ひよこ豆はそれほど需要がないと言う割には、イタリアには、ひよこ豆の地方料理が北から南まで津々浦々にあります。
ひよこ豆の料理は、豆と粉の2種類に大別されますが、豆を使ったものなら、サラダ、パスタ、ミネストラ、煮込みなど。
イタリア各地にあるズッパ・ディ・チェーチ
パスタ・エ・チェーチもイタリア中にあります。
こちらはピストイア風。
プーリアのひよこ豆のパスタ、“サーニェ・エ・チェーチ”
こちらもプーリアの“チーチェリ・エ・トリアCiceri e tria”
以前、プーリアのパスタの話の時に紹介しました。
粉なら、ファリナータ、パニッサ、パネッレなど。
ジェノヴァのボッカダッセ地区のファリナータ
チンクエテッレのフォカッチェリーアのファリナータ
トッピングはペスト・ジェノヴェーゼ、玉ねぎ、アーティチョーク、シラス、ストラッキーノと、小魚からチーズまでさまざま。
トスカーナのファリナータは“チェチーナ”
リグーリアのパニッサ
こちらは揚げるタイプ。
揚げないタイプもあります。
パレルモのパネッレ
ひよこ豆を使ったパスタの代表的なものの一つが、“パスタ・エ・チェーチPasta e ceci”。
パスタとは言っても、パスタをソースで和えてフォークで食べるパスタシュッタではなく、スプーンで食べるミネストラです。
イタリアの素朴な地方料理の代表格、豆とパスタのスープの一種。
リチェッタは実にさまざまです。
↓トマト入りの“パスタ・エ・チェーチ”。
・材料は4人分で乾燥ひよこ豆200g、戻した豆なら400g、ローズマリー、ホールトマト、ショートパスタ200g、にんにく、ローリエ、赤唐辛子、オリーブオイル、塩、こしょう。
・乾燥豆を使う時はたっぷりの水で最低24時間戻します。
・これを洗って鍋に入れ、たっぷりの水で覆ってローリエを加えます。
・沸騰したら火を弱め、軽く沸騰させながら混ぜずに2時間半から3時間ゆでます。
・豆に塩を加え、5分ゆでて火を止めます。
・鍋に油大さじ3、潰したにんにく、ローズマリー、赤唐辛子少々を入れて弱火でソッフリットにし、トマトを加えて1分なじませます。
・ここに豆をゆで汁ごと加えます。大さじ3~4ほど残してハンドミキサーでピューレにし、これも加えます。ピューレを加える前にローズマリー、ローリエ、にんにくは取り除きます。
・濃度を見て、必要ならパスタ用の水を加えます。
・パスタを加えて煮ます。
・火を止めて塩、こしょうで調味し、オリーブオイルを回しかけて混ぜます。
・蓋をして4分休ませて出来上がり。
パスタは折ったロングパスタでもOK。
ソッフリットにアンチョビを加えて豆をピューレにしなければ、ローマ風の“パスタ・エ・チェーチ・アッラ・ロマーナ”になります。
かつてローマでは、パスタ・エ・チェーチは金曜日のメニューの定番でした。
キリスト教の習慣では、金曜は肉を食べない日。
肉の代わりに食べたのが、バッカラです。
そしてバッカラの付け合せの代表がひよこ豆でした。
そのせいか、ローマに限らず、バッカラとひよこ豆を組み合わせた地方料理は各地にあります。
“オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『クチーナ・レジョナーレ』から、パスタ・エ・チェーチのリチェッタをどうぞ。
マルケのOsteria dell'Arancioという店のリチェッタです。
肉が入らない料理で、マルケの農村部ではよく食べる一品だそうです。
パスタ・エ・チェーチ
Pasta e cici
材料:4人分 ひよこ豆・・500g ディタリーニなどのショートパスタ・・400g セロリ・・2本 にんじん・・2本 玉ねぎ・・2個 にんにく・・4かけ ローズマリー・・2枝 EVオリーブオイル 粗粒塩、こしょう |
・豆を鍋に入れて水に漬け、一晩戻す。 ・翌日、豆に丸ごとの野菜、ローズマリー、にんにく、塩を加えて沸騰させ、45分ゆでる。 ・香味野菜を取り除き、豆の1/3をピューレにして鍋に戻す。 ・別の鍋でパスタをゆでて豆の鍋に加える。 ・仕上げに油大さじ1とこしょうを加える。 |
パスタ・エ・チェーチは乾麺のショートパスタを使うのが一般的ですが、プーリアでは手打ちパスタを使うタイプが知られています。
次回はそのリチェッタを。
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関連誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2008年7月号
チェチーナのグリル野菜添えを含む“夏の家庭料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年7月号に載っています。
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