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2025年9月20日土曜日

ローマのオステリアのベースは羊と内臓料理。

アマトリーチェとローマのオステリーアの関係を知って、ビックリしていますが、元になった記事は、もうなくなった『クチーナ・エ・ヴィーニ』誌の2005年2月号の記事です。重厚で本格的な食文化の記事がとてもよい雑誌だったので、廃刊になった時は残念でした。
20年も前の記事だったんですね~。
アマトリチャーナを作る時、アマトリーチェを思い浮かべる人はどれくらいいるでしょうか。

記事はこんな文章で始まっていました。
アマトリーチェの住民は自らの町を「ラツィオの僻地」と呼ぶ。山の中に位置し、グラン・サッソ国立公園の一部でもあるアマトリーチェは、豊かな自然に恵まれている・・・。

大地震の前のアマトリーチェ。


この料理を理解するポイントは、やっぱりアマトリーチェだったんですね。

アマトリーチェのグアンチャーレ。



豚肉加工職人の本拠地、ノルチャ(ウンブリア)も地震の被害を受けた。
現在のノルチャ。
ノルチャはアマトリーチェとペアのようなグルメに人気の美しい街。



内臓料理が名物のローマ料理。その中心地はテスタッチョのオステリーア。
老舗の一つ、ケッキーノ。


ローマで最も歴史が古い店、ラ・カンパーナ。


ローマきっての老舗、カンパーナも、内臓料理をもっと美味しくするにはどうしたらいいか、常に考えている。

ローマの名物と言えば、内臓と子羊。実は、ローマのリコッタ、リコッタロマーナは歴史がとても古い名物。ラツィオ州の羊の全乳の乳清から作ります。

リコッタ・ロマーナ


リコッタ・ロマーナの風味は羊の餌がベースになっているので、牛乳から作ったリコッタとは明確に違う。餌は天然の飼料が中心で、ラツィオの草原の香草がたっぷり含まれている。

新鮮さも大切なので、ローマに行ったらぜひ味わってみたいもの。
ローマで食べたいものの1つが、アッバッキオ。

リコッタ・ロマーナ。


ローマの食文化は知れば知るほど奥深く、今すぐ行って味わいたくなる。
強力にお薦めのローマ料理の本はグイド・トンマージの地方料理シリーズの『ローマとラツィオ

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2025年9月19日金曜日

アマトリチャーナは羊飼いが移牧の時に作った料理がルーツ。なんとこれがトリッパと結びついて大人気のローマ料理が生まれた。

(CIR5月号)からローマ料理の話をしています。
今日のお題は、ローマのトラットリアの定番料理、“パスタ・アッラ・アマトリチャーナ”。
当然ながら、アマトリーチェというラツィオの村が由来。ただ、このアペニン山脈の村がラツィオになったのは1972年。それまでは隣のアブルッツォの村でした。
この村を語る上で忘れられないのが2016年の大地震。
アマトリーチェは大きな被害を受けましたが、地元の人たちと世界中のアマトリーチェファンたちが立ち上がって再建した。

アマトリーェ地震からの再建。



移牧のルート上にあるアマトリーチェ。


パスタ・アッラ・アマトリチャーナは、元々は羊飼いの料理だった。移牧の間に持っていける傷みにくい材料は、熟成させたグアンチャーレやラルド、サルシッチャなどの脂の多い食材とチーズ。当然パスタもこれらで調味します。
これはカーチョ・エ・ウントcacio e untoという料理。
アマトリーチェの羊飼いたちは、冬の間、家から遠く離れて何か月も過ごした。その間の食料は、小麦粉と豚の脂身(ラルドとグアンチャーレ)。この単純な材料からアマトリーチェの伝統料理が生まれていった。
例えば、平らな石の上で粉と水をこねて細く切る。それを焚火にかけた鍋でゆで、ゆで上がる少し前に小鍋で溶かしておいたラルドを加える。これは“金切声のミネストラ”と呼ばれた。溶けたラルドを熱湯に入れる時の音が、名前の由来だ。
軽い食事なら“パンノタ”を食べた。
グアンチャーレを木の枝に刺して火にかざし、溶け落ちる脂をパンにかけ、焼いたグアンチャーレを載せて食べるスナックだ。

そこで問題になるのがグアンチャーレとパンチェッタ(ベーコン)の違い。


アマトリーチェのシェフが作るアマトリーチェ。アマトリーチェのグアンチャーレを使うのが正当派。チーズももちろん牛のミルクでなく羊のミルクのペコリーノ。


ウント・エ・カーチョとも呼ぶみたい。
下の動画では、ベースはラルドとパンチェッタ。


カーチョ・エ・ウントはやがてグリーチャと呼ばれるようになる。
トマトが加わるのはコロンブスの航海の後のこと。

羊の群れはローマまで連れて行った。17世紀にアマトリーチェは同業組合への加入を認められた。1790年代には、この組合からトリッパローリ組合が誕生し、ローマでトリッパや豚のすね、子羊、子ヤギを販売する独占権を獲得する。これらをきっかけとしてこうした素材を扱うトラットリーアが数多く誕生し、やがてそこから作られる料理がイタリア中、そして外国にも知れ渡る料理になっていったのだった。

ローマ風トリッパ。



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2025年8月14日木曜日

イタリア中部の大人気ストリートフード、ポルケッタ。その産地として有名なアリッチャは、カステッリ・ロマーニの村。ローマの貴族に人気の避暑地でワインの産地。

今日のストリートフードは“ポルケッタ”です。記事の日本語訳は(CIR4月号)P.23。

イタリアのストリートフードの中でも大人気、ポルケッタporchetta。


ポルケッタは中部イタリアの名物。私は、初めて出会ったのがウンブリアだったので、てっきりウンブリアの名物だとばかり思っていました。ちなみにウンブリアのポルケッタもすごく美味しかったです。ところが、ローマに行ったらあちこちにポルケッタのパニーノを売る店があります。実は、ラツィオ・ウンブリア・マルケ・アブルッツォ、トスカーナにも普及しています。そもそもポルケッタの伝統は、エトルリア人や古代ローマ人までさかのぼることができるのです。ポルケッタの本場を名乗る地域もたくさんあります。
そんなイタリア中部で、本家と認められているのがアリッチャAricciaです。

アリッチャのポルケッタ。



アリッチャはローマ県のカステッリ・ロマーニ地区で一番有名で人気の場所。

カステッリ・ロマーニ。


BGMでアリッチャ・リッチャ・リッチャと連呼してますね。すごいクセになる。

カステッリ・ロマーニは白ワイン、フラスカーティの産地。

フラスカーティ

ローマの貴族たちに愛された地。夏の避暑地で、狩りをする場所でした。ワインの美味しさも貴族たちを惹きつけた要因の一つ。


ワインのフラスカーティ。


ポルケッタはローストポーク。その歴史を紐解くと、モンテ・カーヴオの古代ローマのユピテル神殿への捧げものがルーツだそうです。豚を丸焼きにする職人技がどんどん洗練されていき、父から息子へと伝わって現在に至ったものが今のポルケッタ。

モンテ・カーヴォのユピテル神殿へのハイキング。


アリッチャのポルケッタメーカー。


ポルケッタは若い雌豚肉のロースト。骨を取って内臓を抜き、きつく縛り、塩、こしょう、ローズマリー、にんにくなどで調味ししてオーブンで丸ごと串焼きにします。豚肉の品質が出来上がるポルケッタの質を左右します。雌豚のほうが肉が柔らかくて風味が良いんだそうです。外側はこんがりと焼き、内側の肉は強い味でこしょうやローズマリーの香ばしい香り。焼き上がったらスライスしてパンにはさみます。パンは薪で焼いたロゼッタかフィローネ。

4代続くポルケッタメーカー。
ポルケッタは丸ごと子豚肉の串焼きロースト。オーブンで焼く。一度に5匹分も入れて焼く。


アリッチャの老舗、レオパルディ。


ストリートフード・アッラ・イタリアーナ』にはこの店のリチェッタも載ってます。


ポルケッタに組み合わせるお勧めスプマンテは、フランチャコルタ・ベルルッキ。



祝日にはlibreria crapassoで毎週新しい本を紹介しています。


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2025年7月18日金曜日

ローマ料理のカーチョ・エ・ペぺは、こんなに進化していました。

今日のお題は(CIR3月号、P.40~)のペコリーノ・ロマーノのリチェッタ。
料理はプリーモ3品ですが、“マカロネス・デ・プンツ”、“クルルゾネス”、“ス・ツィ―キ・ディ・ポルノヴァ”と、どれも何語?という料理ばかり。ペコリーノ・ロマーノのパスタの代表は、カーチョ・エ・ペペ。代表的ローマ料理。 

ベスト・カーチョ・エ・ペペを探しにローマに飛ぶ人も。
なぜこんなに人を夢中にさせるのか。

カーチョ・エ・ペペに使うパスタはトンナレッリなどのパスタ・フレスカ。

トンナレッリのカーチョ・エ・ペペ

オリジナルと定番のカーチョ・エ・ペペ
オリジナル/材料
スパゲッティ・・240g
ペコリーノ・ロマーノとペコリーノ・・300g
水・・30ml
黒こしょう・・2g

・こしょう、ペコリーノ、パスタだけの料理。
・パスタをゆでる。
・熱したフライパンで粒こしょうを2~3分炒り、火から下して休ませて冷ます。
・パスタのゆで汁を少量別にする。
・ソテーパンにペコリーノ・ロマーノを入れ、ローストしたこしょうを粗挽きしてかける。
取っておいたゆで汁を加え、ゴムベラで混ぜる。
・水気を切ったパスタを加えて混ぜる。
ポイントは加える材料の温度。温度が高いとチーズが溶けて糸を引きすぎる。
・パスタをペコリーノで和えたら再び火にかけ、70℃でマンテカ―レしてチーズに糸を引かせる。
・パスタがクリーミーで温かくなったらペコリーノを散らす。
・糸を引かないパスタを皿にニード形に盛り付ける。
・仕上げにペコリーノ・ロマーノを散らして炒ったこしょうを挽きかける。

動画のルチアーノ・モノシリオシェフが自信のレストランで出しているレシピ
定番/材料
スパゲッティ・・240g
グラナ・パダーノ・・150g
ペコリーノ・ロマーノ・・120g
EVオリーブオイル・・20g
コーンスターチ・・5g
黒こしょう・・2g
水・・50ml

・チーズの中の水分がチーズを繊維状にしないように(糸を引かないように)でんぷんジェルを作る。
・鍋を火にかけ、冷たい水とコーンスターチを混ぜて沸騰させる。でんぷんジェルを使うとパスタを高温でサーブできるようになる。
・グラナとペコリーノ・ロマーノを混ぜてトーストしていない粗挽きこしょうを加える。
・EVオリーブオイルを加える。水で溶いたコーンスターチを加えて混ぜ、ボールに移す。
・ゆでて水気を切ったパスタを加えて火をつけていないソテーパンに移す
・ペコリーノのクリーム、パスタのゆで汁を入れてスパテラで混ぜる。
・パスタを加えてよく混ぜる。


イタリア人シェフ、リッカルド・カマ二ーニへのオマージュ/オリジナル、材料
豚の膀胱・・1個
リガトーニ・・300g
熱湯・・210g
おろしたペコリーノ・プッチャ・ネラ・・135g
EVオリーブオイル・・90g
コーンスターチ・・5g
黒こしょう・ミ二ョネット・・2g
ゲランの塩・・7粒

・豚の膀胱は最低12時間水に浸して戻す。
・膀胱にロートを使ってチ―ズ、EVオリーブオイル、粗挽きこしょう、リガトーニ、水を入れてしっかり閉じる。
・沸騰した熱湯に入れて膨らんだ膀胱に湯をかけながらゆでる。パスタのゆで時間は表示させている時間の2倍かかる。
・膀胱を取り出して振り、皿にのせて包丁で開き、全ての材料をよく混ぜ、皿に盛り付ける。

膀胱に入れて加熱する方法はイタリア料理ではおなじみの方法。伝統的なものとは違うカーチョ・エ・ペペになります。

鶏肉のラヴィオレッティの膀胱煮

ローマのカーチョ・エ・ペペの変遷を知ることができました。
次回はサルデーニャのパスタです。
共にペコリーノの産地として知られるローマとサルデーニャのペコリーノのパスタは、こんなに個性的。

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2025年7月15日火曜日

野生が強い羊に最適だったサルデーニャの環境、古代ローマからペコリーノを愛してきたローマ。

ペコリーノのお題、続けます。ペコリーノ・ロマーノの大部分は、サルデーニャで作られている、というお話は有名な話で、サルデーニャで作られたペコリーノは、ペコリーノ・サルドpecorino sardoと呼ばれます。

ペコリーノ・サルド

そもそもペコリーノは、ペーコラpecoraのミルクから作るチーズ。羊のミルクは牛乳と比べると脂肪分が少なく、たんぱく質は倍近く含まれている。イタリア各地で作られているペコリーノは人と自然の関わりを強く感じさせるチ―ズ。
羊はかなり野生が残った家畜で、羊の授乳期間は、放牧されている羊の群れが栄養価の高い餌を探せる春から夏の間に凝縮されている。
夏の終わりになると、羊は妊娠の準備のためにミルクを出さなくなる。そこで人はミルクを保存して中~長期間熟成させるチーズを作りだした。
ペコリーノは人と自然の関わりを感じさせるチーズなので、自然の影響を大きく受ける。ここ数年雨が多く、野生の状態で飼育されている羊の活動利用が減り、ミルクの生産量が20%減少した。
サルデーニャの羊の放牧。

サルデーニャは羊の飼育に適した土地で、広大な牧草地があり、サルデーニャの人は羊飼いの経験も素養もあった。

おいで、朝ごはんだよ~。

ペコリーノ・ロマーノは輸出量の多いイタリアのチーズトップ5にかなり前から入っている。羊のミルクの中では1位だ。

現在、ペコリーノ・ロマーノの管理組合は、サルデーニャにある。ヨーロッパで最初にDOPが認められた羊のチーズで、外国の市場で偽物が最も出回っているチーズでもある。
昔ながらのペコリーノ・ロマーノは、白~麦わら色で硬質の生地サルデーニャやラツィオの放牧地のハーブの香りがする。テーブルチ―ズ用の若いペコリーノ・ロマーノは、熟成は5ヵ月。やや辛口で洋梨のコンポート、蜂蜜、ドライフルーツ、田舎風パンとサラミ、フルーツと野菜などと相性が良い。定番の組み合わせはソラマメとパンチェッタ。
最低8ヵ月熟成させたペコリーノ・スタジョナートはおろして使う用。生地は若いタイプより締まっていてやや粒状。辛さがもっとはっきりしていので、プリ―ミ・ピアッティの味気には完璧。特にローマの定番プリーモのカーチョ・エ・ペペ、カルボナーラ、アマトリチャーナには欠かせない。それだけでなく、じゃがいもやセモリーノのニョッキ、ラビオリ、リゾット、ズッパにも合う。

カーチョ・エ・ペペ

カルボナーラ

セコンドならカルパッチョやシンプルな切り身肉などの肉料理、卵料理、メカジキやシタビラメなどの魚料理、野菜のやコントルノやスフォルマ―ト、ペースト・ジェノヴェーゼを始めとする様々なソースにも使える。

サルデーニャの地に適応した羊だが、ペコリーノはソラマメ、カステッリの赤ワインと共にマジェットmaggettoという愛称で呼ばれるローマのイベント、5月1日の郊外へのピクニックには欠かせない食材だ。これには古代ローマから続く伝統があり、古代ローマの人はペコリーノが大好きだった。レギオン軍団の兵士にも羊のチ―ズが食料として支給されていた。そして2000年後の現在まで、変わらずに受け継がれてきた。

5月1日のソラマメとペコリーノを買うジョルジョーネ

イタリア各地で作られているペコリーノ。
シチリアのペコリーノ。


次回は各地のペコリーノの話。

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2025年7月14日月曜日

ローマ市長が店頭でチーズに塩を塗る作業を禁止したら、ローマの酪農業者は、みんなペコリーノの生産に適したサルデーニャに移ってしまった。たくましい。そして現在ではペコリーノ・ロマーノの90%以上がサルデーニャで作られている。

今日のお題はペコリーノ・ロマーノpecorino romano。

イタリアで羊と言えばサルデーニャ。670万頭いる羊の60%はサルデーニャにいる。
さらに、ペコリーノ・ロマーノDOPの90%以上がサルデーニャで作られている。

なぜペコリーノ・ロマーノはサルデーニャで作られているのか。

諸説ありそうですが、(CIR3月号)の記事によると(日本語訳はP.39)、1884年にローマの市長が衛生上の理由から、店頭でチーズに塩を塗る作業を禁じた。そこでローマの酪農業者はペコリーノの生産に適したサルデーニャでこの作業を行うようになった、という説。馬鹿にすんなと憤慨したんだろうなあ。

サルデーニャの美しさが発見されて観光客が増えた今でも羊はサルデーニャの象徴。

サルデーニャのペコリーノの生産は、牧草が緑色に茂り、ミルクの質がよくなる10月から7月の間がピーク。
サルデーニャの牧草

今どきのサルデーニャの羊飼い。

未来の羊飼い

バルバージャの羊飼い。美しいビーチとは無縁の厳しい岩場や急峻な山の世界。でもなぜかとても魅力的な地方。

アブルッツォの羊飼いは白い犬。

羊を巡る世界はとても魅力的。

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イタリアの新しいマスター・オブ・ワインが選ぶコンテンポラリーな赤ワイン。

イタリアの新しいマスター・オブ・ワイン、アンドレア・ロナルディが提案するPinosophyの概念。イタリアの食の分野のカリスマたちは、深い哲学への造詣がある人が多く、言ってることの意味が分かるまで、かなり苦労します。マスター・オブ・ワインも例外ではありません。なので、それなりにか...