中級編は、辞書にない単語をどう攻略するか、がポイント。
タオルミーナのラ・カピネーラのシェフのリチェッタ、というか料理名を訳してます(汗)。
その料理名はこちら。
Tartara di tonnina e gamberetto di nassa
con corallo dello stesso e sale di Mothia
上段は
「マグロの赤身とガンベロ・ロッソのタルタル」
であることが判明。
では下段に取りかかりますか。
corallo dello stesso
これはちょっとやっかいですよー。
dello stessoは、辞書で調べれば、「それ自信の」、つまり「ガンベロ・ロッソの」ということが分かります。
問題はcorallo。
辞書には「サンゴ」と書いてあります。
でももちろん、「エビのサンゴ」なんてものはこの世に存在しません。
では一体何でしょうか。
まあ今回は、その答えは材料を見ればすぐに解るようになっています。
でも一応、coralloについてちょっと解説しておきます。
辞書で引いても解らない謎の単語、corallo。
じゃあ検索してみると・・・。
多分、「サンゴ」ばかりヒットするはず。
そこでもう少し手がかりを足して、gamberiなどの言葉も加えて検索してみます。
するとごくわずかですが、料理に関するサイトでこの言葉が使われていることが分かります。
corallo di granchio
coralli di capesante
など。
実は、coralloという言葉は、イタリア語のリチェッタには時々登場します。
主に、corallo di capesanteという時に使います。
試しに、coralli di capesanteで検索してみてください。
今度はたくさんヒットするはずです。
corallo di capesanteは、帆立貝のオレンジの部分、つまり卵巣のことです。
サンゴ色だからこう呼ばれるのでしょうか。
coralloとは、魚介の卵を指す言葉としてごくまれに使われます。
つまり、エビのcoralloは、エピの卵のこと。
ただ、生のエビの卵は青緑色で、全然サンゴ色じゃないですよね。
エビの卵を業界用語で表現した、というところでしょうか。
中級編のリチェッタは、業界用語もバンバン出てきます。
そして最後のsale di Mothia。
これは問題ないですよね。
モツィアの海塩のこと。
つまりこの料理名は
「マグロの赤身とガンベロ・ロッソのタルタル、エビの卵とモツィアの海塩風味」
という意味。
実は、このリチェッタの材料と作り方は、解説が必要なほど難しい部分はありません。
作り方を要約すると、マグロとエピを別々に包丁で刻んでオリーブオイルと挽いたモツィアの塩で調味し、セルクルを使って皿に2段になるように盛り付けます。
上にイクラをのせ、粗挽きこしょうをかけてと香草(ミント、赤バジリコ、花つきシブレット)で飾ります。
エビの卵はオリーブオイル少々を加えて乳化させ、タルタルの横に青い筋になるようにたらします。
仕上げに粉のスパイス(ナツメグ、カレー粉、ジンジャーパウダー、タラワクペッパー)で皿のリムを飾って出来上がり。

マグロの赤身の鮮やかな赤、エビの透き通った薄桜色、そしてエビの卵の幻想的なターコイズブルー。
さらに、エキゾチックなスパイスと自己主張する丸ごとのハーブの香り。
面白い構成ですねえ。
ピエトロ・ダゴスティーノシェフはこの他にも、シチリアの生魚料理のレパートリーをたくさん持っています。
当たり前ですが、醤油を使わない生魚の食べ方も、たくさんあるものですねえ。
店のhpはこちら。
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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年5月号
ピエトロ・ダゴスティーノシェフのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年5月号P.18に載っています。
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