イタリア料理ほんやく三昧: ガルガネッリ、1

2012年2月23日木曜日

ガルガネッリ、1

今日はパスタの話。
『サーレ・エ・ペペ』の解説です。

今回取り上げるパスタは、ガルガネッリgarganelli。


garganelli con sfoglia alla zucca
ガルガネッリ(これはカボチャを練りこんだバージョン)


ガルガネッリは、エミリア・ロマーニャ州の伝統的なパスタの1つ。
詳しく言うなら、ロマーニャ地方がルーツとされています。
ロマーニャ地方とは、エミリア・ロマーニャ州の右側、ボローニャの東の一部と、ラヴェンナ、フォルリ、リミニの一帯。


この地方のパスタですから、やはり麺は卵入りの生パスタ。
筋付きペンネによく似た形をしていますが、ペンネとは筋の向きが違います。


penne rigate
乾麺のペンネ・リガーテ



ガルガネッリの最大の特徴は、やはり筋。
横向きについたこの細かい筋は、“ペッティネpettine”と呼ばれる道具でつけます。


garganelli verdi
上のほうにあるのがペッティネ



garganelli colorati
ペッティネと専用の細い棒で筋をつけます



ペッティネとは、布を織る織機の部品の名前です。
日本では“筬(おさ)”とか“リード”と言うようです。
しくみはこういうもの


↓織機のペッティネの使い方。
この画面で縦糸が通っている黒い部分。
横糸を通した後に手前に寄せる時に使います。






考えてみれば、昔は布を人の手で織っていたわけで、織機が家庭に普通にあったとしても、何の不思議もないですよねえ。
そのうち誰かが、ペッティネに麺をのせて筋でもつけてみようか、と考えたとしても、何の不思議も・・・。
???
いやいや、それはかなり不思議。

『サーレ・エ・ぺぺ』でも紹介していますが、このペッティネで最初にパスタに筋をつけた人については、ある伝説があります。

それは1725年のこと。
当時のイタリアは、トスカーナ大公国やヴェネチア共和国、オーストリアに支配された地域など、相変わらずこまごまと別れていました。
ロマーニャ地方はどこに属していたかと言うと、教皇領です。

ガルガネッリの伝説の舞台は、その教皇領のトップだった枢機卿の、イーモラの館。

ある日のこと、館では大事な客人を招いて豪華な晩餐会が開かれていました。
ところが厨房では、料理番の女性が頭を抱えていました。
特上のカッペッレッティ・イン・ブロード用の詰め物を、猫が食べてしまったようなのです。
詰め物なしのパスタでご馳走を作らなければ。
途方に暮れながらも、何とかしなければと頭をフル回転させた彼女。
あたりを見回すと・・・。
ん、これは織機のペッティネ?
糸を巻きつける棒もある。
そうだこれで!

なんで厨房にペッティネがあったのか、なんてKYな質問はしませんよ。
その都合のよさが都市伝説ってもの。

とにかく、カッペッレッティ用の四角い生地をペッティネにのせて、糸用の棒で押しながら巻いてみたら、なんとも素敵なパスタができあがったじゃありませんか。
これを去勢鶏のブロードでゆでたら、見事な一品の出来上がり~。
晩餐会は大成功でした。


ガルガネッリ誕生の伝説は他にもありますが、それにも教皇に関わる人が登場するので、どうやらかなりのご馳走として食べられていたようです。

ガルガネッリの話、次回に続きます。



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“ガルガネッリ・アッラ・ロマニョーラ”の解説は、「総合解説」2011年3月号に載っています。
解説では“ペッティーネ”となっていますが、正しくは“ペッティネ”です。

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