2015年9月28日月曜日

レンズ豆

前回ちらっと登場したコテキーノ。
今回は、その相棒、レンズ豆の話。
レンズ豆は12月31日の夜に食べると富と幸福をもたらすと言われています。
イタリア人がどれくらいこのジンクスを信じているかというと、その消費量から計算すると、10人中9人、つまりほぼ全国民が年末年始にレンズ豆を食べているそうですよ。
みんな小金を貯めて幸せになりたいんだなあ。

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イタリアのレンズ豆は、ウンブリアのカステッルッチョ・ディ・ノルチャ産が有名ですが、これはイタリア産レンズ豆の中で唯一のIGP製品。
他にも色々あります。

ちょっと変わったところでは、シチリアのレオンフォルテのレンズ豆。
レオンフォルテはシチリア中部の町。
生の時は真っ黒ですが、ゆでると茶色くなります。
こんな豆
イタリアでもこんな黒いレンズ豆は珍しいようです。
黒レンズ豆のズッパはお汁粉のよう。




レンズ豆は食物繊維、ミネラル、ビタミン、タンパク質が豊富で、古代には貧者の肉と考えられていました。
レンズ豆は人類が栽培した最古の豆だという説もあり、聖書にも登場します。
そんなレンズ豆ですが、このレオンフォルテのレンズ豆は、10~20年ほど前には消滅の危機にありました。
それが一部の生産農家の努力によって再生したのだそうです。
各地の生産者の努力が実って、国中で愛される豆が生まれているのですね。

「総合解説」では、シチリアのレンズ豆料理としてレンズ豆のポルペッテを紹介しているので、ここでは動画をどうぞ。
ポルペッテは応用がきくリチェッタなので、バリエーションは無数にあります。
ちなみに、ベジタリアンメニューのレンズ豆のバーガーもできます。




ちなみに、黒レンズ豆は、別名ベルーガ・レンズ豆と呼ばれます。
キャビアみたいなのでベルーガなんだそうです。
アメリカではちっょとしたブームのようです。
シチリアの黒レンズ豆に日の目が当たる日も近い。
ベルーガレンズ豆のブレイズ。


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“レンズ豆”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年9月24日木曜日

山のホームパーティーメニュー

ポレンタの話ですが、以前にもこちらのページやこちらのページで、ポレンタは北イタリアだけのものではないこと、8列とうもろこしの粉で作るポレンタが美味しいらしい、というような話を紹介してきました。
今回の「総合解説」では、全粒粉、粗挽き粉、コーンフラワーなどの粉の種類に合わせて、銅鍋、圧力鍋、普通の鍋でのポレンタの作り方を紹介しています。
来月号では、そば粉入りのポレンタ・タラーニャなど、ポレンタのバリエーションを紹介しています。
ポレンタの入門編としてはかなり詳細な説明。
イタリア文学に登場した最初のそば粉のポレンタの話などという超マニアックな話題まであります。

ポレンタつながりで、今月の「総合解説」の“冬山のディナー”という記事は、素朴な山の料理で構成するパーティーメニューです。
山の食材で作るディナーとは、どんなメニューだと思いますか。
なかなか面白い料理が並びます。

まず、食事の始まりを告げる1品となるのは、木のトレーに並べられたポレンタのクロスティー二。
オーブンでクリルしたポレンタジャッラに、リコッタ、キノコのマリネ、ブレザーオラをのせた一品。
料理の写真はこちらのページ

ブレザーオラはロンバルディアはヴァルテッリーナ名物の牛の干し肉。
これが黄色いポレンタの上にのっているだけで、アルプスにいる気分です。

きのこはカルドンチェッリ。
プーリア料理によく使われるエリンギの一種ですが、ポレンタとブレザーオラに挟まれると、アルプス固有のきのこに見えてくるから不思議。

そして次の料理は、フィラッシェッタ。
聞きなれない名前ですが、ロンバルディアの伝統的フォカッチャ。
写真はこちら
トッピングは赤玉ねぎとバターのソッフリットと、タレッジョやトーマなど、名前の由来にもなっている“とろける(フィーラ)”チーズ、さらに砂糖もかけて焼きます。
これもヴァルテッリーナ料理で、ブレザーオラを添えたりします。

プリーモ・ピアットはそば粉のシュペッツレの玉ねぎのクリームとコテキーノがけ。
シュペッツレはドイツ料理でおなじみですね。
ということは、イタリアでは南ティロル地方、トレンティーノ=アルト・アディジェ州北部の料理ということです。
実は「総合解説」のリチェッタが他のものになっていたので(大変失礼しました)、ここに載せておきます。
材料は問題ありません。

❶ボールに2種類の粉を混ぜて卵を1個割り入れ、塩2つまみを加えて溶く。粉を少しずつ混ぜ込みながら水100mlを加え、均質の生地になったら布巾で覆って30分休ませる。
❷たっぷりの湯を沸かして塩を加える。シュペッツレの型を通して生地を少量ずつ湯に落とす。または鍋の上でポテトマッシャーに通しながら短く切る。1分ゆでて浮かび上がったらすくい取り、すぐに油をまぶす。
❸玉ねぎをみじん切りにして油大さじ2~3とセイボリー、クローブ、塩、こしょうでソッフリットにし、透き通ったら生クリームを加える。シュペッツレを加えてなじませ、小さく切った熱いコテキーノを添える。

コテキーノは、イタリアではレンズ豆を添えて新年に食べる料理として有名ですが、このメニューではコテキーノとレンズ豆をバラバラにして、コテキーノはプリーモ、レンズ豆はサラダにして、セコンド・ピアットに添えました。

セコンドは豚肉のローストのクランベリーのコンポート添え。
肉のローストにベリーを添えるのは北ヨーロッパの手法。

そしてドルチェは、北の山間部で冬の間手に入る唯一のフルーツ、りんごのトルタ。
マロングラッセを加えて素朴さの中にもゴージャス感を。

それでは最後に、イタリアの代表的山岳地の一つ、ヴァッレ・ダオスタのアルタ・クチーナの本のPVを。




山のイタリア料理は、地中海料理としてのイタリア料理とはまったく別の顔で、独自の進化を遂げていますが、アルティジャナーレを尊重するという根本は同じですねー。




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“冬山のディナー”のに日本語リチェッタは、「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2014年1月号の雑誌は一部在庫あります。詳しくはこちらで。

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2015年9月17日木曜日

ポレンタの道具

今月と来月の「総合解説」、イタリア料理の基礎シリーズはポレンタです。

肉のシチューに添えられた黄色いポレンタは、存在感ありますよねー。
料理が2段階ぐらい美味しそうに見えます。

Polenta and cinghiale


北イタリアの代表的おふくろの味、ポレンタ。
種類は家の数だけあると言われています。
でも個人的には、銅鍋でひたすらかき混ぜ続けながらじ~っくり煮る手間のかかる料理というイメージ。

伝統的なポレンタの作り方。
 ↓



もっと伝統的なスタイルでは、取っ手のついたバケツのような銅鍋を暖炉に吊るして、小1時間木べらでかき混ぜながら煮ます。

Polenta

なぜ銅鍋なのか、なぜ長時間かき混ぜ続けるのか。
ポレンタの自動かき混ぜ機もあるくらいなので、取りあえず、かき混ぜ続けるのはポレンタを煮る時の宿命らしい。

まずはポレンタを作る道具の話から始めましょうか。
基本中の基本はパイオロと呼ばれる銅鍋。
ポレンタは煮ている間、すぐに鍋肌にくっついて薄い膜になります。
パイオロには、テフロン加工の鍋のように、ポレンタがくっつきにくいという効果があります。

現代の発明品ポレンタミキサーは、鍋の中央をかき混ぜるのではなく、鍋肌に固まったポレンタをこすり落とします。
ただゆっくり回るだけの動画。癒されるな~。
 ↓



つねにかき混ぜ続けないと、ポレンタが鍋肌にどんどん固まってしまうんですね。そうすると、部分的に硬さの違うポレンタになってしまいます。

次に必要なのはポレンタをかき混ぜる木べら。
特に特徴はなさそうですが、熱いポレンタをかき混ぜ続けるには、ポレンタから適度に離れるような長さが必要。

さらには煮上がったポレンタを鍋からあけて出すまな板のようなカッティングボード。
何にでも張り付くポレンタがくっつかないように、あらかじめぬらしておきます。
さらに、鍋にも張り付くので、あけるまえにパレットで鍋肌から切り離しておきます。

それからなかなか珍しいのが、下のポレンタを切る動画。
カットする時は綿糸を使います。
さらに、ポレンタの下に糸を通して上に向かって持ち上げます。
その逆、つまり上から下だと、ポレンタの表面が乾燥して膜が張っているので失敗します。




ポレンタをカットするのって、気持ちよさそう。
さらに、下の動画も快感。
煮上がったポレンタを広げるだけの動画。
 



カットしたポレンタをグリルしてこんがり焼き色の筋をつけると、また格別に美味しそう。
英語ではこれをポレンタケーキと呼びます。

Polenta Cake


これにチーズやトマトのコンカッセをのせると、前菜やアペリティーヴォになります。




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“イタリア料理の基礎シリーズ:ポレンタ1”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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2015年9月14日月曜日

アイスカフェ

ようやく天候も落ち着いてきた今日この頃ですが、皆さまお変わりありませんでしょうか。
被災された皆さまには謹んでお見舞い申し上げます。

このところ音沙汰なかったイタリアからも、久しぶりに便りがどきました。
それでは、イタリア便りです。
どうぞ、Segnalibroさん!



今年の夏は、とても暑かったです。
ミラノ市内ではみんながエアコンを使い過ぎるため電力オーバーしてしまい、1日に何度も停電しました。
2003年以来の猛暑だったそうです。
ローマに至っては、なんと136年ぶりの暑さだったのだとか。
イタリアの朝食には欠かせないカフェですが、こんなに暑いと、朝から温かいカフェを飲もうなんて思えません。
日本だったら、関西だったら、レーコーの一言でおいしいアイスコーヒーが飲めるのに。
コーヒーを飲んで、頭をしゃきっとしたいけれど、温かいのはNo Grazie。
そこで、コーヒーゼリーを作ってみたところ、イタリア人には大不評。
見た目も触感も気持ち悪いと言われてしまい、がっかりでした。
イタリアでアイスカフェを飲みたい場合、どうしたらよいのでしょう。
イタリア人のお友達は、暑いうちに砂糖を入れたエスプレッソを作り置きして、それを常温で飲んでいました。

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バールによっては、Caffè freddoカフェ フレッドと言う名前で、氷が入ったグラスに常温のエスプレッソを注いで出してくれるところもあります。
朝から注文する気分にはなりませんが、カフェ味のかき氷、Granita al Caffèグラニータ アル カフェも冷たいコーヒーと言えるでしょうか。
(以下、写真はお借りしています)

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エスプレッソに泡立てた生クリームを加えたCaffè con Pannaカフェ コン パンナも涼しげな感じがして、この夏、何度かやってみました。が、カロリーが気になります。

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それから、Caffè shakerato カフェ シェケラート。

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シェーカーに熱いエスプレッソ、お好みで砂糖やミルク、またはリキュールを注ぎ、氷と共にシェイクしたもの。
シェイクすることによって味がまろやかになるのか、普段コーヒーをたしなまない人でも飲みやすそうです。
夏のイタリアでは、マクドナルドでもメニューに載っているくらい、メジャーなカフェです。
ただマクドナルドの場合、手でシェイクするのではなく、自動でシェイクする機械にかけられます。
機械でシェイクするお店の方がお安いお値段ですが、手でシェイクしてくれるお店の方がもちろんおいしいです。
スペインのバレンシア地方では、エスプレッソと共に、氷とレモンが入ったグラスがサーブされるカフェがあります。
エスプレッソを自分でグラスに注いで飲むのだそうで、見た目が涼しげな上に、なんだかオサレ~。

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イタリアでも、もっと他にありそうだと思っていたら、プーリア州出身の人からcaffe alla Salentina サレント風カフェというものがあると聞きました。
長靴のかかとの部分に当たるサレント半島、一番大きな町はLecceレッチェです。
スペイン統治時代に飲まれていた、レモンと氷入りのカフェがサレント風に姿を変えたものだと言われていますが、スペインのようにレモンは入らず、かわりに南イタリアらしく、アーモンドミルクが注がれます。
レッチェの町の中心にある老舗パスティッチェリアAlvinoのサレント風カフェ。 

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氷を入れたデミタスカップにアーモンドミルクを注ぎ、エスプレッソを加えると、アーモンドミルクの比重が重いので、写真のようにミルクが沈んだままで二層にわかれます。

 
この層を見るのも楽しみの一つなので、透明なグラスを使い、かき混ぜ過ぎず、スプーンで軽く混ぜて飲むのだそうです。
底抜けに暑い、南イタリアのギラギラした太陽のもとでは、甘さがグーっと効いておいしく飲めそう!
カフェのお伴には、カスタードやカカオクリームがぎっしり入ったレッチェの伝統的なお菓子が欠かせないそうです。

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さて、このサレント風カフェ、家でも作ってみたいと思ったのですが、早速、壁にぶつかりました。
ネットで見たレシピによると、使うアーモンドミルクはペスト状、又はミルクかシロップ。
私の住む北イタリアでは、ミルクかシロップしか見たことがありませんが、どれを選んだらいいのでしょう?
何事も初めが肝心。失敗したら、二度と飲みたいとは思わなくなっちゃうかも。

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サレント風カフェでレシピを検索すると、凍らせたアーモンドミルクにエスプレッソを注ぐというアレンジメニューがありました。
LAVAZZAのホームページに掲載されているこのカフェ、来年試してみようかな。

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今年で120周年を迎えたLAVAZZAですが、最近、街中のお店でスペシャル版缶入りカフェが並んでいるのを見かけました。

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お揃いで、カップもあるんだそうです。

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と言う訳で、まだ試せていない、サレント風カフェ。 二層になったカフェを本場で飲んでみたいです。


Grazie Segnalibroさん。
冷たいコーヒー飲んで頭がスッキリした気分です。
残念ながら、カフェ・コン・パンナは飲んでも涼しくならないよー。



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2015年9月10日木曜日

カンティネッタ

今日はカンティネッタの話。

カンティネッタとは、小さなカンティーナのこと。
カンティーナとはワインセラーのこと。
つまり、カンティネッタは小さなワインセラーのこと。

ワインラックタイプのほんとに小さなものから、

Cantinetta


ため息がでる冷蔵庫タイプの本格的なものまで、




そもそも、人はなぜカンティネッタが欲しくなるのか。 イタリアソムリエ協会長のジュゼッペ・ヴァッカリーニ氏は、カンティネッタとは、安売りで大量買いしたワインや特別な機会や客のために買い集めたワインを保存して、美味しく飲むためのもの、と回答しています。 なるほど、おっしゃる通り。

ちなみにカンティーナと言えるのはこんな感じ。
 ↓



もしレストランにこんなカンティーナがあったら見学したくもなります。

でも、気温を10~15℃に保って、車などの振動もなく、湿度も低い場所なんて、猛暑と大雨で苦しんでいる日本では無理。
2~3段の棚じゃ、下が白で一番上が熟成赤ワインなんてことも言ってられない。
取りあえず最低限の条件は、ワインを横向きに並べられてコルクが乾かない程度に首が下がる木製の棚。

DIYのワインラック



お手製でカッコいいワインラックを作ったら、目立つところに置いておきたくなるのは、ごもっとも。
でも、カンティネッタは、暗くて静かな場所に置かないとね。
納戸とか。

ところで、立派な棚や冷蔵庫があっても、問題は、そこに並んでいるワイン。
特に、コレンションするにはどんなワインがふさわしいか、イタリアソムリエ協会長さんが作ったリストが、あります。
これは来月の「総合解説」に載せますので、お楽しみに。


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“カンティネッタ”の記事の日本語訳は「総合解説」12/13年1月号に載っています。
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2015年9月7日月曜日

トリノのジェラートと猫カフェ

トリノの老舗カフェの話の時、ちっょとだけ触れた店、カフェ・フィオリオ。
ここは、あるものの発祥の店として知られています。

行列ができているのはジェラート売場。

Caffè Fiorio


この店、噂によると、食べ歩きのためのコーン入りジェラートを発明した店、なんだそうです。
でも、どうやら、コーンの発明者は別の人のよう。
店のwebページ(こちら)によると、正確には、女性がコーンに盛られたジェラートを食べ歩くのははしたない、と思われていた1930年代に、そのタブーを破るきっかけになったのが、この店のジェラートだった、という話でした。

この歴史のある店は、昔から上流階級や文化人たちのたまり場で、文化を発信する土壌ができていたんですねー。

この店が作り出した流行がトリノ市民に受け入れられて、晴れてイタリアの女性はコーンのジェラートを自由に食べ歩きできるようになったわけです。

ちなみに、カフェ文化が成熟しているトリノは、2014年にイタリアで最初に猫カフェができた街です。
ほぼ同時にもう一軒オープンして、現在は2軒の猫カフェがあるそうです。




話をコーンに戻します。
コーンにジェラートを盛り付ける動画。
 ↓



おまけの動画。
コーンジェラートのキングだそうです。
 ↓


コーンのジェラートには職人の心に火をつける何かがあるらしい。

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トリノの有名老舗カフェを紹介した記事、“ビチェリンetc.”は、「総合解説」
13/14年1月号に載っています。
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2015年9月3日木曜日

シェフとレモン


アマルフィのレモンの話をしていたら、無性に読みたくなった本がありました。

アマルフィ海岸の町、ミノーリで親の経営するバールを世界的なパスティッチェリーアにしたパスティッチェーレ、サルヴァトーレ・デ・リーゾの自伝的リチェッタ集、『ドルチ・デル・ソーレ』です。








現在はビジネスを世界中に広げているようです。




若い頃のお母さんの水着姿から、店の全スタッフとの集合写真まで、彼が愛するもののすべてを凝縮したこの本の主役は、アマルフィのレモンなんです。
読んでいると、アマルフィで食べたレモンのデリツィアの、うっとりと甘くて、まぶしい白さが蘇ってくるようです。

この本にも、アマルフィのレモンについての解説があります。
それによると、実も汁も皮もすべて利用するアマルフィのレモンは、地元のドルチェに欠かせない食材であるだけでなく、地元の大切な収入源となり、さらに海に面した絶壁の上にあるその段々畑は、アマルフィ海岸の景観を作り上げて多くの観光客を惹きつけています。
地形的要因から機械化ができず、シチリアのレモンのように大量生産されてはいないので、値段は高いし生産量も少ないのですが、なぜかイタリアのレモンい言えば、カンパーニアのレモンというイメージがあります。

この本には、レモンクリームのプロフィトロール、レモンのデリツィア、レモンのティラミスと、レモン味の美しいパスティッチェリーアのドルチェが次々登場します。
中でも気になったのが、1999年に考案された“カロリーナのババ”というオリジナルのドルチェです。

ババはご存知の通りナポリの名物ドルチェ。
酔っぱらうほどたっぷりとリキュールをしみこませたサヴァランです。
そのリキュールにリモンチェッロを使い、レモンクリームのジェラートを添えた1品。
カロリーナとは、モナコのカロリーヌ公女のこと。
彼女にささげられたドルチェなんですね。

もちろんリモンチェッロのリチェッタもあります。
ハロウィーンのケーキなんてのもありますねえ。
子供たちのために作ったんだろうなあ。

ついでに、食材についての造詣が深いカルロ・クラッコシェフは、レモンのことをどう考えているのかと思って、彼の本でレモンについて書いていないか探してみました。
すると、地方料理の本『A QUALCUNO PIACE CRACCO』に、ありました。
カンパーニア州の料理の最初の一品が、意外なことに、ソレント産レモンのカンディートでした。
彼によると、
「カンパーニアでは、イタリアで一番有名なレモンから一番美味しいレモンまで、様々なレモンが栽培されている。
たとえば、アマルフィのスフザートやソレントのオヴァーレなどだ。
カンパーニアはグランデ・パスティチェリーアの地で、レモンは様々な方法で用いられている。
一般的にはレモンは汁を使うが、最高の部位は皮だ。
なるべく新鮮なものがよく、ほろ苦さと適度な酸味、精油とあらゆる香りを含んでいる。
それは典型的なリストランテの味を作り出す香りでもある。
レモンのカンディートは時間があるときに必要に応じて作っておく基本の一つで、ドルチェ、料理の詰め物や付け合わせ、ブラザートの調味などに使う。
真空で数か月間保存もできる。

ちなみに、彼のレモンのカンディートはレモンを丸ごとシロップ煮にするので、作るのは一日がかりです。
さらに追加で、レモンの皮の黄色い部分を切り取った後の白い部分を使って作るマヨネーズのリチッタまで紹介しています。

レモンのカンディートの次に取り上げたカンパーニア料理はババです。
ババは彼の大好きなドルチェで、他のイタリアのドルチェ同様、夏によく合うと言っています。

ソレントのレモン
 ↓



アマルフィとはほんの少ししか離れていませんが、ずいぶん特徴の違うレモンができるんですね。
果汁はアマルフィのものよりやや酸味が強く、皮に精油がたっぷり含まれるので香りが強いのが特徴。
なので、リモンチェッロに一番多く使われているレモンはこの品種。



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“アマルフィのレモン”の記事の日本語訳は「総合解説」13/14年1月号に載っています。
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南チロルはドイツと南イタリアが融合した面白い地方。ワインの収穫後の新ワインを味わう時は、ご近所みんなでパーティー!

今日のお題は、アルト・アディジェの料理です。 イタリア最北の州、アルト・アディジェ、別名南チロルsud tirolは、海だけじゃなく、山もあるイタリア料理を象徴する地方。最近では、アルプスへの注目度も上がっています。 南チロルのトルゲレンの祭り。 下の動画のタイトルは、“ビギナー...