーレの場合は特に、ゲートをくぐればすぐパビリオンがある、鉄道側からの入場がお勧めです。
切符の料金は、メトロが片道€2.50、鉄道は€2.20。
駅の数が少ない鉄道の方が所要時間はやや短いです。

EXPO入場券の購入方法はいくつかありますが、今回は並ぶのを覚悟でスフォルツェスコ城前にあるガラス張りの専用窓口で購入しました。(写真はお借りいたしました)

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中央にたたずんでいるのは、妖怪ではありません。
ミラノEXPOの公式マスコット、Foodyフーディです。
ミラノ生まれの画家、ジュゼッペ・アルチンボルドの絵画をモチーフにDisney Italiaが制作したものです。
よく見ると顔が野菜や果物で出来ている、という印象に残る彼の作品は、フィレンツェのウフィッツィ美術館やパリのルーブル美術館でご覧になった方も多いと思います。
これがフーディっぽいかな。
スウェーデンのスコークロステル城に所蔵されている作品です。

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入場券を購入したら、身支度を整えます。
イタリアにはユニクロやしまむらはありませんが、今や国内ではH&Mとタイマンを張っていると言っても過言ではない、OVS(オヴェッセ)という衣料品店があります。
もともとはイタリアのデパート、COIN系列の1つであったのですが、今はUPIM系列に入っている、れっきとしたイタリア企業です。
ここはミラノEXPOのオフィシャルリテーラーで、EXPO Tシャツを販売しています。


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私も張り切って1枚購入しました。

さて、私の目的は日本食。
日本館のフードコートには現在、CoCo壱番屋、モスバーガー、サガミ、柿安の4店が入っています。
イタリアでも人気の日本食、フードコートは満席でした。

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一番人気はサガミさんの天ぷらそば。
ちらっとお聞きしたところによると、感覚的統計では、お客様のうち4割以上はサガミさんをチョイス。
2番人気はモスバーガーさんなんだそうです。
他の3店に比べると、和牛だから少し値の張る柿安さんはともかく、私の周りのイタリア人にはカレー好きな人が多いので、何かのきっかけがあればCoCo壱番屋さんも超売れっ子になりそうな気がするのですけど。

パビリオンは21時閉館なので、セラーレの場合、見学時間は実質2時間です。
が、面白いと聞いたカザフスタン館に30分も並んでしまいました。
列の後ろの方はタイムアウトで切られていたので、入場できただけ有難いかも。
一口飲んだら飲んだことを後悔する味だと聞いて、楽しみにしていた馬乳の試飲、当日分は品切れでした。
ちなみにセラーレの時間には、どの会場も試食はほぼ残っていませんでした。
カザフスタン館、とっても力が入っているのは、首都アスタナで2017年に万国博覧会が開催されるから。
ちゃんと説明を聞いていないと注意を受けるくらい、アテンダントのみなさんは真剣に説明してくれました。


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展示室を出たところには、郷土料理を楽しめるレストランが併設されています。
業務を終えたアテンダントさん達が閉店したレストランで食べていた賄いの郷土料理がとってもおいしそうで、目が釘付けになりました。
この日は寒かったので、温かそうな一品。
素朴な感じで、私好みだったんです。 後で調べてみたところ、どうやらカザフスタンのグヤーシュらしい、ということが分かりました。
遊牧の民には、グヤーシュは定番の郷土料理なのですね。
なるほど。
ハンガリーのグヤーシュが肉じゃがになったような感じの賄いは、具が大きくて、スープは少なめ、お味もハンガリーやイタリアのものとはきっと違うんだろうなぁ。
物欲しそうに見ていたら、閉館だからと追い出されました。 シルクロードの中継地であったこの国は、ヨーロッパ、トルコ、アラブ、アジアの文化が融合しているらしく、アテンダントさん達のお顔も様々。ロシアほど我が強くなさそうだし(おや、失敬!)、アジアみたいに勤勉な印象を受けました。
私、秘境系ハンターではありませんが、カザフスタン、ちょっと行ってみたくなりました。

今回残念だったのは、せっかくEXPO Tシャツを着て行ったのに、寒くて上着が脱げなかったこと。
あはは。
今のところ、夜は23時までですが、週末のみ0時までになるという噂もあります。
10月末まで開催されておりますので、みなさんぜひミラノEXPOにいらして下さい。 私もまた行きます、多分、セラーレで!!(笑)



Segnalibroさん、今回もあざーす。
また行くなんて、うらやまし~。

寒くて上着が脱げない、ですか。
日本は30℃超えの真夏日で、熱中症とか光化学スモッグ注意報発令ですよ。
まあ、地震もあるけど。

グヤーシュって何?
ハンガリーの食べ物ってことは、ひょっとしてグーラッシュ?
ていうか、今時の人は、グーラッシュなんて言わないの?
ちゃんと説明を聞いていないと注意を受けるカザフスタン館、行ってみたいなあ。

おまけの写真はさすがはディズニークオリティーのFoody。
キモカワイイ。

Expo 2015 Foody mascotte


野菜たちのキャラクターが超かわいい。
 ↓



各野菜が主人公のアニメも、かわいすぎる。
 ↓


いちじくのロドルフォは、ちゃんと大事なところをいちじくの葉っぱで覆ってます。


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2015年5月25日月曜日

カプンティ

今日はパスタの話。
今月の最も印象に残ったパスタは、カプンティcapunitです。
人間味あふれるあったか~い手打ちパスタの宝庫、プーリアの、ひっかいて作るパスタ、pasta strascinateの1つです。

一番小さいのは指3本を使って作るカプンティ・ア・トレ・ディータcapunti a 3 dita。
ちなみに、指1、2本だとカヴァテッリcavatelli。
下の写真のカプンティは、どうやら指4本で作っているよう。


Capunti.


4本指のカプンティと2本指のカヴァテッリ。
 ↓




3、4本なら、まあ普通のカプンティですが、「総合解説」に載せたのは、なんと指8本。
両手の人差し指から小指まで使います。
単純に考えても、4本指のカプンティの2倍の長さ。
写真を見る限り、おいおい、とつっこみたくなります。
多分、プーリアのパスタで一番ボリュームがある麺なのでは。

8本指のカプンティを作っている人がいました。
貴重な動画です。
 ↓



微妙に7本指だったりしてますが、どうやら実在する麺のよう。
どうやって食べるんでしょうね~。






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“オレツキエッテと仲間たち”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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2015年5月21日木曜日

アンフォラボトル

ワインのボトルの中には、“アンフォラ”という名前の形があるそうです。

アンフォラと言えば、古代ギリシャやローマの遺跡から見つかる、ワインや油を入れていた陶器の壺。

古代ローマとギリシャ時代のアンフォラのコレクション。
  ↓
Wandering through orderly amphorae in the Greek & Roman study collection @metmuseum for inspiration for #SlowArtDay2015. #ITweetMuseums #metmuseum

とがった先端を地面に突き立ててまっすぐに立てることができました。

アンフォラ型のボトル。
 ↓
Metaxa Amphora 7 Star 40%

イタリアにも、こんな形のボトルに入ったワインがありました。

ヴェルディッキオです。
 ↓



この形のボトルは、1954年、ファーツィ・バッターリアのヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ・ティトゥルスのために、コンペで優勝した建築家のアントニオ・マイオッキが、エトルリアのワインの壺を基にデザインしました。


ファーツィ・バッターリアのヴェルディッキオの製造過程。
ここで製造しているのがティトゥルスtitulusです。
 ↓



1949年創業のワイナリーなので、創業してすぐにこの形を導入したんですね。
webページには、それまでほとんど知られていなかったヴェルディッキオが、わが社が考案したアンフォラボトルによって世界的に有名になったと書かれています。
あまりに有名になったので、他のワイナリーも追随して、このアンフォラボトルがヴェルディッキオのシンボルとなったのでした。
確かに、ヴェルディッキオがアンフォラボトルじゃないと、テンション下がる世代だなあ。

おまけの動画、2014年度、イタリア最高ソムリエの候補たち。
インタビューを受けている人がイタリアソムリエ協会会長、ジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏。
 ↓


選考過程で、田崎真也氏の写真が写しだされてましたねー。
何と、ワインの世界の有名人の説明をする、という問題だそうです。
コーヒーやビールのテイスティングもしてます。
ソムリエってすごすぎる。

選ばれたのは、モンテカルロのホテル・メトロポールのロブションのレストランのソムリエ、サルヴァトーレ・サレルノ君、25歳。


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“ワインボトルの形”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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2015年5月18日月曜日

アルベイザ

今日はワインの話。
イタリアソムリエ協会会長のジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏が、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』誌で連載しているコラム 、11月号のお題は、ワインボトルの形です。

ボルドータイプとか、ブルゴーニュタイプ程度なら、素人でも知ってます。
でも、アルベイザなどのイタリアワイン独特の形と名前は、知らなかったなあ。

バローロ、バルバレスコといったピエモンテのワインが独特の形をしているということは、なんとなく知っていました。
そのボトルには、アルベイザalbeisaという名前があったんですね。
アルバが語源だけあって、アルバ産のワイン用のボトルです。
アルバワイン生産者組合のwebページによると(こちら)、他のワインと区別する意味もあって18世紀から独特のボトルが造られていたそうですが、ナポレオンの侵略によって、型を使って成形できて値段も安い、フランスのボルドーとブルゴーニュタイプのボトルに押されて消えてしまいました。
1973年に、16軒のボトル製造業者が集まって、古いアルベイザを、現代的な需要に合わせて復活させ、albeisaというレリーフ入りのボトルの製造を始めました。生産者組合も設立されます。
目的は、ランガとロエーロの上質ワインのさらなる差別化です。

上からボルドー、ブルゴーニュ、バローロ。
よーく見ると、albeisaというレリーフがある。
 ↓
2008 Château Méric Médoc 2008 chablis from Garnier & Fils Cavallotto - Barolo "Bricco Boschis" Docg 2006


アルベイザの製造過程
 ↓



ワインのボトルの製造過程、初めて見ました。
かなりダイナミック。
オートメーション化が進んでいて、面白い。


さてもう一つ、次はアンフォラです。
この名前のボトルはプロヴァンスの典型的な形だそうですが、イタリアワインの中にも、このアンフォラのボトルで有名なワインがあります。

この話は次回に。



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“ワインボトルの形”の記事の日本語訳は、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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2015年5月14日木曜日

ナポリ・ピッツァ

そういえば、日本では産業革命のなんちゃらが世界遺産の候補になりましたが、同じタイミングで、イタリアでは、ナポリのピッツァが世界遺産候補に決まりました。
あれ、まだ世界遺産じゃなかったんだ。

世界遺産立候補決定を伝えるニュース
 ↓



そこで今日はピッツァの話。

今月の「総合解説」から、新しい雑誌が加わりました。
いつもイタリアから面白い話題を伝えてくれるsegnalibroさんが見つけてくれた『Pizza & core』という、ピッツァ業界の専門誌です。

内容は、ピッツァ業界にかかわる各社のプロモーション。
最初の記事は、その中から、ナポリの有名製粉業者、カプート社(webページはこちら)の提供ページを訳してみました。

カプートのPV
 ↓


ナポリのピッツェリーア・ピッツェ・エ・ピッツェPizze e Pizzeのリチェッタです。

お店の情報はこちら
店主のジェンナーロ・チェルヴォーネさんはピッツァアカデミー(webページ)の講師も務めています。
ピッツァは“Nidi d'Uccello/小鳥の巣 ”という名前で、ちょっと変わったロールピッツァ。(写真)
一見、ピッツァには見えないですが、調理パンとして普通に美味しそう。


カプート社提供の別のビツァイオーロのピッツァ・ナポレターナの作り方の動画
その1、古風で芸術的な生地作り。
 ↓


その2
 ↓



モッッァレッラがぐつぐつぃってるピッツァが食べたい。

隔月刊の雑誌なので、今後は『クチーナ・エ・ヴィーニ』と交互に登場予定です。



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ピッツェ・エ・ピッツェの“ジェンナーロ・チェルヴォーネ”氏のリチェッタは、「総合解説」2012年11月号に載っています。

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2015年5月11日月曜日

オルゾのスープ

今回は、メタボな人の味方、オルゾのリチェッタです。
オルゾは、もっとも血糖値が上がりにくい穀物であるだけでなく、かのヒポクラテスは、頭にも体にもよい食べ物と信じていました。

Barley

聖書にも、大麦のパンと魚が登場する有名な話があります。
内容はとても抽象的で、私には理解不能なので、興味のある人はググってみてください。
聖書に書かれているパンとは、どうも大麦のパンのことらしいのですね。

紀元前9000~10000年頃から人類が栽培していたという穀物、大麦。
エジプト人が最初に造ったビールも大麦を発酵させたもの。
小麦が育たないような土地でも栽培できます。
さて、これをイタリア料理として食すなら、どんなリチェッタがあるのでしょうか。

まず、大麦を使った地方料理が有名なのは、トレンティーノ=アルト・アディジェ地方。
大麦のズッパやミネストラが名物料理の一つです。
プーリアでは、パンだけでなく、フリゼッレもオルゾの粉で作る場合があります。

フリゼッレ
 ↓
WP_20150124_09_18_57_Pro


それでは恒例、
たいていの地方料理は載っている便利なシリーズ、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの、『トレンティーノ=アルト・アディジェ』から、オルゾのミネストラのリチェッタを訳してみます。


オルゾのミネストラMinestra di orzo
材料/4人分
 オルゾ・・300g
 じゃがいも・・2個
 にんじん・・2本
 セロリ・・1本
 ポロねぎ・・1本
 生のさやむきインゲン豆・・100g
 スモークした肉・・200g
 おろした硬質チーズ
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう
 おろしたパルミジャーノ
・全部の野菜を小さく切って豆、肉と一緒に鍋に入れ、水1.5リットル、塩を加える。
・蓋をして沸騰させ、オルゾを加えて時々かき混ぜながら最低3時間煮る。
・肉を取り除き、油を回しかけて好みでチーズを散らす。
※トレンティーノの伝統料理にはオルゾがベースのスープがたくさんあるが、これはその中の一つ。
ブロードに入れて煮たスモーク肉はセコンド・ピアットとして食べる。


オルゾとたっぷりの野菜や豆が入ったスープは、代表的な家庭料理のスープでもあります。
そこで、どの料理も美味しそうなイタリア家庭料理の本、『マンマ・ミーア』からも一品、訳してみます。


エルベッテとトマト入りのオルゾのズッパZuppa d'orzo con erbette e pomodori
材料/4人分
 皮むきオルゾ・・250g
 玉ねぎ・・1個
 にんじん・・2本
 セロリ・・1本
 赤くて締まったトマト・・2個
 エルベッテ・・1束
 ゆでたいんげん豆(ボルロッティ)・・150g
 EVオリーブオイル
 バジリコ
 塩、こしょう
・香味野菜を小角切りにしてさっと炒め、オルゾを加えて水で覆う。
・20分煮たらいんげん豆と粗く刻んだエルベッテを加えて10~15分煮る。
・最後に小角切りにしたトマトを加える。
・熱々のズッパを皿に注ぎ、オリーブオイルとこしょうをかける。仕上げにちぎったバジリコを散らしてもよい。
※こつは弱火でじっくり煮ること。
スモークした肉の小片を加えてもよい。理想的なのは豚足や生ハムの骨だが、パンチェッタやサルシッチャでもよい。
煮直すと美味しくなる。


特殊な食材や手間暇のかかる地方料理も、家庭料理としてのアレンジが加わると、見事にお手軽で作りやすそうな料理になるものですね。
ほんとにこの本、優秀でお勧めです。

それにしても、グリセミック指数というのは世界中で注目されているのですね。
一日に一食ぐらいは大麦のスープ食べるのもいいかも。



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“オルゾ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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2015年5月7日木曜日

オルゾ

さて今日は、11月号を訳していて一番ほお~、と思った食材の解説です。
それは、“orzo/オルゾ(大麦)゙”です。

ノルチャの大麦畑
 ↓
l'estate è gialla come un campo d'orzo


イタリア料理人なら、オルゾは一度は食べたことがあるでしょう。
でも、その栄養価を知っていますか?
私はこの記事を訳していてその素晴らしさを初めて知りました。

そもそも、小麦と大麦は、何が違うの?
日本語だと大きい麦と小さい麦だけど、イタリア語だとorzoとfrumentoまたはgrano、英語だとbarleyとwheatで、大小という区別は特になし。
大麦にもいろいろな種類がありますが、オルゾは皮が簡単にむけるハダカムギという種類です。

パスタやパンは小麦で作りますが、大麦は何に使うのでしょうか。
・・・、
意外と、知らない。

11月号の記事の冒頭(P.42)にもあるように、地中海式食生活のベースは、小麦のパンとパスタというのが一般的なイメージです。
ところが、小麦はもっとも高貴な穀物で、第二次大戦までは、大麦やファッロが、イタリアの農民の主要な炭水化物源でした。
主に、粉にしてパンにしたり、スープやドルチェの具にしたり、炒って挽いてコーヒーのような飲み物にしたり、モルトとしてビールを作ったり、家畜の飼料にしました。

イタリアで、コーヒーの代用品としてオルゾコーヒーを飲んだことのある人もいるでしょう。
あのコーヒーには、カフェインを含まないという特徴もあります。
だから赤ちゃんでも飲めます。
イタリアの家庭料理には、オルゾのズッパという定番料理があります。
でも、オルゾは、グルテンの含有量が少ないため、小麦粉などと混ぜないとパンには適していません。
市場にもオルゾの粉はほとんど出回っていません。
でも、オルゾの粉で作ったドルチェもパスタも存在します。

オルゾは、小麦の台頭で、比較的最近マイナーに降格した穀物ではありますが、その栄養価は、現代人なら高く評価するはず。

何しろ、グリセミック指数がもっとも低いでんぷん質の一つなんだそうです。

グリセミック指数、と言われても、健康な人にはピンとこないですよね。
私も初めて知りました。
ググってみてください。
それでもよくわからない?
私は専門家じゃないので、素人的に簡単に言っちゃうと、どうやら血糖値が上がりにくい食べ物なんだそうですよ。
血糖値が上がると下げるためにインスリンが分泌され、インスリンは余った糖を脂肪に変える。
さらに、お昼ご飯を食べた後に襲ってくるあの眠気。
その原因もインスリン。
脂肪の蓄積を抑えて眠気を軽くしたければ、グリセミック指数が低いものを食べればいいのでした。

ちなみに、このグリセミック指数が高い食べ物は、アイス、インスタントラーメン、菓子パン、小麦粉の麺類、砂糖など。
腹もちがよくて美味しそうなものは全滅ですねー。
ところが、オルゾは穀物なのにこの指数が低いのです。

しかも、オルゾは煮ると大量に水分を吸って膨らみます。
さらに、水溶性食物繊維やミネラル、ビタミンB群も豊富。
オルゾのタンパク質と豆の営養価は補完関係にあるから、豆との相性だって抜群です。

オルゾのズッパ。
 ↓
Zuppa di orzo / Graupensuppe



先日、ファッロの代用品にしようと思って、偶然スーパーで購入したのが大麦でした。
大麦は、色んな種類のものがスーパーで売られているんですね。
簡単に手に入るので、大麦と豆のズッパで、ヘルシーにダイエットしてみるのもいいかも。
次回は、イタリア風の大麦のズッパのリチェッタでも。




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“オルゾ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。

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マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...