2021年5月31日月曜日

リグーリアのパスタソースはペースト・ジェノベーゼだけじゃない。

今日のリグーリア料理もマイナーです。
トッコ・アッラ・ジェノベーゼtocco alla genoveseです。
例によってなんの予備知識もなかったのですが、訳した『サーレ・エ・ぺぺ』の記事には赤身の肉のラグーとありました。
つまり、ジェノバ風ミートソースですね。
動画もありました↓

おっと、挽肉じゃなくて塊肉の料理でした。
副題にスーゴ・ディ・カルネとあるとおりで、肉の煮汁のソースです。
トッコとは、スーゴという意味。
リグーリアではペースト・ジェノベーゼという絶対王者がいるので、他のパスタソースには目が向かないかもしれませんが、トッコもリグーリアの伝統料理の定番です。

スーゴについてもっと知りたくなったので、イタリア料理アカデミーの地方料理の本、スーゴとソース

を調べてみました。
アカデミーの研究成果が詰まった素晴らしい本なのですが、難点は、内容が濃すぎて、次から次へと新しい料理が登場して、きりがないこと。

本に載っていたリチェッタは、カルチョーフィのトッコ。
ありきたりのリチェッタは載せないなあ。
さらには、ペーストといえばバジリコですが、あえてなのか、ソラマメのペーストのマローというのを紹介しています。
動画がありました↓


ソラマメのペースト、マローpesto di fave o Marò ligure

材料
 さやむきソラマメ・・600g
 ペコリーノ・・80g
 松の実・・25g
 オリーブオイル・・60g
 ミント・・小6枚
 にんにく・・1かけ 

・軽く塩を加えた湯でソラマメを3分ゆでる。
・冷水に取って加熱を止め、薄皮をむく。
・薄皮をむいたソラマメ約400gと全部の材料をミキサーにかけてペーストにする。
・このペーストをパンのクロストーニに塗ったり、パタにかけてサーブする。
・油で覆って冷蔵庫か冷凍庫で3日間保存できる。



ペーストといえば松の実が欠かせませんが、松の実の代用品はくるみ。
そしてくるみのペーストもパスタに合います。
リグーリア風くるみのペースト。
 材料/
 くるみ・・150g
 牛乳・・150ml
 松の実・・20g
 にんにく・・1かけ
 パルミジャーノ・・30g
 EVオリーブオイル・・大さじ3
 パンのクラム・・30g、塩

・くるみを3、4分ゆでる。
・パンを牛乳に浸す。
・くるみを取り出し、布に広げて乾かす。
・熱いうちに薄皮をむき、冷めたら他の材料(パンは搾り、牛乳は必要ならソースを緩めるときに加える)と一緒にミキサーにかけてクリーミーなペーストにする。

材料をミキサーにかけるだけのペーストの手軽さは、カルボナーラに次ぐものがあるかも。
アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノの次に簡単なのはコラトゥーラのパスタだと思っていたけど、ペースト・ジェノベーゼも捨てがたいなあ。

ところで、スーゴの本といえば、もう1冊、お勧めが。
スローフードのパスタソースの本、『パスタ・エ・スーゴ

スクオラ・ディ・クチーナ”シリーズの1冊で、基本を知りたい時に役に立ちます。

この本のスーゴ・ディ・カルネのパスタには、こう書いてありました。
“このタイプのパスタは、伝統的には、主にアブルッツオ、トスカーナ、ベネトで、手打ちのスパゲッティやスパゲットーニ用、またはバッサ・パダナ地方のタリアテッレなどのパスタ用に広まった。北でも南でも、塊肉を使う、重要な食事用の料理だった。
ソースには内蔵や挽肉を使い、肉は牛肉などの大型のものだが、家禽肉の場合もあった。
ナポリには、ソッフリットに豚や子牛の内蔵を加えたパスタソース、スパゲッティ・アル・ソッフリット・ナポレターノが知られている。”

話が別のテーマに入りそうなので、続きは次回に。

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2021年5月30日日曜日

ジェノバは飢えていないと思わせるために見栄を張って大盤振る舞いした料理、トマゼッレは、ジェノバの数少ない肉の名物料理になった。

今日は“リグーリア”のグルメガイドで紹介されていたリグーリア料理の解説です。
フォカッチャとペースト・ジェノベーゼ以外の名物料理、
あまり知らないなあ。
まずはこれ、tomaxelle。
なんて発音するのかさえ知らない。

下の動画によると、トマゼッレと言ってますね。
子牛肉で肉を包んだインボルティーニです。
表面を焼いたら香味野菜とポルチーニのソッフリット、トマトのパッサータ、ブロード少々でとろ火で煮込みます。
ジェノバの数少ない肉の名物料理。

詰め物は子牛の挽肉、乾燥ポルチーニ、にんにく、マジョラム、牛乳に浸したパン。
祭りの翌日のローストや煮込みの残りを再利用したとはいえ、薄切り肉をボリュームアップさせて煮込みにするジェノバ人の節約気質が発揮された料理です。
歴史的には、この料理はジェノバがオーストリアと戦って籠城していた1741年のジェノバ包囲戦と呼ばれる戦争の間に生まれた料理です。
この時、捕虜に食べさせていた料理が、肉を肉で巻いたこの料理だそうです。物資がない籠城中に捕虜に肉料理とは、この大判振る舞いは、ひょっとしてジェノバは飢えていないのでは、まだまだ戦えるのでは、と敵に疑わせる作戦だったと信じられています。

地方料理書のお勧めは、イタリア・イン・クチーナ


『イタリア・イン・クチーナ』はスローフードが長年出版してきたオステリエシリーズ、『オステリエ・ディ・イタリア2017

最終形態にして最新版。写真も収録されています。
それでは、この本からトマゼッレTomazelleのリチェッタをどうぞ。
材料/4人分
 子牛の薄切り肉・・50〜60gが8枚
  子牛赤身肉・・100g
 雌の子牛の肩肉・・100g
 にんにく・・1かけ
 イタリアンパセリ・・1房
 マジョラム・・1房
 乾燥ポルチーニ・・30g
 松の実・・大さじ1
 トマトソース(好みで)
 パニーノ・・1個
 卵・・2個
 ブロード・ディ・カルネ・・1カップ
 白ワイン・・1/2カップ
 パルミジャーノ
 バター、塩、こしょう

・仔牛肉を熱湯でゆでてにんにく、イタリアンパセリ、マジュラム、ぬるま湯で戻したポルチーニ、松の実、ブロード少々に浸して絞ったパンと一緒にみじん切りにする。
・溶いた卵、パルミジャーノ、塩少々を加えてよく混ぜる。
・肉を軽く叩いてできるだけ広げ、詰め物を塗って巻き、タコ糸で縛る。
・インボルティーニをバターで焼き、こしょうとワインをかけて強火でアルコール分を飛ばす。
・ブロードとトマトソース加える。
・必要ならブロード少々をかけながら15〜20分煮る。煮汁が煮詰まったら火から下ろして糸を外し、皿に盛り付ける。濾した煮汁をかけてじゃがいものピューレを添える。


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2021年5月29日土曜日

ジェノバのフォカッチャのライバル、ヴォルトリ、レッコのフォカッチャ

ジェノバに初めて足を踏み入れて、さあ、フォカッチャを食べようと思っても、フォカッチャ屋が思っていた以上に多くて、しかもどこも行列ができていて、最初はどこにもぐりこもうか、どう注文したらいいのか、ちょっと戸惑うはず。
でも、フォカッチャ屋の行列は、個人的にジェノバで一番好きな光景。朝起きて焼き立てのフォカッチャを食べられるなんて、夢のような生活。
そしていつももどかしく思うのは、フォカッチャと一般的なパンの違いはなにか、という質問に明確な答えがないこと。

フォカッチャには、主にジェノバ、ヴォルトリ、レッコの3つの流派があります。
ヴォルトリもレッコもジェノバの隣町。
ジェノバのフォカッチャのライバル的存在、ヴォルトリのフォカッチャ。
誰もが認める街でお勧めの店は、プリアーノPriano。
朝2時に起きて4時にオーブンに火を入れる生活をずっと続けているという家族経営の店。
型に入れて焼くのではなく、50cm〜4mに伸ばして焼くのがヴォルトリのフォカッチャ。


ジェノバの人気の老舗、アルティコ・フォルノ・デッラ・カサーナantico forno della casanaのフォカッチャ。

フォカッチャの食べ方、参考になります。
ジェノバのフォカッチャ。

ヴォルトリVoltriのPrianoのフォカッチャは、ストリートフードのお勧め本、『ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ 

でも動画付きで紹介している店です。



リグーリアの発酵生地の中でもヴォルトリのフォカッチャを取り上げています。


レッコのフォカッチャはフレッシュチーズ入りでイーストが入らない生地。



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2021年5月28日金曜日

リビエラ・デイ・フィオーリの女王、タッジャスカ・オリーブ


今日は、『サーレ・エ・ぺぺ』がリビエラ・デイ・フィオーリの女王と呼んだタッジャスカ・オリーブの話。

リビエラ・デイ・フィオーリは、3つあるDopオリーブオイル・リビエラ・リグレの産地の1つ。
インペリアやサンレモがある、リビエラ・ポネンテと呼ばれる地域です。


イタリアではオイル用、食用含めてイタリア各地で約400種類のオリーブが栽培されています。
タッジャスカの特徴は、甘い香りとアーモンドのような味。
海風を浴びるこの地方にオリーブの栽培を伝えたのは、プロバンス地方からやってきた、タッジャという名のベネディクト派の修道士。
オリーブからオイルを搾る方法も修道士たちが伝えました。
リグーリア料理のように海の料理との結び付きが強い地方の料理にはよく合うオイルです。
タッジャスカ・オリーブ

オリーブオイルの伝統時な製法、低温圧搾。


リグーリアのオリーブオイルの話をすると、必然的にフォカッチャが食べたくなる。
youtubeに取材した店の動画をupしている本、
ストリート・フード・アッラ・イタリアーナ』には、

フォカッチャはイタリアで最初の小麦粉とオリーブオイル、塩がベースのストリートフードとある。さらに、ヴォルトリからレッコまでのわずか40kmに、3種類のフォカッチャがある(ボルトリ、ジェノバ、レッコ)、とも。

ナポリのピッツァと同じで、ジェノヴァのフォカッチャの美味しさは、現地で食べないとわからない。


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リグーリアの発酵生地

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2021年5月27日木曜日

リグーリアの沿岸部は全域がオリーブオイルの産地。管理組合のマークにもそれが現れている。

今日のお題はリグーリアのオリーブオイルです。

リグーリアは全域がオリーブオイルの産地。
オリーブオイルの発展をサポートしているのは、DOPリビエラ・リグレ管理組合。
中には世界的に有名なオイルもあります。
下の動画には管理組位のマークが冒頭に登場しますが、リグーリアの沿岸部全域が描かれていますねー。
こんなマークがオイルの首に巻かれています。
というわけで管理組合が作ったPVをどうぞ。

下の動画はリグーリアやトスカーナの農産物の業界が集結した伝統の農産物を味わう旅。
ジェノバを旅する人は、こんな旅をしてこんな名物を味わいたいのだという、究極の答えを実現した動画。何も言うことないです。


Dopリビエラ・リグレの産地は3つに別れています。
そのうちの一つはリビエラ・デイ・フィオーリという地区。
この地区は、小粒で風味の良いオイルができて、テーブルオリーブとしても知られるタッジャスカ・オリーブの産地。
リビエラ・デイ・フィオーリ地区は想像に反してリグーリア・アルプスの山の中。

管理組合のイベント、オリーブ畑の見学が一般人にも開放される日。
大盛況です。

タッジャスカ・オリーブはリビエラ・デイ・フィオーリの女王。
このオリーブの話は次回に。
グーリア料理のお勧め本、『リグーリアの発酵生地

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2021年5月26日水曜日

リグーリアのディープな内陸ではは、誰にも知られていないような美しい村で独特の食文化を謳歌している。

リグーリアの知られざる美味しい村、次はチェリアーナCeriana
『サーレ・エ・ぺぺ』誌で紹介しているのは、リグーリアってこんなところもあったんだというような村ばかり。
このピンポイントにめちゃくちゃ詳しい情報は、イタリアの料理月刊誌の強みです。
チェリアーナはサルシッチャの香りがする海の上の村だって。
どんなところでしょうか。

毎年8月にはサルシッチャ祭りも開かれます。

次はリグーリアの羊飼いの食文化が伝わる村、カルパジーナCarpasina。
下の動画でもちらっと紹介されてますが、大麦の栽培が盛んで、羊飼いが移牧に持っていった大麦のパンが名物。
1年以上も保存できるようにした山のパン。

こんな山の中のひっそりと美しい村の上にあるラベンダー博物館、誰が来るのか。

アッロッシッチャ渓流沿いには、にんにくや桃、白ワインが名物の地方があり、白い料理の道と呼ばれている。


最後の動画は白い料理の一つでもあるポネンテを代表する白ワイン、ピガート・リビエラ・リグレ・ディ・ポネンテ。

次回はリグーリアのオリーブオイルの話。
イタリア地方料理のお勧め本は、スローフードのイタリア・イン・クチーナ』と


オステリエ・ディ・イタリア新版

ガンベロ・ロッソのプレミアーテ・トラットリエ

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2021年5月25日火曜日

チンクエテッレだけじゃないリグーリア

リグーリアの名産物、モンテロッソのアンチョビの次は、サンレモンの赤エビです。
gambero rosso di Sanremo   。ヨットで漁に出るなんて、ゴージャス。


次は、ポネンテの内陸地方の宝石と呼ばれる街、ヴァッレボーナVallebona。


次は紫色のアーティチョークが名物の街、ペリナルドPerinaldo。
何故か紫色のアーティチョークはグルメご用達の貴重な食材として扱われています。

ペリナルド↓


カンパーニアの紫アーティチョーク。


グリバルドの地方料理シリーズの『リグーリア』

から、リグーリアのアーティチョーク料理を探してみたら、アーティチョークの地獄風Carciofi all'infernoという、インパクト強めの名前の料理がありました。
リグーリア・ポネンテ地方の料理で、アルベンガの紫アーティチョークの料理だそうです。
動画を探してみると、パープル・アーティチョークはアメリカで大ブームになっているようで、大きな農場で大量生産しているようで、かなり出回っているようです。

この動画、リグーリアの紫アーティチョークがどんなものか、少しは分かるでしょうか。


アーティチョークの下ごしらえは筍を連想させるなあ。
物騒な名前の由来は、一節には、加熱するときに上下の火力が必要だから、だそうです。

本のリチェッタを訳してみます。
材料/6人分
 アーティチョーク・・12個
 にんにく・・2かけ
 イタリアンパセリ・・1房
 オレガノ
 白ワイン・・500ml
 EVオリーブオイル、塩

・にんにく、イタリアンパセリオレガノ少々をみじん切りにする。
・アーティチョークは外側の硬い葉を取り除いて開き、繊維も取り除く。
・中にみじん切りにしたハーブを詰めて閉じ、軸を切り取る。
・軸は皮を取って輪切りにする。
・オーブン皿にアーティチョークを入れて軸を加え、ワインをかける。油2カップ、を加えてアルミ箔で覆い、200℃のオーブンで40分焼く。
・アルミ箔を取って必要ならレードル1杯の水と塩を加え、さらに10分焼く。

パート2はこちら
リグーリア料理のおすすめ本、

リグーリアの発酵生地




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2021年5月24日月曜日

チンクエテッレのアンチョビはアンチョビの道を通って北伊に広まり、ピエモンテのバーニャカウダやベネトのアンチョビのスパゲッティを生み出した。

細長いリグーリアは、西か東の区別はあっても、北か南かは、問題にならないほど薄い。
リビエラの西と東、どっちに行くかと問われれば、東が有力だろうなあ。
なにしろ東にはチンクエ・テッレがあるしね。

リグーリアを旅して足を踏み入れなかったら後悔するのはチンクエテッレとジェノバ。
でもここではちょっとひねくれて、チンクエテッレにありながらアンチョビで有名なモンテロッソあたりを紹介してみましょうか。
地方料理書の大作“グリバウド地方料理シリーズ”の『リグーリア』によると、
レバンテの特徴は断崖にへばりついた漁師の村。
すぐ隣には世界で一番有名な観光地と大都市ジェノバがあったけど、村人は何世紀もの間孤立して暮らしてきた。
リグーリアの海は深くて岩場が多く、軟体動物や甲殻類、つまりタコ、イカ、エビが棲みやすい環境。アンチョビを始めとする青魚も豊富だ。
アンチョビは海のパンと呼ばれていた。リグーリアのアンチョビは中世にはすでに有名で、ピエモンテとの行商の通り道はアンチョビの道via delle acciugheと呼ばれてヴァッレ・ダオスタまで続いていた。アンチョビは“海の銀a;rgento del mare”とも呼ばれる重要な産物だった。
ピエモンテのアンチョビ料理といえば、バーニャ・カウダ。海のない地方のアンチョビソース。

アンチョビの塩漬けは、漁師の村で女性たちが受け継いできた技。
アマルフィのコラトゥーラで有名なチェターラのアンチョビの
塩漬けと比べると、かなり繊細で丁寧な技のように見えます。
甘いのが特徴なんだそうです。
独特のガラスの容器に詰めて40〜50日漬けます。

モンテロッソのアンチョビのスパゲッティはなんと、ベネトの伝統料理なんだそうで。
これもリグーリアのアンチョビが広まっていた結果ですね。


Spaghetti con acciughe di Monterossoモンテロッソのアンチョビのスパゲッティ

・アンチョビは塩を洗い落として骨を取り除いてフライパンに入れ、パスタのゆで汁で溶く。塩気が強いので漁は少なめでよい。
・アルデンテにゆでたスパゲットーニを加えてマンテカーレする。
・仕上げにイタリアンパセリ入りパン粉を散らす。
上質のパスタにぴったりのリチェッタです。

リグーリアのアンチョビ料理をもう1品。アンチョビのバニュンbagnun di acciughe
かつてはリグーリアの漁師の定番の朝食でした。


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2021年5月23日日曜日

ペースト・ジェノベーゼは生鮮食品。そもそも長期間保存はできない。

今日はイタリアのグルメ旅のバーチャルガイド。
目的地はリグーリアです。
『サーレ・エ・ぺぺ』誌の記事のタイトルは「リグーリア、ポネンテとレバンテ」
リグーリアは、というか、リビエラと呼ばれるリグーリア沿岸部はジェノバを境に東をポネンテponente、西をレバンテlevanteと呼びます。
アマルフィのキーワード、マーレ・エ・モンティmare e montiは、この地方にも当てはまります。

海と山の間の僅かな土地を耕して行うのがこの地方の農業。
石壁の段々畑は、その象徴です。
下の動画は気が遠くなるような作業を繰り返してきた先人への深い敬意がこめられた動画です。
動画のタイトルは石と汗の壁。↓
アマルフィのレモン畑もそうでしたが、マーレ・エ・モンティの土地は景観は素晴らしいけど作物を育てるとなると大変。
リグーリアの作物は大量生産ができないので、価格も高い。そのため、生産者は最高のものを作ろうと努力する。
そんな土地にぴったりだったのがぶどう栽培とワイン造り。
この地方のワイン生産者は、世界で一番貴重なワインと胸を張っています。


ジェノバのシンボル、バジリコも段々畑のハウスで栽培されている。

ペースト・ジェノベーゼの主役はもちろんバジリコ。
ペーストは生鮮食品なので、長期間保存ができないソース。
しかも、バジリコの若葉だけ(夏場は約20日の若葉)を使う。
葉の上にかけられた板の上で横になって手作業で行うバジリコの収穫。
当然、本場の味は地元でしか味わえない。
フレッシュでデリケートなペーストは、リグーリアの味そのもの。
長期保存ができるペーストの味は本物とは全く違う。
ペーストは扱い的にはフレッシュチーズと同じ。

当然のようなこの事実も、実際にプラのバジリコ農場に行ってペーストを味わうまで気が付かなかった。
ペースト・ジェノベーゼにはリビエラ・リグレDOPのオリーブオイルも欠かせなかい。
庭でぼうぼうに育ちっぱなしりバジリコしか知らなかったので、こんなに大切に育てている姿はショックでした↓

ペーストの本のお勧めは、ファッチャーモロ・ペスト
ミニサイズのピッコリ・スプンティーニシリーズの本です。
このシリーズのもう1冊、リグーリアの発酵生地

もお勧め。
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2021年5月22日土曜日

イタリアでは花といえば、ズッキーニかカボチャの花。フィオーリ・フリッティはローマの名物。


ご近所が、ズッキーニの花がたくさん咲いたと言っていたので、
今日はズッキーニの花のリチェッタでも。
下の動画では一番最初に言ってますが、ズッキーニの花もカボチャの花も区別はしていないんですね。
実がつく雌花と実がつかない雄花があって、料理に使うのは雄花。花の中には中央に太い雄しべが1本あります。雌花の中には3本が固まってあります。
収穫する時は、受粉用に雄花と雌花はある程度残しておきます。
朝は花が開いて虫が入る可能性があるので、収穫は受粉が終わった午後に行います。
花に茎を2cmつけて切り取り、ガクを取ります。
茎を切り取って花を開き、雌しべをつまみとります。

トスカーナのズッキーニの花の収穫

ズッキーニの花の下処理と、基本の料理

基本のズッキーニの花のフリット。fiori di zucca fritti in pasatella




材料
 ズッキーニの花・・20個
 小麦粉・・100g
 水・・150ml
 卵・・1個
 塩、EVオリーブオイル

・小麦粉と水を混ぜて衣にする。塩少々、卵を加える。
・ズッキーニの花は雌しべ類を取って下ごしらえする。
・油を熱し、ズッキーニの花に衣をつけて揚げる。

ダビデ・オルダーニシェフのモダンなイタリア料理の本(売り切れました)、メイド・イン・イタリー

によると、ズッキーニの花はイタリアでもっとも普及している食用の花で、揚げたり、ソテーにすることが多い。ローマ料理のページで紹介されている。
グイド・トンマージのお勧め地方料理シリーズ『ローマ

によると、ズッキーニの花のフリットは、イタリア各地の地方料理として知られているが、ラツィオやローマでは特に、プロボローネとアンチョビを詰めるフリットで知られている。
本から詰め物入りフィオーリ・フリッティ。Fiori frittiのリチェッタを訳してみます。


材料/4人分
 ズッキーニかカボチャの花・・500g
 小麦粉・・200g
 ガス入りミネラルウオーター
 塩漬けアンチョビ・・10枚
 フィオルディラッテかプローボラ・・200g
 揚げ油(ピーナッツ油)、塩
 
・花を下ごしらえして粗い、水気を拭き取る。
・チーズを細かい小角切りにして水気を切る。
・小麦粉と塩少々にミネラルウオーターを少しずつ加えてゆるい衣にする。
・花にチーズ1、2片とアンチョビ1片を詰め、先端をねじってしっかり閉じる。
・さっと衣をつけ、すぐに熱した油に入れてさっと揚げる。
・シートに取って油を切る。



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グイド・トンマージのシリーズ『ロー
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2021年5月21日金曜日

トスカーナの豚肉料理、最後は豚の内臓の腸詰め、バルディッチョ、

豚肉はトスカーナでは想像以上に深く根付いていました。
そこでトスカーナ料理の傑作本、

ルフィーノのトスカーナ』を紹介しようと思ったのですが、
内容が専門的すぎてちょっと敬遠していたら、どうやら売り切れたようです。

残念。
豚肉については、こんなことが書いてありました。

「昔は、肉屋に行くということには敬意が伴っていました。
狩りは金持ちのものでした。肉屋の店員に、バルディッチョbardiccioをください、と注文するのはいい気分でした。バルディッチョは肉屋が捌けるわずかなものの1つで、幸いなことに一番美味しいものでした。
バルディッチョはヴァルディシエーベ地方発祥の豚の内臓(肺、レバー、脾臓、血)がベースのにんにくとフィノッキオ入りの腸詰めです。
つまり一番貧しい部位。
現代の庶民料理は、みにくいあひるの子のようなもの。
調理されると様々な料理の主役に生まれ変わります」

この文章の左には生の腸詰め、そして右には調理されて赤ワインを添えた1皿。
さらに料理の傍らにはこもかぶりのキアンティのボトルが。
細かく考え尽くされていてキアンティがめちゃくちゃ飲みたくなるほんと、いい本です。

豚肉を解体したときに一番最後に残った部位と、匂い消しの定番フィノッキオ入りのトスカーナの貧しい農民の料理、バルディッチョのタリアテッレ↓


ソーセージとそら豆のタリアテッレTagliatelle with sausage and peas
材料/4人分
 さや入りソラマメ・・800g
 ペコリーノ・トスカーノ・・150g
 バルディッチョか普通のサルシッチャとフェンネルシード・・1本 
 乾麺の卵入りタリアテッレ・・360g
 にんにく・・2かけ
 白ワイン・・1/2カップ

・ソラマメをさやから出す。ソラマメは約200g。
・フライパンに油を熱する。
・バルディッチョの皮をむいて小さく切る。
・フライパンで油を溶かしながら炒める。フォークで潰して取り出す。
・油に刻んだにんにくを入れて炒める。普通のサルシッチャの場合はフェンネルシードも加える。ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・ソラマメを加えて塩味を整え、強めの火で5分煮る
・ペコリーノは皮を切り落として粗く切る。
・ソラマメに火が通ったら湯少々と一緒にミキサーにかける。
・ペコリーノと湯少々を加えて再び撹拌し、濃いクリーム状にする。
・パスタをゆでる。
・サルシッチャを炒めたフライパンにクリーム、パスタ、ゆで汁少々、バルディッチョを入れてなじませる。皿に盛り付けて上にもバルディッチョを散らす。

内臓の腸詰めは漢の強い料理だと言ってますねー。


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2021年5月20日木曜日

アリスタを巡るトスカーナの伝説。昔はキアーナ牛より豚肉だった。アリスタのオーブン焼き

豚肉料理、今日はアリスタarista。
リブロースのあたり。まずフィレットとロースを切り取り、次に肋骨の先端部分はロスティンチャーナ用(スペアリブ)と言って切り落としています。
さらに肋骨を切り落としたのがアリスタ。


アリスタのロースト。
日曜日のご馳走のセコンド↓
下ごしらえしながら、アリスタという名称がどうやって生まれたか、説明しています。
なんでも1439年にフィレンツェで行われたキリスト教の宗教会議が縁だとか、難しそうな話ですが、これはなかなか有名な話。
簡単に言うと、東方とローマカトリックの2つに分裂していたキリスト教の最高会議がフィレンツェで開かれた時、フィレンツェでは晩餐会に各種のご馳走を用意して東方の偉い人をもてなしていました。
当時のトスカーナのシンボルは豚肉で、まだビステッカ・フィオレンティーナではなかったのですが、それに劣らないくらい人気で自慢なのがトスカーナの豚肉でした。
ある時、豚のロース肉のローストを食べたギリシャ人の司祭が、ギリシャ語で思わずarista!アリスタ!/「素晴らしい !」と叫んだ、というのです。それ以来、豚のリブロースのロースト用ブロックが、アリスタと呼ばれるようになりました。
この料理は、カテリーナ・デ・メディチもお気に入りだったという落ちがつくあたりから、ちょっと盛りすぎとも思うのですが・・・。

豚肉の話になると、やっぱりトスカーナ料理の出番です。
ちちなみに、トスカーナはキアンティ地区の人気店、マンジャンド・マンジャンドのアリスタのローストは、チンタ・セネーゼのパンチェッタ付きのアリスタを使うそうです。
さらに、アリスタはドロガトゥーラdrogaturaと呼ばれる下味付けを行うのがポイントです。
焼く前に、肉を熟成させながら、にんにく、ローズマリー、塩、粒こしょう、オレンジの皮、パンチェッタを骨の間の切り込みに詰めて風味をつけます。


アリスタの定番の付け合せはグリーンピースも、にんにく、ローズマリー、パンチェッタの小角切り、塩、砂糖少々(豆の甘みを引き出す)と一緒に煮ます。
お肉屋さんのアリスタのオーブン焼き↓



それでは、スローフードの

オステリエ・ディ・イタリア新版』から、


売り切れ間近です。お勧めはスローフードの地方料理書の最新版、イタリア・イン・クチーナ


マンジャンド・マンジャンドの
アリスタのオーブン焼きのArista al fornoリチェッタをどうぞ。
材料/4人分
 豚のアリスタ(できればチンタ・セネーゼのパンチェッタ付きのもの)・・500g
 にんにく・・4かけ
 セージ・・1房
 ローズマリー・・1房
 ジュニパー・・数粒
 赤ワイン・・2カップ
 EVオリーブオイル
 塩、こしょう
 
・肉を広げてたっぷり塩、こしょうし、ローズマリー、にんにく、ジュニパーのみじん切りを散らす。パンチェッタを肉で巻いて糸できつく縛り、天板にのせて油を塗る。150℃のオーブンで1時間焼く。
・ワインをかけて20分焼き、180℃に上げて外側をカリッと焼く。
・ゆでた白いんげん(カンネッリーニ)と肉汁を添えてサーブする。


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オステリエ・ディ・イタリア新版

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2021年5月19日水曜日

豚肉のミルクロースト

今日もお題は豚肉です。

イタリア料理の初心者向け解説書のような本、

クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ

によると、豚肉は、イタリアで最も普及している肉で、生や生ハム、サラミ、パンチェッタなどの加工肉や脂として様々に利用されています。
イタリアの豚肉というと、一番印象が強いのは生ハムかなあ。
でも、豚肉の料理となると、とたんに印象が薄くなる。
ちなみにこの本で取り上げた豚肉料理は子豚のミルクロースト。
アルトゥージも言及していた、ということは彼の影響力から考えてイタリア中に広まったはず。
これはイタリア料理の代表的な豚肉料理と言ってもいいのでは。
これだけミルクに浸していれば、かなり柔らかいローストになるはず。柔らかくて美味しいローストだそうです。
豚肉とはいえロース1本。クリスマスのディナーにもなる料理です。

それでは本のリチェッタを訳してみます。
豚肉のミルクローストArrosto di maiale al latte
材料6人分/
 骨を取った豚ロース・・2.25kg
 オリーブオイル・・50ml
 縦に切ったにんにく・・4かけ
 セージかローズマリー・・4枝
 牛乳・・1㍑
 レモンの皮・・2個
 レモン汁・・1個

・オーブンを200℃に予熱する。天板に油を熱し、豚肉を焼く。肉を取り出して脂を取り除く。にんにくとセージを加え、その上に肉をのせる。塩、こしょうして肉に牛乳をかけ、再び火にかける。沸騰したら火から下ろし、レモンの皮と汁を加える。ミルクが凝固するが問題ない。
・天板をオーブンに移して20分焼く。
・150℃に下げて1時間焼く。時間は肉の厚さによって変わる。
・肉が焼き上がる前にミルクがなくなったらミルクを足して肉が液体に浸っているようにする。30分ごとに肉を裏返す。
・煮汁を煮詰めて香ばしくするために蓋はしない。
・肉の中央に串を刺し、10数えて抜く。串が熱かったら中まで火が通っている。オーブンから出して最低10分休ませる。ハーブとにんにくを取り除く。
・ポレンタかじゃがいものオーブン焼きと焼き汁のソースを添えてサーブする。

※肉が焼き上がっても煮汁がまだゆるい時は肉を取り出して煮汁を適度な濃さになるまで煮詰める。
定番の豚肉のロースト↓
沸騰したブロードをかけて煮る。煮汁はコーンスターチでつないでソースにする。



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クチーナ・レジョナーレ・ソフィー・ブレイムブリッジ

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2021年5月18日火曜日

豚のスペアリブはトスカーナではロスティンチャーナと呼ばれて大人気。

今日のお題は豚肉のリブロースのグリルです。
イタリアで子羊肉のアッロスティチーニが大流行している様子を見るにつけ、羊飼いのいない日本ではなあ・・・、と思うのですが、子羊以外にも炭焼きグリルにすると美味しい肉、もちろんあります。
イタリアのバーべキューの定番は、豚肉のコスティーネ、スペアリブ。

トスカーナ料理のお勧め本、グイド・トンマージの地方料理シリーズ『トスカーナ

によると、トスカーナでは豚のスペアリプのことをロスティンチャーネまたはロスティッチャーネと呼ぶそうです。
材料はスペアリブとローズマリー、塩、こしょうだけ。
超シンプル。やはり肉がすべて。
作り方は、
・炭で焼くが、なければオーブンでもよい。
・ローズマリーで香りをつけて約30分焼き、塩、こしょうする。
これだけ。
トスカーナ風豚スペアリブのロスティンチャーネrostinciane

・豚のスペアリブ1枚の骨の間に切り込みを入れる。
・シブレット、タイム、セージ、ローズマリー、イタリアンパセリ、ケッパー、にんにくをみじん切りにし、EVオリーブオイルを加える。
・これを肉に両面塗って塩、こしょうし、オイルを回しかける。ローリエを散らしてにんにく1玉とローズマリー数枝を加え、再びオイルを回しかける。200℃のオーブンで20分焼き、裏返してさらに20分焼く。
フライパンで焼く人もいました。フライパンだと液体を加えられるので、この人はワインやブロードをかけて焼いて、仕上げに卵とじにしてます。


ノンナが作ってくれたような懐かしい料理の本、ピアッティ・ディメンティカーティ

にも、フライパンで蒸し焼きにする豚のリブロースの料理がありました。
どうやらグリルよりジューシーに柔らかく焼き上がるので、ノンナなノンノには好評のようです。
でも、若者にはグリルが人気なんだろうなあ。


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グイド・トンマージの地方料理シリーズ『トスカーナ
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2021年5月17日月曜日

夏休みの最中の祝日、フェッラゴスト。

今日のお題はフェッラゴスト。
まず、フェッラゴストというのはイタリアの祝日で8月15日のこと。
8月の話題にはちょっと早いけど、「総合解説」は7/8月号なもので・・・。

この祝日についてはwikiをどうぞ(こちら)。
下の動画では、シニョーラが、フェラゴスト(8月15日前後の数日間はみんながバカンスに出かけて、都市が空っぽになる時期の祝日で、よく覚えてないけど、多分みんな海に出かけていたんじゃない、と語っています。
8月15日は農作業の労働も休む日で、人だけじゃなく、家畜も休ませてあげたんだそうです。
次の若者(シニョーラの孫?)は、イタリア人にとっては海や山で家族とのんびり過ごす祝日だと言ってます。
この日にピクニックやバーベキューをむ楽しむ伝統はしっかり受け継がれています。
というか、そもそもバカンスの最中の祝日って、印象薄そうですね。
ムッソリーニが格安の電車を運行したので、みんなが里帰りしやすくなったそうです。今どきの若者は、この日に実家に帰って家族で食事すると言ってます。
レストランで寂しく食事をするより、家族みんなでわいわいにぎやかに楽しむ真夏の食事。特に定番のメニューはないようなので、ノンナが腕をふるって孫の好物を作る日なんだろうなあ。

キリスト教的には聖母マリアの被昇天の日にあたり、各地でちなんだ行事が行われる。
特に有名なのはシエナの世界最古の競馬、パリオ。

みんなが海を目指す真夏、山はバーベキュー天国になってた。

やっぱり最近の炭焼きの主役は子羊肉のアッロスティチーニ。
でも、今月は豚のリブロースの炭焼きグリルのリチェッタ(P.31)も訳しました。
子羊の次は豚のリブロースの炭焼きです。

豚のリブロースといえば、トスカーナ料理。

次回に続きます。
スローフードのイタリア地方料理書の最新版の集大成。北から南まで各地の料理を1冊に収録。写真もあります。イタリア地方料理書のお勧め本



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2021年5月16日日曜日

ここ10年で、チェターラのコラトゥーラのパスタは世界中のグルメが自慢する食材になっていた。

次にアマルフィに行ったら、ソレント半島のつけねのアマルフィ海岸の端にある街、ヴィエトリ・スル・マーレでアマルフィっぽい陶器を買ってみたいなあ。

陶器好きにはたまらない街ですなあ。
アマルフィのアーティストの自由で愉快な感性や、アマルフィの暮らしに深く根付いたデザインが、とても楽しげ。とにかく陽気でカジュアルな普段着の陶器です。
私が一番見たいのは、大聖堂の陶器のクーポラ。
イタリアの陶器の街の大聖堂には、陶器のクーポラが乗っていることが多いのです。
特にシチリアあたりは美しいものが多いです。
でも、シチリアは地震も多いので、無残に崩れてしまうものも多く、こうして美しく残っている姿は、貴重です。
ヴィエトリ・スル・マーレのサン・ジョバンニ・バッティスタ教会の陶器のドームと隣の教会の陶器の鐘楼↓

さて、ヴィエトリ・スル・マーレで、なにか美味しいものを食べたいとなったら、西のアマルフィ方面に戻った隣町、チェターラの名物を知っとかないと。
そう、コラトゥーラです。
グルメ向きの観光地としてはチェターラのほうがヴィエトリ・スル・マーレより楽しそう。
アマルフィより庶民的で面白そうではないですか。

この街がコラトゥーラで有名になたのは、アンチョビ漁が盛んだったから。
コラトゥーラ造り。

以前にも度々取り上げていますが、コラトゥーラは最近のアマルフィの大ヒット製品。
小さな漁師町が、コラトゥーラのおかげで世界中から注目されるようになりました。

コラトゥーラのパスタは、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーニの一種で、超シンプルなパスタ。食材の味が出来上がりの味に直結します。
チェターラでいいやつを1本買っておかないと。
グラニャーノのパスタのような上質の太いパスタのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノに少量加えるだけで地中海の味になります。
グラニャーノタイプのパスタはちょっとお高いけど、いつものスパゲッティだと残念なできになります。

チェターラのリストランテ・アル・コンベントのコラトゥーラのスパゲットーネ↓


・潰して粗いみじん切りにしたにんにく、イタリアンパセリ、EVオリーブオイルを混ぜ (火にはかけない)、コラトゥーラを味を見ながら1滴ずつ加える。パスタのゆで汁も加えて乳化させる。
・ゆでたパスタをゆで汁少々ごと加えてマンテカーレする。
・巻いて立体的に盛り付ける。
世界中のグルメがコラトゥーラを高級なバルサミコ酢みたいに自慢してます。
2017年のリゼルバだって。↓

デンプンがゆで汁に溶け出ないパスタはサラダ用パスタと言ってますねー。
コラトゥーラがメジャーになったのは比較的最近なので、古い料理書には出てこないこともある。
でも、ナポリ料理に詳しいジャーナリスト、ルチアーノ・ピニャタロの本、

リチェッテ・ディ・ナポリはリチェッタがたくさん載っている。

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2021年5月15日土曜日

2度目のアマルフィの旅のキーワードはマーレ・エ・モンティなんてどうでしょう。

今日のお題はアマルフィ海岸。

「総合解説」ではアマルフィの名物料理のリチェッタを紹介しています(P.30)
アマルフィ海岸は世界中の人が一度は行ってみたいと思う場所。
リピーターが多そうなので、今回は、ちょっと目先を変えて・・・。

アマルフィ海岸のキャッチフレーズはマーレ・エ・モンティmare e monti。
アグリトゥーリズモで地元の食を堪能するなんて旅もいいですねー。
「総合解説」のアマルフィ料理も、豚スベアリブのグリルとか、カサゴのカボチャ添えとか、かなり素朴。
その名もマーレ・エ・モンティというアグリトゥーリズモがありました。
癒やされるなあ。


私もアマルフィを初めて訪れたときは、断崖の上にある修道院のホテルに泊まって大聖堂を見学し、レモン畑に覆われた山に登って迷路のような路地が張り巡らされた山をさすらうというワイルドな旅を経験しました。
アマルフィでは急な山道を登り降りすることは避けられません。
僅かな陸地に山と海がへばりついて、あの独特の景観を作り出しています。
陶器の街、ヴィエトリ・スル・マーレも、コラトゥーラで有名なチェターラにも行かないで、山登りした記憶しかない。
でも、一番の目的はデリツィエを食べることでした。

デリツィエといえば、サルヴァトーレ・デ・リーソ。
ミノーリにある彼の店で食べるという手もありましたが、
病みつきになっていた私は、アマルフィやカプリなど、カンパーニアの行く先々で食べていました。

彼のアマルフィでの暮らしも多くの写真とともに詳しく綴られていて、アマルフィの暮らしとこのドルチェの結びつきがよくわかる本です。


アマルフィのゴージャスなホテルは一生に一度ぐらいは泊まってもいいけど、食がメインならアグリトゥーリズモも体験してみたい。


マーレ・エ・モンティのリングイーネ↓
ソースはムール貝入りのマッシュルームとパンチェッタのソッフリット。

カンパーニア料理のおすすめ本、クチーナ・ディ・ナポリ



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2021年5月13日木曜日

シチリアのブロッコリーのパスタはカリフラワーのパスタだった。ナポリのフリアリエッリのパスタはブロッコリーで応用可のパスタだった。。

今日はパスタのフリッタータ。
「総合解説」のリチェッタはP.25です。
その中から取り上げるのは“スパゲッティとフリッジテッリのフリッタータ”。

パスタのフリッタータはナポリのソールフード。
そしてフリッジテッリfriggitelliはナポリの名物野菜。
辛くない青唐辛子、見た目はししとう。
文句なしのナポリ風パスタです。
フリッジテッリのソテー↓

フリッジテッリあるある、フリアリエッリと勘違いする。フリアリエッリはナバナのような野菜。

フリアリエッリの収穫↓

フリアリエッリの下ごしらえ↓
ナポリ料理の研究家として知られるジャーナリスト、ルチアーノ・ピニャテッロの本、リチェッテ・ディ・ナポリ』によると、

一般的にはフリアリエッリは蓋付きソテーパンで下ゆでせずに直接、オリーブオイル、にんにく、唐辛子で蒸し炒めにする。
ブロッコリーやフリアリエッリをさっとゆでてから炒める方法は、修道院で広まっていたので“アムナキーナamunachina”(修道女風)と呼ばれた。

ナポリのブロッコリーの名前、フリアリエッロfrijarielloはソッフリットにする野菜da soffriggereがイタリア語になまったものだとか。
本にはブロッコリーまたはフリアリエッリのブカティーニのリチェッタがあったので訳してみます。

・フリアリエッリを硬めのアルデンテに塩ゆでする。
・にんにくのみじん切りと唐辛子をオリーブオイル1カップで炒める。ブロッコリーかフリアリエッリを加えてなじませる。
・アンチョビ、松の実、熱湯で戻して絞ったレーズン、塩、こしょうを加えて、粗塩一握りを加えてゆでたブカティーニを加える。オイルを回しかけてチーズを散らし、ブロッコリーを加える。ミントのみじん切りを散らす。

フリアリエッリかブロッコリーのパスタとなっていました。
基本の作り方はゆでたフリアリエッリとパスタをソッフリットに加えてなじませる、というもの。
なるほど、ブロッコリーでも応用できるんですね。

そう言えば、シチリアのブロッコリーのパスタを訳していて、結局はカリフラワーのパスタのだったことがありました。
ブロッコリーのパスタと言いながらカリフラワーのパスタ↓。
パレルモではカリフラワーのことをブロッコリーと呼ぶんだって。

ナポリでは、フリアリエッリとブロッコリーの境界が曖昧なよう。
ナポリのブロッコリーのパスタ↓


・オイル、にんにくの薄切り、アンチョビ3〜4枚、辛くない青唐辛子の輪切りを熱して溶かし、火を止める。
・パスタとブロッコリーを一緒にゆで上がるように見計らって一緒にゆでる。
・パスタとブロッコリーを取り出してソースのソテーパンに加える。ゆで汁も少量加える。

おまけのリチェッタ。フリアリエッリのパスタ。
・パンチェッタ300gとにんにく、唐辛子のソッフリットに生のフリアリエッリ500gと塩を加えて蒸し煮にする。仕上げに刻んだドライトマト200gを加える。
・ゆで上がったパスタとチーズを加えてなじませる。
ブロッコリーで応用可ですよね。


シチリア料理のミニシリーズ、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ

シリーズ 

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2021年5月12日水曜日

シチリアのメカジキとアブルッツォのキタッラ

今日のお題はパスタ。リチェッタは「総合解説p.24」にあります。
まずはメカジキのキタッラ。
メカジキと言えば、シチリアです。
ライバルのナポリ料理では、メカジキのパスタはマイナーな存在ですが、シチリアにはメカジキ料理が沢山あります。
特にメッシーナ海峡では、メカジキ漁の伝統が受け継がれてきました。
メカジキ漁師は尊敬の的の特別な存在。深海に棲むメカジキが表面に上がってきたところを銛で仕留める漁。仕上げにつける十文字のマークが、この漁の印。
フェルーカという独特の船を使うのはナイルの沿岸地方から伝わった方法で、今はメッシーナ海峡にだけ残っています。

メッシーナ海峡はシチリアとイタリア本土の間のマグロやメカジキの通り道。メカジキは産卵のために夏にこの海峡を通ります。流れの早いこの海峡に棲むメカジキは味がいい、というのがシチリア人の誇り。

メカジキは市場の花形の魚ですが、乱獲のせいで年々数が減っています。


次はキタッラです。もちろん、アブルッツォ生まれの名物パスタ。

メカジキのパスタは、メカジキを小角切りにしてソースに入れるのが一般的。でも「総合解説」では、切り身を焼いてパスタに添えるという、コロンブスの卵的新テクニック。
キタッラに赤ピーマン、ズッキーニ、にんじんのジュリエンヌを加えただけで、とてもカラフルになって、パスタの付け合せがとてもおしゃれになります。

でも、メカジキのパスタはやっぱりシチリア風がおいしそう。
シチリア風メカジキのパスタlo spaghetto alla siciliana con pesghece spada

材料/
 メカジキ・・300g
 ミニトマト・・250g
 黒オリーブ・・30g
 ケッパー・・20g
 フェンネルシード・・小さじ1
 イタリアンパセリ
 にんにく・・1かけ
 白ワイン
 スパゲッティ

・メカジキは皮を切り落として小角切りにする。
・ミニトマトを半分に切る。
・イタリアンパセリの葉を茎から外す。
・オリーブは種を取って輪切りにする。
・フライパンでイタリアンパセリの茎と潰した皮付きにんにくをオイルでソッフリットにする。
・パスタをゆで始める。
・茎とにんにくを取り除き、メカジキ、ミニトマト、ケッパーを加える。
白ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・ゆでたパスタを加えてなじませる。
・皿に盛り付けてイタリアンパセリのみじん切りを散らす。

シチリア料理のミニシリーズ、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”の『ペッシェ』や『ターヴォラ』にはメカジキのパスタなどメカジキ料理のリチェッタが各種収録されています。


スローフードのオステリエ・エ・ジェンティ・ディ・シチリアは、表紙がずばりメカジキ。ちなみにメカジキに戦いを挑んでいるのはプーピというパレルモの伝統人形劇の騎士。メカジキもプーピもシチリアの大切な伝統文化。ユネスコの世界無形文化遺産にも選ばれています。



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オステリエ・エ・ジェンティ・ディ・シチリア

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2021年5月11日火曜日

タコとサラーメ・ピッカンテのピッツァはナポリとカラブリアのハイブリッドピッツァ。

ここのところお題はオリジナル・ピッツァ。まず生地の話から入りましたが、今回はトッピング。
まずは、タコとサラミ・ピッカンテ。
タコのピッツァは、タコとじゃがいもやタコとトマトあたりが定番の夏のピッツァというイメージがありますが、今回のリチェッタはサラミ・ピッカンテとの組み合わせ。
タコのピッツァはイタリアでも珍しいのでしょうか。


タコをローストしてましたねー。
下のたこをゆでる動画は、ナポリの伝統をきっちり守っていてます。

ナポリ人はこうやってタコをとるらしい。んなアホな、凄すぎる〜。

サラーメ・ピッカンテのピッツァはタコよりメジャー。

カラブリアのサラーメ・ピッカンテ、スピアナータのピッツァはカラブリアの定番。

ナポリスタイルのカラブリア・ピッツァ。


タコとサラメ・ピッカンテのピッツァはナポリとカラブリアのハイブリッドピッツァ。かなり最強。

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南チロルはドイツと南イタリアが融合した面白い地方。ワインの収穫後の新ワインを味わう時は、ご近所みんなでパーティー!

今日のお題は、アルト・アディジェの料理です。 イタリア最北の州、アルト・アディジェ、別名南チロルsud tirolは、海だけじゃなく、山もあるイタリア料理を象徴する地方。最近では、アルプスへの注目度も上がっています。 南チロルのトルゲレンの祭り。 下の動画のタイトルは、“ビギナー...