きのうはカルロ・クラッコシェフの市場でのトマトの意外な買い方を知りましたが、トマトの産地、カンパーニアのシェフのことも知りたくなり、ベスビオ山の麓で畑を耕しながら地元の食材を活かした料理を作るシェフ、ピエトロ・パリージの自伝的本、『ピエトロ・パリージ』
/クオーコ・コンタディーノを読んでみました。
ピエトロ・パリージシェフ、レストラン・エーラ・オーラのwebページ
「18歳でイタリアを出て、フランス、スイス、コペンハーゲン、ドバイ、ギリシャ、イギリスを巡りました。お金を稼ぎたかったのではなく、イタリアの周囲の国にはどんな食文化があるのか知りたかったのです。帰国して、かつての輝きを失いつつある地元の料理に興味を持ち、再び光を当てたい、と考えるようになりました。私の故郷カンパーニアはローマの南では最大の農作物の産地で、ナポリの市民にとっても重要な農作物の産地です。若い農家の間では、不況の時代を超えて、改革や先人たちの業績の再評価の機運も高まっていました。
今はこの地方のパンとトマトはトレンディーな産物ですが、以前はすべて食べるために作っていました。そこで先祖から受け継いだ農業というルーツを見直し、農民として料理を作ることを考えたのです」
自らのことをこう語っています。
カンパーニアの農家の暮らしにどっぷり浸って、自らを農民料理人と呼ぶ人です。ミラノの世界的な高級店のカリスマシェフとは違った考えがあるはず。
フリアリエッリやモッツァレラなど地元の特産品を、生産者と料理人両方の目線で紹介する、という個性的な本、トマトについてはどんなことが書かれているのでしょう。
なにしろ農家の専門用語とカンパーニアの方言がたっぷり使われているので、なんとか解読しながらのんびり読み進んでいます。夏から秋に移り変わる季節の章を読んでみます。
LA BUATTA
南イタリアの農家では、2つのことが欠かせない。“buatt”と“pummarole”を作ることだ。これは冬のための保存食を作る2つのシンボル的儀式だ。まるで昨日のことのように覚えている。おばあちゃんはトマトに取り掛かる前にまず十字を切って、今年もこの日がやってきたことを神様に感謝する。トマトは夜明け前に採って地面で2日間乾燥させておく。子供の仕事はバジリコを摘んで洗うこと。これはきれいに洗った瓶にトマトと一緒に入れる。
大きなたらいに入ったトマトは熱湯に入れてゆでる。これをたいていが手作りの機械を通して濾す。
これをビンに入れる作業が最も難しい。主婦の腕はこの過程で分かる。
ビンに入れる量が多いほど腕が良いとされる。最後はじゃがいもの麻袋で覆い、煮沸殺菌する。じゃがいもに火が通ればビン詰めが出来上がった合図。
私の家族は数年間ブアッタ作りをしないことがあったが、その間はいつも何かが欠けている気がした。なので今は必ず毎年作っている。そしておばあちゃんと一緒に朝食をとる時、パッサータにパンを浸すと、懐かしさで満たされる。
夜明け前の暗がりの中で始まるトマトのパッサータ作り↓
当然だけど、カンパーニアの農家では、夏が終われば冬のための保存食作りに追われるんですね。
何度も語ってますが、トマトソースには、ナポリの夏のフレッシュトマトのソースと、冬のピエンノロやコンセルバのトマトソース、そしてナポリ以外の場所で作るホールトマトの缶詰のソースの3種類があります。
ピエンノロ・デル・ベスビオ↓
サン・マルツァーノのペラーティ↓トマトの収穫↓
※(日本語解説CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の11・12月号を発送しました。PDF版も追ってご案内します。
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