今月のグルメ紀行「パドヴァ」P.52では、この街の食文化の以外な一面を知ることが出来ます。
例えば、パドヴァ南部には馬を飼育する伝統があり、馬肉を出すトラットリアも多いんだそうです。
馬肉の料理の一例のスフィラッチは、馬のももの赤身肉の薄切りを15日間塩漬けにしてから約1ヶ月間天井から吊るしてスモークしたものを叩いて繊維をほぐしたもの。
馬肉を間違って長く干しすぎて硬くなってしまい、高級な肉なので捨てるわけにもいかず、叩いてほぐしたものをポレンタと一緒に食べたら美味しかったというのが誕生のきっかけ。
パドヴァの馬肉のサラミメーカー
パドヴァの珍しい家畜と言えば、ゴージャスな見た目の鶏、ガッリーナ・パドヴァーナ。
飼育数は2000匹足らずととても貴重なのに、外国からも注文が来て、最近の顧客は中東諸国だそうですよ。
もともとイタリアの土着品種ではなく、ポーランドから伝わった鶏です。
野菜なら、グルメ御用達食材のブルスカンドリ。
ホップの芽のベネトでの呼び方です。
ビゴリのブルスカンドリ入りカルボナーラ
さらに、パドヴァはイタリア最大のパタータ・ドルチェ、またはパタータ・アメリカーナ、つまりさつまいもの産地。
イタリアのパタータ・ドルチェは、日本でさつまいもの栽培が広まった18世紀より後の19世紀にイタリアで栽培されるようになりました。
最初に中米から伝わった時は、気候が合わなくて根付かなかったのです。
知ってるさつまいもとはちょっと違うかも。
マラスキーノのメーカーとして知られるルクサルドは、1821年創業で戦争によってベネチア近郊からパドヴァ地方に本拠地を移しました。
18世紀のカクテル文化の誕生とともに世界中に広まり、ルクサルドのマラスキーノはカクテルには欠かせないリキュールになりました。
『マニュアル・デル・バーマン』にも、
マラスカチェリーのリキュールマラスキーノは、イタリアの伝統的リキュールの1品として説明されています。
パドヴァって、アメリカのポテトも、マラスカチェリーも根付いちゃうし、ポーランドのゴージャスな鶏も育つ奇跡の気候なんですね。
さくらんぼをリキュールにするためには、グラッパ造りの伝統が活かされました。
ボトルは貴重なムラノガラス製だったので、こもで包むようになったそうです。
ルクサルドのマラスキーノのカクテル、飲みたくなってきた~。
ルクサルド・スプリッツ・ビアンコ
いやーパドヴァの食文化がこんなに面白いなんて、知らなかったなー。
紹介したい動画もっとあったけど、とりあえず、次回に続きます。
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“グルメ気候~パドヴァ”は「総合解説」2017年3/4月号P.52~に載っています。
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