イタリア料理ほんやく三昧: イタリアの有機エキストラバージン・オリーブオイル、1

2009年4月9日木曜日

イタリアの有機エキストラバージン・オリーブオイル、1

今日は有機オリーブオイルの話。
『ガンベロ・ロッソ』の記事の解説です。

いつ頃からでしょうか。
スーパーの棚に並ぶエキストラバージン・オリーブオイルが、有機オイルだらけになったのは。
なんだか、気がついたらあっと言う間こうなっていたような気がします。


『ガンベロ・ロッソ』では、イタリアのエキストラバージンオイル事情について、2007年2月号ではこう言っていました。

「今、イタリアのエキストラバージン・オリーブオイルは、ワインブームが起きた頃と同じような状況になっている。
ワインに比べるとスピードはかなりゆっくりだが、着実にブームを迎えているのだ。
有名レストランでは、オリーブオイルのリストを作ったり、ワゴンサービスもするようになった。
テイスティング教室も人気がある」

そしてこうも言っています。

「その一方で、消費者がオリーブオイルを選ぶ基準はいまだに値段だ。
ワインにはそれなりの金額を払っても納得するが、その半額を、500mlのオイルに払うことに抵抗のある消費者は多い」

つまり、ブームを呼んでいるのは高級オイルだが、実際に売れるのは手頃な値段の製品、という現実があるわけですね。

しかも、世界一のオリーブオイル生産国にしてイタリアオイルの宿命のライバル、スペインは、国を挙げてオイルの大規模生産、つまり手頃な価格のオイルの生産に取り組んでいます。

政府のバックアップと、昔からの大土地所有制度の名残で広範囲の畑を一つにまとめることができるスペイン。
一方イタリアは、生産者はたくさんいるけれど、小さな畑が主流、という状況です。
有機オリーブオイルの場合、精油所の数がスペインの2倍以上あるという事実から見ても、一つ一つが小規模であることが分かります。

ということはつまり、スペインに対抗して安いオイルを作ろうとしても、小さな畑では無理!

ただし、見方を変えれば、生産者の数が多いということは、強みにもなります。
つまり、それだけ様々な個性のオイルができる、ということなんですねー。

そこで、イタリアの選んだ道は、「個性化」です。
有機オリーブオイルというのは、ある意味、個性を表す絶好の製品でもあったわけです。


ところが・・・・、
現実は甘くはない!

2007年12月号ではこう言っています。

「有機エキストラバージン・オリーブオイルは、他のオリーブオイルと比べて並はずれて値段が高い。
殺虫剤を使っていないというだけの理由で2倍の値段を払う必要があるのか、という疑問が起きても不思議ではない。
化学物質を使っていない、という理由だけで有機オイルが売れる時代はもはや過ぎた。
今は有機オイルにもおいしさが求められる。
それだけではない。
市場には世界中から有機オイルが集まってくる。
求められているのは、おいしくて、かつ個性のあるオイルなのだ」


値段は高くても品質の良さが自慢のイタリア産オイル。
ところがなんと、その座を脅かすような事態が進行している模様です。
ライバルのスペインが、有機オイルの生産に本気で取り組んでいるようなのです。
ガンベロ・ロッソによると、1991年から2000年の9年間で、スペインの有機オイルの畑の面積は約90倍!に増加。
プーリアで開催されている有機エキストラバージンオイルの国際コンクールBiolでも、2007年大会では、なんとイタリアを抑えてスペインの大手メーカーのオイル(Rincon de la Subbética)が優勝しちゃったんですねー。
2008年の優勝はイタリアのオイルだったので、一応面目は保ちましたが。
過去の受賞者のリストはこちら

さらに、イタリアにとって厳しいのは、イタリアで殺虫剤を使わずにオリーブオイルを栽培するのはとても難しい、という現実。
オリーブの天敵は、オリーブミバエ。
ところが、ガンベロ・ロッソによると、世界の中には、アルゼンチンのように、気候や地形の影響でオリーブミバエがいないという恵まれた国もあるんだそうです。
アルゼンチンやチリの有機オイルはBiolでも何度か賞を取っています。
単品種のオリーブのオイルでは、チリではスペインより上質のものができる、という評価も聞きます。
イタリアのライバルは、スペインだけではないようですねえ。

有機オリーブオイルの話、次回に続きます。



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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2007年12月号
「有機エキストラバージン・オリーブオイル」の記事の解説は、「総合解説」'06&'07年12月号、P.30に載っています。


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