今日はタラの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の解説です。
「タラ」をイタリア語で言うと?
答えは、メルルッツォmerluzzo。
ナゼッロnaselloだと思った人もいるかもしれません。
メルルッツォとナゼッロは、どう違うのでしょうか。
メルルッツォは、タラ目タラ科の魚で、学名はGadus morhua。
和名は、タイセイヨウダラ。
マダラの仲間です。
ナゼッロは、タラ目メルルーサ科の魚で、学名はMerluccius merluccius。
日本では、メルルーサ、ヨーロッパヘイク、などと呼ばれる魚です。
タイセイヨウダラ。タラの中では最大。背鰭3。
メルルーサ。あごの下のひげはない。背鰭2。
メルルッツォがメルルーサだったら分かりやすいのですが、そうでないのが混乱の元。
イタリアでも、タラとメルルーサを区別していないケースが多々あります。
さらにややこしい事を言うと、メルルッツォは、別名メルルッツォ・ビアンコmerluzzo biancoで、ナゼッロは、別名メルルッツォ・アルジェンタートmerluzzo argentatoとも言います。
だからどちらも、メルルッツォと言えばメルルッツォなんですよねえ。
魚屋でメルルッツォ・アルジェンタートと書いて売っていることもあるので、メルルッツォだからタラか、と単純に思うと、実際はメルルーサだった、ということになります。
タラとメルルーサは味も似てることだし、鰭の数が違う程度なら、いっそ、どちらも同じものでいいかというと、やっぱりちょっと違うんですねえ。
大雑把に言うと、タラは北の海に棲み、メルルーサはもっと暖かい海に棲んでいます。
メルルッツォは、タイセイヨウダラというだけあって、大西洋に生息していますが、主に北の冷たい海にいて、地中海にはいません。
メルルーサ(ヨーロッパヘイク)は、地中海や大西洋東部の魚です。
ヨーロッパの地図を思い出してみてください。
地中海の国の中には、イタリアの他に、フランスやスペインも含まれます。
でも、フランスやスペインが大西洋にも面しているのに対して、イタリアは大西洋には面していません。
つまり、タラはイタリアの近海では獲れないんですね。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』では、鮮魚のタラ(メルルッツォ)を使った伝統料理は、イタリアにはない、と言い切っています。
あったとしても、実際にはメルルーサの料理だったりするそうです。
もっとも、タラが獲れないからといって、イタリアにはタラの伝統料理はないのかと言えば、そんなこともない。
タラを干物にしたバッカラがあります。
ご存知の通り、バッカラはイタリア中に広まっている伝統料理の食材ですよね。
さらに、伝統料理にはなくても、イタリアにも生のタラ料理はもちろんあります。
生の場合、流通しているのは、主に冷凍物です。
タラの話、次回に続きます。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年2月号
“タラ”の記事は、「総合解説」'08&'09年2月号に載っています。
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2011年7月19日火曜日
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