イタリア料理ほんやく三昧: コルク

2011年10月11日火曜日

コルク

今日はコルクの話。
『ガンベロ・ロッソ』の解説です。

このブログを見ている人は、おそらく、毎月かなりの数のワインの栓を抜いているはず。
コルク栓の数も、相当なものになるんでしょうねえ。

A box of corks


さてこのコルク、いったい何からできているのでしょう。

そう、木の樹皮ですよね。

その名もコルクガシという木の、皮を厚くはいだものが原料です。

コルクガシが生えているのは、ヨーロッパ南西部とアフリカ北西部、つまり地中海の西側一体(地図)。
この地域には、大昔からコルクガシが自生していました。

コルク生産の中心はポルトガルで、コルクの約半分がポルトガルで作られています。
この他に、スペイン、イタリア、フランス、モロッコ、アルジェリア、チュニジアなどが主な生産国。

地中海沿岸では、年間約30万トンのコルクが生産されています。
イタリア産は約15,000トン。
そのうち12,000トンがサルデーニャ産。


Alberi imbottigliati
サルデーニャのコルクガシ。
下の赤茶色い部分が皮をはいだ跡。



はいだ跡のアップ
なんとなくコルクの面影が・・・。


Sughero
はいだ樹皮、つまりコルク。
これを加工してコルク栓にします。



コルクの約70%はコルク栓になります。
その数、年間約150億個。

ところが最近は、合成コルクやスクリューキャップがすごい勢いで天然コルクに取って代わっています。
このまま行けば、天然コルクの販売数は激減しかねません。

コルクは木を伐採して作るから環境破壊につながる、というイメージがあるかもしれません。
ところが実際には、木を伐採して作るのではないし、逆に天然のコルクを使わないことによる環境破壊の方が心配されているんですねえ。

冷静に考えてみれば、確かにコルクは、木を切り倒して作る訳ではありません。
使うのは皮だけですから。
だから、地中海西部の沿岸部には、昔からコルクガシの豊かな林がありました。

コルクガシにはドングリがなります。
ドングリは、野生動物の貴重な食糧。
スペインのイベリコ豚も、コルクガシのドングリを食べているのだとか。
さらに、コルクガシの枝には鳥が巣を作ります。
コルクガシの林は、貴重な生態系の一部なのです。
これがなくなれば、環境に大きなダメージを与える可能性があります。

ても、今後、合成コルクやスクリューキャップの勢いが減るとは思えません。
代替品が増えれば、天然のコルク栓の売り上げが減る。
 ↓
すると、コルクガシの利用価値が下がる。
 ↓
コルクガシの林がなくなる。
という訳です。

WWFは、今後10年で地中海西部のコルクガシの75%が失われる、と予想しています。
WWFの数字がどれだけ信用できるものかは別にしても、少なくともサルデーニャのコルクガシの林は姿を消しつつあるそうです。

コルクガシをもっと有効に使う方法を考えないと、コルクガシの林は地中海から消えてしまう運命に・・・。
そうなったら、天然のコルク栓は貴重品になってしまうのかもしれませんねえ。


↓ポルトガルのコルクの収穫(英語)





コルクの生産が主要産業になっている地方もあるポルトガルにとっては、コルク栓の売上減少は死活問題。

↓天然コルク栓を支持します、というアメリカのワインメーカーたち(英語)





↓もっと過激に天然コルク栓をアピール。
合成品は環境を破壊する、とラップで訴えてます。






ところで、コルクをどうやってコルク栓にするか、知っていますか?
次はその話。


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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年4月号
“サルデーニャのコルク”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年4月号に載っています。

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