カタクチイワシ(アンチョビ)は、大量に獲れるので値段が安く、しかも塩漬けにすれば長期間保存できるので、イタリア中に広まりました。
ピエモンテのような海のない北の地方でも、バーニャ・カウダのように、アンチョビの塩漬けを使う伝統料理があったりします。
イタリアでこれほど広まった魚は、他にはタラ(バッカラ)ぐらいです。
という訳で、イタリアのアンチョビの基本は、塩漬けです。
オイル漬けもありますが、伝統料理に使うのは塩漬けです。
塩漬けアンチョビは、オリーブ、ケッパーと共に、イタリア料理、特に地中海のイタリア料理の基本の食材でもありますよね。
タラは北ヨーロッパの冷たい風で干してからイタリアまで運ばれてきますが、アンチョビはイタリア沿岸で獲れて、獲ったらすぐに塩漬けにします。
家庭で塩漬けにする時は、ガラスか、釉薬で覆われている陶器の筒型の容器を用意します。
塩は海塩の粗塩。
アンチョビは頭と内臓を取ります。
40~50日程度漬けると食べられるようになります。
↓アンチョビの塩漬けの動画を2つどうぞ。
アンチョビは獲ったらすぐに産地で塩漬けにするので、いわゆるご当地の味になります。
いくつか有名な産地がありますが、最近はチンクエ・テッレ(リグーリア)のモンテロッソのアンチョビが有名。
↓アッチューゲ・ディ・モンテロッソ
食べる時は、洗って余分な塩を落とし、開いて骨を取って水気をふき取ります。
調味は、オリーブオイル、にんにく、オレガノが最適、と言っています。
では、“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『ペッシェ』から、モンテロッソの塩漬けアンチョビの作り方をどうぞ。
アッチューゲ・ディ・モンテロッソ・イン・サラモイア Acciughe di Monterosso in salamoia |
材料: 新鮮なカタクチイワシ・・1kg 塩 サラモイア(塩水の漬け汁)用塩・・水1リットルにつき300g 調味用; にんにく・・1かけ オレガノ・・少々 EVオリーブオイル |
・カタクチイワシは氷に触れないようにする(氷は血を固めるので、後で臭うようになる)。 ・頭と内臓を取って手早く洗い、水気をよく切る。 ・ガラスの容器に塩を1cm程度敷き、その上に魚を間を開けずに1段並べる。 ・1段ごとに押しながら塩と魚を交互に重ねていき、容器一杯に詰める。最後は塩で終わる。 ・天然スレートの板で栓をし、その上に重石をのせる。 ・漬けてから数日間は魚から茶色い汁が出てくるので時々取り除く。 ・汁が出なくなったらサラモイアを作る。水と塩を20分沸騰させて完全に冷ます。 ・サラモイアで容器を満たす。残ったサラモイアは瓶に入れて保存し、減ったら足す。 ・60~90日後に食べられるようになる。 ・洗って開きながら骨を取り、水気をふき取る。 ・EVオリーブオイルをかけてにんにくのみじん切りとオレガノを散らし、30分マリネしてからサーブする。 ※モンテロッソでは、にんにくは加えずに調味したものをバターを塗ったパンにのせて食べる。 |
リチェッタで紹介しているマリネ以外にも、塩漬けアンチョビはさまざまな料理で使いますが、塩漬けアンチョビが主役という料理は滅多にないので、リチェッタを紹介しにくい、ということに今、気が付きました。
とりあえず、塩漬けアンチョビのソース、アッチュガータのリチェッタをどうぞ。
同じく“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『ペッシェ』からです。
アッチュガータ Acciugata |
材料:4人分 塩漬けアンチョビ・・4尾 にんにく・・1かけ イタリアンパセリ・・1本 EVオリーブオイル・・1/2カップ 塩、こしょう |
・アンチョビは洗って骨を摂り、水気をふき取る。 ・陶器の鍋にオイルとにんにくを入れて炒める。 ・にんにくに色がついたら取り除き、アンチョビを入れて木べらかき混ぜながら溶かす。 ・イタリアンパセリのみじん切り、塩少々、こしょうを加えてクリーム状に煮詰める。 ※ゆで肉やパスタのソースに。仕上げにケッパーのみじん切りや、トマトのパッサータ大さじ2~3を加えてもよい。 |
次回は生のアンチョビのリチェッタです。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年4月号
カタクチイワシを含む“青魚”の記事の解説は、「総合解説」08&09年4月号に載っています。
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