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2025年9月29日月曜日

移牧から生まれるチーズ、ストラッキーノ。南や中央イタリアの定番の羊や山羊の移牧と違って牛の移牧は迫力満点。

今日の料理は“サフランとストラッキーノのリゾット”。
ミラノのシンボルの黄色いサフランのリゾットと、ストラッキーノチーズの白いリゾットを組み合わせた美しいリゾット。リチェッタの日本語訳は(CIR5月号、P.41)。

ストラッキーノのCM。


ストラッキーノの製造過程。


作っている最中は豆腐にそっくりですが、出来上がりは、豆腐とは大分違う。その一つが、タレッジョ。タレッジョ渓谷で造られているストラッキーノから派生したチーズの一種。

タレッジョ渓谷。


タレッジョは『許婚』でも描かれているようにマンゾーニが戦火を避けてミラノから疎開した地。戦時中ならまるで天国。

“疲れた”というその名前は、秋に牛がアルプスの牧草地から下に降りてくる旅をして疲れている、という意味。脂肪分が高いミルクなんだとか。

秋の移牧。山羊や羊の移牧と違って牛の移牧は迫力満点。



タレッジョ。


    タレッジョのリゾット。


タレッジョと洋梨のラビオリ。



次回はもう1品のパスタの話。

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2025年9月20日土曜日

ローマのオステリアのベースは羊と内臓料理。

アマトリーチェとローマのオステリーアの関係を知って、ビックリしていますが、元になった記事は、もうなくなった『クチーナ・エ・ヴィーニ』誌の2005年2月号の記事です。重厚で本格的な食文化の記事がとてもよい雑誌だったので、廃刊になった時は残念でした。
20年も前の記事だったんですね~。
アマトリチャーナを作る時、アマトリーチェを思い浮かべる人はどれくらいいるでしょうか。

記事はこんな文章で始まっていました。
アマトリーチェの住民は自らの町を「ラツィオの僻地」と呼ぶ。山の中に位置し、グラン・サッソ国立公園の一部でもあるアマトリーチェは、豊かな自然に恵まれている・・・。

大地震の前のアマトリーチェ。


この料理を理解するポイントは、やっぱりアマトリーチェだったんですね。

アマトリーチェのグアンチャーレ。



豚肉加工職人の本拠地、ノルチャ(ウンブリア)も地震の被害を受けた。
現在のノルチャ。
ノルチャはアマトリーチェとペアのようなグルメに人気の美しい街。



内臓料理が名物のローマ料理。その中心地はテスタッチョのオステリーア。
老舗の一つ、ケッキーノ。


ローマで最も歴史が古い店、ラ・カンパーナ。


ローマきっての老舗、カンパーナも、内臓料理をもっと美味しくするにはどうしたらいいか、常に考えている。

ローマの名物と言えば、内臓と子羊。実は、ローマのリコッタ、リコッタロマーナは歴史がとても古い名物。ラツィオ州の羊の全乳の乳清から作ります。

リコッタ・ロマーナ


リコッタ・ロマーナの風味は羊の餌がベースになっているので、牛乳から作ったリコッタとは明確に違う。餌は天然の飼料が中心で、ラツィオの草原の香草がたっぷり含まれている。

新鮮さも大切なので、ローマに行ったらぜひ味わってみたいもの。
ローマで食べたいものの1つが、アッバッキオ。

リコッタ・ロマーナ。


ローマの食文化は知れば知るほど奥深く、今すぐ行って味わいたくなる。
強力にお薦めのローマ料理の本はグイド・トンマージの地方料理シリーズの『ローマとラツィオ

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2025年9月19日金曜日

アマトリチャーナは羊飼いが移牧の時に作った料理がルーツ。なんとこれがトリッパと結びついて大人気のローマ料理が生まれた。

(CIR5月号)からローマ料理の話をしています。
今日のお題は、ローマのトラットリアの定番料理、“パスタ・アッラ・アマトリチャーナ”。
当然ながら、アマトリーチェというラツィオの村が由来。ただ、このアペニン山脈の村がラツィオになったのは1972年。それまでは隣のアブルッツォの村でした。
この村を語る上で忘れられないのが2016年の大地震。
アマトリーチェは大きな被害を受けましたが、地元の人たちと世界中のアマトリーチェファンたちが立ち上がって再建した。

アマトリーェ地震からの再建。



移牧のルート上にあるアマトリーチェ。


パスタ・アッラ・アマトリチャーナは、元々は羊飼いの料理だった。移牧の間に持っていける傷みにくい材料は、熟成させたグアンチャーレやラルド、サルシッチャなどの脂の多い食材とチーズ。当然パスタもこれらで調味します。
これはカーチョ・エ・ウントcacio e untoという料理。
アマトリーチェの羊飼いたちは、冬の間、家から遠く離れて何か月も過ごした。その間の食料は、小麦粉と豚の脂身(ラルドとグアンチャーレ)。この単純な材料からアマトリーチェの伝統料理が生まれていった。
例えば、平らな石の上で粉と水をこねて細く切る。それを焚火にかけた鍋でゆで、ゆで上がる少し前に小鍋で溶かしておいたラルドを加える。これは“金切声のミネストラ”と呼ばれた。溶けたラルドを熱湯に入れる時の音が、名前の由来だ。
軽い食事なら“パンノタ”を食べた。
グアンチャーレを木の枝に刺して火にかざし、溶け落ちる脂をパンにかけ、焼いたグアンチャーレを載せて食べるスナックだ。

そこで問題になるのがグアンチャーレとパンチェッタ(ベーコン)の違い。


アマトリーチェのシェフが作るアマトリーチェ。アマトリーチェのグアンチャーレを使うのが正当派。チーズももちろん牛のミルクでなく羊のミルクのペコリーノ。


ウント・エ・カーチョとも呼ぶみたい。
下の動画では、ベースはラルドとパンチェッタ。


カーチョ・エ・ウントはやがてグリーチャと呼ばれるようになる。
トマトが加わるのはコロンブスの航海の後のこと。

羊の群れはローマまで連れて行った。17世紀にアマトリーチェは同業組合への加入を認められた。1790年代には、この組合からトリッパローリ組合が誕生し、ローマでトリッパや豚のすね、子羊、子ヤギを販売する独占権を獲得する。これらをきっかけとしてこうした素材を扱うトラットリーアが数多く誕生し、やがてそこから作られる料理がイタリア中、そして外国にも知れ渡る料理になっていったのだった。

ローマ風トリッパ。



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2025年9月13日土曜日

トリュフの生存戦略にどっぷりはまったのは人間。

アルバの白トリュフの話をして思い出しました。ピエモンテで一番重要で来場者の多い食のイベント、アルバの白トリュフ国際見本市は、現在開催中。10月11日~12月8日まで開催されています。
トリュフが解禁されるのは、9月末から1月末まで。webページはこちら
アルバに行くなら、この間です。

アルバの白トリュフ国際見本市、今年は95回め。





白トリュフ。


その香りで動物を虜にして掘り起こさせ、食べられることによって遠くに運ばせる、というトリュフの生存戦略は、豚より人間にはまったよう。多分逆らうのは無理。無駄な抵抗はやめてどっぷりトリュフにはまるしかない。
トリュフ犬に最適、と言われているのはラゴット・ロマニョーロという犬種。子犬の頃から訓練する。毎年この時期になるとかしこいワンちゃんがトリュフを探している様子を見たくなります。日本のワンちゃんはここ掘れワンワンと教えますが、イタリアのわんこは掘りながらquarda qui guarda qui/ここ見て、ここ見て、と教えます。

わんこと一緒に行うトリュフ狩り。


個人的には、トリュフ犬に匹敵するのがトリュフをサーブするカメリエーレだと思ってます。


タヤリンの白トリュフがけ



緊張してレストランのテーブルに座っているお上りさんの世界中の観光客を前にして、トリュフを削るカメリエーレは、やけに堂々としてかっこよく、得意げに、時価の白トリュフを景気よく、永遠に削り続けるのです。いったいこれでいくらになるの・・・とおびえて、もういいです、と言いたくなるのをぐとこらえる、多分、みんなそうだよね。しばらくすると、ようやく満足したのか、カメリエーレはトリュフを削るのを終了します。でも、その瞬間気が付きました。このトリュフを削りかけるパフォーマンスも含めて、この料理は完了するのです。なので、ある意味、このパフォーマンスの瞬間は、この料理のピークなのでした。香りを味わうという、とても象徴的な食材、トリュフは、料理を味わっている空間を特別なものに変身させます。そこにカメリエーレの洗練された所作が加わると、一生残る体験になります。オ―バーなようですが、レストランからの帰り道、星で覆い尽くされたアルバの夜空を見上げた時の感動は、今でも覚えています。

ちなみに、料理に加えるトリュフの適量は、黒も白も9~10g。

アルバの注目シェフ、リストランテ・ピアッツァ・ドゥオモのエンリコ・クリッパ。



ピエモンテの人はみんなベテランカメリエーレやトリフォラウみたいで美食意識がすごく高い。

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2025年9月12日金曜日

モンフェッラートのアニョロッティ・デル・プリンは、籠城戦の勝利を祝う料理で、料理人アンジェロットが物がない中で作り上げたご馳走。

ランゲ地方の話。今日はランゲ地方の名物料理です。
まずはタヤリンに次ぐ名物プリーモ・ピアット。
アニョロッティ・デル・プリンagnolotti del plin。
ピエモンテの伝統的クリスマス料理でもあります。
モンフェッラートMonferratoの名物です。

モンフェッラート。





プリントとはつねるpizzicotto、という意味。
詰め物入りパスタの一種で、ピエモンテの古い方言でパスタをカットする時に使った道具、anolotが語源。
民間の言い伝えでは、1340年にモンフェッラート公の料理人、アンジェリーノ、通称アンジェロットがサヴォイア家の分家、ジャコモ・ダカイア広国軍の包囲戦終結を祝う宴会の料理をまかされた。食料が不足していたにもかかわらず、  彼は肉と野菜を集めて細かく刻み、薄いパスタで包んだ美味しいトルテッリを作って出した。このスペチャリタは、アンジェロットの料理と呼ばれ、それがのちにagnolottoとなったのだった。 


背景の物語を知ってから見るアニョロッティは、なかなかドラマチックな詰め物パスタに見える。
元々この料理はロースト肉の残りで作り、ローストの焼き汁をソースにしていた。来客用にする時はアルバ産の白トリュフの薄片を散らす。
アニョロッティ・デル・プリンの特徴であるつねる成形は、シェフの気まぐれで生まれたものではなく、おそらく、詰め物をしたパスタをしっかり閉じるために行うようになった。詰め物に触れないようにしながらしっかり強くつまむのがポイント。

組み合わせるワインは、ランゲとアスティ地方のシンボル的な料理だけに、フレイザのようなプリーモ・ピアットによく合う地元の赤ワインがお勧め。強さがあるアニョロッティのソースやパスタの柔らかさにも向き、詰め物のコクと対照的な若さもある。

フレイ―ザ・ダスティ。



エンリコ・クリッパのローストのスーゴのアニョロッティ・デル・プリン。



材料/
豚カポコッロ(肩ロースのサルーミ)・・300g
子牛すね肉・・1/2本
うさぎ・・1羽
セロリ・・2本
にんじん・・4本
玉ねぎ・・1個
にんにく・・3かけ
ローリエ・・2枚
香りのよい白ワイン・・1/2本
トマトペースト・・大さじ2
スカローラ・・1個
ほうれん草・・500g
生クリーム・・50ml
パルミジャーノ・・50g
卵・・2個
こしょう
クローブ・・1個
ジュニパー・・3粒
バター

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2025年9月11日木曜日

ランゲが最も輝くのは秋。アルバの白トリュフと質素なタヤリンの組み合わせは、農民料理を最大限ゴージャスにした1品。


ランゲ地方の話、続きます。
まずはランゲ地方の冬の話から入りました。家族の最も大切な場所は、寒い冬でも暖房が利く唯一の場所、キッチンでした。
でも、ワインとトリュフの丘、ランゲ地方がもっとも輝くのは秋です。この地の料理はかまどとカンティーナの間から生まれた、という説もあります。
そしてこの地の最も象徴的な料理はタヤリンtajarin。15世紀のランガ・ロエーロとモンフェッラートの農家で、乳母が食事の世話をする習慣から生まれたとか、脱穀場で生まれたなどと言われている質素な料理だが、現在ではグランシェフたちが作る料理。
ランゲの貧しい農民がトリュフと出会って豊かになるメタファーでもある。特に秋には、アルバの白トリュフと組み合わせる最高に贅沢な料理。アルバの白トリュフはアルバの秋に君臨している。おろしたフォンドゥータや生肉、炒り卵に散らす。
質素な農民料理のランゲ料理を、一躍豪華な一品に変えてしまうトリュフ。




アルバを有名にしたのは白トリュフだけど、このトリュフのフィエラはアルバを白トリュフの聖地にした。


フィエラの発案者はピエモンテを代表する美食家として知られるジャコモ・モッラ


アルバはランゲ地方の中心地。チョコレートのフェレッロでも有名な街。
もちろん、トリュフより有名なのはワイン。

アルバ。



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イタリアの新しいマスター・オブ・ワインが選ぶコンテンポラリーな赤ワイン。

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