イタリア料理ほんやく三昧: シェフのリチェッタを読む、その3

2010年3月30日火曜日

シェフのリチェッタを読む、その3

イタリア語のリチェッタ中級編に挑戦。

中級編は、辞書にない単語をどう攻略するか、がポイント。

タオルミーナのラ・カピネーラのシェフのリチェッタ、というか料理名を訳してます(汗)。

その料理名はこちら。

Tartara di tonnina e gamberetto di nassa
  con corallo dello stesso e sale di Mothia


上段は
「マグロの赤身とガンベロ・ロッソのタルタル」
であることが判明。

では下段に取りかかりますか。

corallo dello stesso

これはちょっとやっかいですよー。

dello stessoは、辞書で調べれば、「それ自信の」、つまり「ガンベロ・ロッソの」ということが分かります。

問題はcorallo。

辞書には「サンゴ」と書いてあります。
でももちろん、「エビのサンゴ」なんてものはこの世に存在しません。

では一体何でしょうか。

まあ今回は、その答えは材料を見ればすぐに解るようになっています。
でも一応、coralloについてちょっと解説しておきます。


辞書で引いても解らない謎の単語、corallo。
じゃあ検索してみると・・・。
多分、「サンゴ」ばかりヒットするはず。
そこでもう少し手がかりを足して、gamberiなどの言葉も加えて検索してみます。
するとごくわずかですが、料理に関するサイトでこの言葉が使われていることが分かります。
corallo di granchio
coralli di capesante
など。


実は、coralloという言葉は、イタリア語のリチェッタには時々登場します。
主に、corallo di capesanteという時に使います。

試しに、coralli di capesanteで検索してみてください。
今度はたくさんヒットするはずです。

corallo di capesanteは、帆立貝のオレンジの部分、つまり卵巣のことです。
サンゴ色だからこう呼ばれるのでしょうか。

coralloとは、魚介の卵を指す言葉としてごくまれに使われます。
つまり、エビのcoralloは、エピの卵のこと。
ただ、生のエビの卵は青緑色で、全然サンゴ色じゃないですよね。
エビの卵を業界用語で表現した、というところでしょうか。
中級編のリチェッタは、業界用語もバンバン出てきます。


そして最後のsale di Mothia。
これは問題ないですよね。
モツィアの海塩のこと。

つまりこの料理名は
「マグロの赤身とガンベロ・ロッソのタルタル、エビの卵とモツィアの海塩風味」
という意味。


実は、このリチェッタの材料と作り方は、解説が必要なほど難しい部分はありません。
作り方を要約すると、マグロとエピを別々に包丁で刻んでオリーブオイルと挽いたモツィアの塩で調味し、セルクルを使って皿に2段になるように盛り付けます。
上にイクラをのせ、粗挽きこしょうをかけてと香草(ミント、赤バジリコ、花つきシブレット)で飾ります。
エビの卵はオリーブオイル少々を加えて乳化させ、タルタルの横に青い筋になるようにたらします。
仕上げに粉のスパイス(ナツメグ、カレー粉、ジンジャーパウダー、タラワクペッパー)で皿のリムを飾って出来上がり。





マグロの赤身の鮮やかな赤、エビの透き通った薄桜色、そしてエビの卵の幻想的なターコイズブルー。
さらに、エキゾチックなスパイスと自己主張する丸ごとのハーブの香り。

面白い構成ですねえ。

ピエトロ・ダゴスティーノシェフはこの他にも、シチリアの生魚料理のレパートリーをたくさん持っています。
当たり前ですが、醤油を使わない生魚の食べ方も、たくさんあるものですねえ。
店のhpはこちら



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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年5月号
ピエトロ・ダゴスティーノシェフのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年5月号P.18に載っています。

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3 件のコメント:

くるり さんのコメント...

プロでもこれだけ苦労しているのだから、自分がメニューを簡単に読めるはずがない!と改めて実感しました。料理名から読み解くことができないので、何が入っているかを聞くことにしていますが、それでもどういう状態のものが出てくるのかわからずに失敗することが多数(しくしく)
私は魚市場をのぞくのが好きですが、日本でも地方に行くとなんのことやらわからない呼び名がたくさんありますよね。イタリアも同じことで、それに比喩なんか加わったらもうお手上げです。だって比喩の感覚もイタリア〜ンでしょうから、日本人とは違うし(笑)

そういえばvittorioさんの挙げたえびのなかで、ウチワエビというのがありますが、あれはあまり関東で見たことがありません(和歌山と九州で食べましたが)。関東にも入ってくるのですか?今でも忘れられないのは、尾岱沼の北海シマエビと土肥の手長エビ(アカザエビのこと)ですが、オキノスジエビって、一体どんな味か一度食べてみたいですね。

vittorio さんのコメント...

細かく翻訳されて努力のタマモノですね、素晴らしい。

イタリアにいた時、ステッソ・マガーリ・ノストラという言葉がよく耳に付きました、

フランス語でも海老とかホタテのそれは、コライユと言ってますから似てますね、ホワイトチョコもショコラ・イウ゛ォワール(象牙色)と置き換えいる所もあって最初は分からなかったです

象といえば昔、アフリカ象の赤ワイン煮というメニューを出したことがありました、アフリカの方では象とか河馬も食べるそうです、コトコトコトコト100時間位煮込みます。

くるりさんウチワエビは関東にも入ってきます、今頃ですね3月~6月位だと思います、おっしゃっる通り九州ですね、空輸便もあります。

市場には、海老専門店ではなく鮮魚店でみられます、いっぱい陳列してある店の方が可能性はあります、野〆で、ただ100店舗のうち5~6店舗しか扱ってないと思います。今日、築地に注文する予定ですがあれば生きたものがオガクズに入って来ます。

そういえば象のメニュー何年か前の今日出しました(笑)あっ、すいません。

prezzemolo さんのコメント...

くるりさん
イタリアでレストランに入ると、たいてい私が旅の仲間たち(料理はド素人)にメニューを説明することになります。
みんな全部の料理を知りたがるので、上から片っ端に超早口で料理名をまくしたてる技が自然と身につきました。
知らない単語が出てくると、さらっと「これ知らない」という言葉を混ぜながらもスピードは落とさない、という高度な技術も駆使します(笑)

Vittorioさん
イタリア語は言葉の後にノストロやノスロラってなんにでもつけますよね。
ノストラ・チポッラだのノストロ・カルネだの言えるようになったら、イタリア語がペラペラになった気分になれそうです。

あっそうだ、コライユって言いますよね。
イタリア語のコラッロという言い回しは、きっとフランス語からきてるんですね。

象の赤ワイン煮の話を4月2日に読んだ私は、vittorioさんなら100時間煮込みかねないと、あやうく納得するところでしたよー!