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2025年8月25日月曜日

マルサラ。イギリス人が愛した酒精強化ワイン。

今日のお題はマルサラです。

マルサラは、アフリカとの結びつきが強い歴史のあるシチリア西部、トラ―パニ県の街。


マルサラの有名ワイナリー、フロリオ。


マルサラの歴史。



アフリカとの結びつきが強かったマルサラが、ある事件がきっかけに、イギリス人との強い結びつが生まれて、街の運命が変わりました。

マルサラワインとは。


マルサラはお馴染みのワインだけど、マルサラとは何か、という話になると、とても複雑。
話をする前に、最低限、マルサラが酒精強化ワインだということは知っておきたい。

そもそも、酒精強化ワイン(イタリア語ではvino liquoroso、英語ではfortified wine)とは、輸送のための長い航海の間、ワインの品質を保つために、ワインのアルコール度を高めたもの。具体的にはエチルアルコールや蒸留酒と砂糖を混ぜたものをワインに加えた。
こうして生まれた酒精強化ワイン。
マルサラの他に、ポート、シェリー、マデラなどが知られている。酒精強化の方法は様々。

酒精強化ワインとは。


ポート、マデラ、シェリーなど酒精強化ワイン。


シェリーは、アルコール度か高くて甘いワイン。アガサ・クリスティーのミステリーで、イギリスのご老人たちがこれらのお酒を家に常備して、みんなで大いに楽しんでいる姿を知って、私も年取ったら知り合いたちとたしなみたいなあ、なんて思っていました。イギリス人には欠かせないお酒のようですが、シェリーやポートを飲みながらご近所とおゃぺりして殺人事件を解決しちゃうイギリスのおばあちゃん、カッコいい~、飲んでるお酒もカッコいい~と、私にとっても、いわば憧れのお酒だったのです。

マルサラは樽で熟成した赤や白ワインに、エチルアルコールかワインの蒸留酒とモスト・コットか濃縮モストのブレンドを加えたもの。
ポルトガルのポルトは、伝統的には数種類の赤や白ぶどうを足で潰し、モストが発酵を始めてから数日後にエチルアルコールかブランデーを加える。これを樽やボトルで熟成させる。

アンダルシアでは、芳醇な香りで複雑なシェリー、またはへレスが造られている。干したぶどうを使い、発酵の過程でアルコールを加えて熟成させる。

マデラは生産地であるポルトガルの島の名前。赤より白が上質で、サトウキビ糖を加える。
酒精強化ワイン造りには、ソレラシステムが用いられている。soleras は地面に近いという意味

上段にある若いシェリーの樽から下段の古いシェリーを補填していくというもの。

ソレラシステム。



こうした複雑な過程を経て、あの美味しい酒精強化ワインが生まれるんですね。ここまででもかなり複雑ですが、さらにマルサラにはとても面白い歴史があります。
その話は次回。
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2025年8月19日火曜日

ミラノのレストラン、トレンド追求の速さと商売っ気の強さがすごいナイトライフの街。

今日のお題はミラノのレストランです。(CIR4月号)の記事の日本語訳は、p.29。
ミラノはイタリアの食のトレンドの発信地。2026年には冬季オリンピックを控えて、2022年時点で4600軒のレストランが開業準備中だそうです。移り変わりが速いなあ、とも感じますが、新しいものを取り入れる感性の敏感さと商売っ気がすごい街です。

この記事でインパクトが大きかったのはオマカセという店に、高級和牛を出すビーフバー。
アバンギャルドな姿と対照的な昔から変わらない姿が共存する街。

オマカセ

ビーフバー



日本で流行ってるものは、あっという間にミラノに入る。

ファッション地区の中のフェラガモ家のホテル、ポートレイトのオープニング。


ポートレイト・ミラノの朝食。イタリアン、アメリカン、アジアンと各種揃えてます。


カクテルが上手なバーテンダーことミクソロジストの店では質の高さが求められる。
人気のミクソロジスト、ルーカ・ヴェッツォーリのカクテルのポイントは、うま味。

ウマミカクテル


近くにプラダ財団があることからSouth of Prada(SouPra)スープラと呼ばれる地区。
この地区にある料理を出す小さくて野心的なカクテルバー、カナリア


ミラノを訪れた際には、スープラ地区でカクテルでもどうぞ。

プラダ財団



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2025年6月9日月曜日

雪遊びの後に温かい家に戻って飲むのはホットワイン。アルプスで飲んでみたいなあ。

(CIR)のピッツォッケリの記事をきっかけに、高山地帯の食生活をおさらいしましたが、次の記事は“雪遊びの後に温かい家で食べるチェーナです(汗)。都会の丘の上に住んでると、あまり体験できない状況だけど、なかなか興味深い料理が並んでいました。
まずは、ホットワインです。
はっきり言って、飲んだことないけど、どんなものか興味はある。

ヴィン・ブリュレはイタリア語ではヴィン・カルドvin caldo。
日本語のリチェッタはP.17。

冬山の飲み物の割には柑橘果実入りという、冬山で柑橘果実というのは冷静に考えるとなかなかのご馳走。
上の動画はみかん2個の皮のすりおろし、皮をむいたみかん1個の実、クローブ5個を刺したみかん1個、レモン1個の皮のすりおろし、半分に切ったレモン1個、シナモン1本、長さ3㎝に切って皮をむいて半分に切ったしょうが、砂糖150g、赤ワイン2本を弱火で熱して濾す。
(CIR)のリチェッタは仕上げにキルシュでフランベします。

冬山に暮らす人が海辺のシチリア人に嫉妬に満ちて勧めるホットワイン。

まず必用なのはフルボディーの赤ワイン。彼が選んだのは地元トレンティーノ・アルト・アディジェ(スッドチロル)のテロルデゴ。さらにレモンとオレンジの皮、ナツメグ、スターアニス、クローブ、シナモンスティック、黒こしょう、これらを鍋に入れ熱し、フランベしてアルコール分を飛ばし、濾してカップに注ぎます。
ちょっと震えながらヴィン・ブリュレをズズっとすすると温まって、思わずニコっと笑っちゃうよね。

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2025年4月24日木曜日

ベネチアを占領したハプスブルグ家のアルコールに弱い兵士のために考え出されたアペロール。諸説あり。

今日のお題は“スプリッツ”です。

国際バーテンダー協会の名誉会長、ウンベルト・カゼッリのカクテルの本、『マニュアル・デル・バーマン』によると、スプリッツ・ヴェネチアーノSpritz Venezianoはスパークリング・カクテルの一種。
リチェッタは、
プロセッコ・・6cl
アペロール・・4cl
炭酸水・・一振り
オレンジの輪切り・・1/2枚
グラス・・オールドファッション

・氷で満たしたオールド・ファッショングラスに材料を入れ、炭酸水を振りかけてオレンジの輪切りで飾る。

とあり、解説にはヴェネチア人に人気のアペリティーヴォとあります。「カンポ・サンタ・マルゲリータか観光客が多い地区から離れたフラーリ地区で味わうのが最高だが、この地区に行くには学生やバーやオステリアに行こうとする人たちの後をついていくとよい」
「スプリッツのルーツについては諸説あり、ハプスブルグ家がベネチアを占領していた時期の発明で、地区によって、アマーロが軽いバージョン、スパークリングワインではなくスティルワインを加えるなど様々なバリエーションが考え出された。国際バーテンダー協会の2012年のリチェッタは、バランスの取れたものになっている。オステリアのカウンターでつまみやストリートフードと一緒に味わうのに最適で、現在のハッピーアワーに前身のような飲み物」、とあります。
そういえば、初めてベネチアでチケッティ巡りをした時、やたら学生で溢れている賑やかな店に迷い込んでしまい、若者のパワーにおびえて注文もできずに小さくなっていたことを思い出しました。

カンポ・サンタ・マルゲリータ

バジリカータ・デイ・フラーリ地区


べネチアのスプリッツ

チケッティには最適の飲み物のようです。

ここで思い出しました。そもそも、(CIR2023年1月号)の最初のリチェッタ、パドヴァ風サンドイッチの話をするのでした。

サンドイッチはベネチアのオステリアの定番のつまみ。

リアルトのバールのサンドイッチ。

ますますベネチアが好きになる・・・。

そうなのです。パドヴァ風サンドイッチの話をする前に、ベネチアのサンドイッチの話を知っておく必要があったのです。
スプリッツもサンドイッチに組み合わせます。


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2025年4月23日水曜日

甘くて軽いアペロール、苦くて濃厚なカンパリ。


今日のお題はパルマ。
そしてパルマ産の世界的知名度があるリキュール、アペロールaperol。

アペロール

1919年にバルビエリ兄弟が父親から受け継いだリキュール会社で作りだしたビター系のリキュール。兄弟は肺炎の治療のために山に行き、ハーブを収集してパドヴァに戻り、軽くて喉の渇きを癒すリキュールを作りだした。フランスで食前酒(アペリティフ)をアペロール呼ぶことを知り、その名をつけました。そしてアペロールは食前酒のシンボルとして広まります。

色はよく似ているアペロールとカンパリ。
味は、甘くて軽いアペロールに対して、苦くて濃厚なカンパリ。
イタリアの赤いビターには、ルクサルドもあります。
カンパリオレンジは苦い、と思っている私にはピッタリかも。今までカンパリ派でしたが、かなりアペロール派になってます。


そして1920年代にバール・デイ・オゼイのサンドイッチに添えるものとしてスプリッツが考え出され世界的に大ヒットします。

パドヴァのスプリッツ。

ルナパークが映るこの動画を見て、初めてパドヴァに行った時、ルナパークの近くのホテルに泊まったことを思い出しました。とても幻想的な雰囲気で、賑やかなのに、リッチで落ち着いた街の雰囲気に溶け込んでいました。
アペロールを最初に受け入れたのはパドヴァ。ベネチアに近いパドヴァには、ベネチアのカフェ文化やバー文化が定着していました。やがてカンパリグループがアペロールを買収し、世界に向けて広まっていきます。

バール・デイ・オゼイ

どうやらスプリッツのルーツに関しては、ベネチアとパドヴァはライバル同士のよう。


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2025年4月22日火曜日

大学やジョットの傑作で知られる街、パドヴァ

今日から(CIR2023年1月号)の話です。
1月のリチェッタ、1品めは“パドヴァ風サンドイッチ”。
日本語のリチェッタは、P.2です。
パドヴァはベネト州の街。ベネチアの西、約30分離れた場所にあります。

パドヴァは、芸術がイタリアで最初に花開いたと言われる街。パドヴァ大学はイタリアで2番目に古い大学、ヨーロッパ最古の植物園で世界遺産のオルト・ボタニコ、ジョットの最高傑作のフレスコ画など、世界的に有名な見どころはたくさんあります。



パドヴァ大学

オルト・ボタニコ

パドヴァのスクロヴェー二礼拝堂のフレスコ画

サローネ・デイ・サポーリという食のイベントも開催して、パドヴァの食を積極的にアピールしています。

パドヴァの産物

街としては有名ですが、食の分野では、何があるでしょう。

パドヴァはアペロール誕生の地。

アペロールはプロセッコとアペロールがベースのアペリティーヴォ、スプリッツで世界中に知られるようになりました。

スプリッツ


スプリッツの話は、パドヴァの食文化の話につながっていきます。
続きは次回。

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2025年2月13日木曜日

地中海式食生活のベースは、小麦のパンとパスタじゃなくて、大麦(オルゾ)とファッロだった。大麦は人類が最初に栽培した穀物。ヒポクラテスはその薬効も信じていた。


小麦の話をしようとしたら、小麦、大麦、硬質小麦、軟質小麦、古代小麦と、基礎情報が欠如していることを痛感しましたが、幅広い小麦の話をするには、もう少しのんびり取り組む必要がありそうです。
そもそも、地中海式食生活は小麦のパンとパスタがベースと考えがちですが、実際には大麦(オルゾorzo)やファッロが何世紀にも渡って、イタリアの農民にとっては大切な炭水化物源でした。
オルゾについて、2012年11月号の総合解説(旧CIR)の記事にはこうあります。

「小麦はもとも高貴な穀物で、第二次世界大戦後、他のマイナーな穀物に取って代わっていった。その結果、オルゾはイタリアの食生活から消えていった。わずかに90年代に入って生まれた、特殊な食材の価値を見直す文化活動によって、マイナーな穀物にも光が当たり、栄養価や味が再注目されるようになった。

現在オルゾは地中海式食生活の重要な食材の一つとしてその価値が評価されている。またグリセミック指数が最も低い、つまり血糖値が上がりにくいでんぷん質ということも知られている。つまりオルゾがベースの食事をすると、新陳代謝が刺激されて脂肪の中の糖質が蓄積されるのを選らすことができる。これにより空腹を感じにくくなり、昼食後のインスリン分泌による眠気を軽くすることができる。
オルゾは水溶性繊維質、特にベータグルカンを多く含む。この食物繊維は腸を移動するときに粘膜を傷つけないという特性がある。発酵の過程で結腸の腫瘍を予防する働きもある。オルゾのベータグルカンの最大の利点は、心臓脈管系のリスクを減らすことにある。オルゾは煮ると大量に水分を吸って膨らむ。そのため低カロリーのダイエット食にもなる。
オルゾのたんぱく質は、他の穀物と同様、豆類と補完関係にある。オルゾ入りの豆のスープは、たんぱく質のバランスが取れたピアット・ウニコとなる。

オルゾといんげん豆のミネストラ

オルゾは皮がむけやすいハダカムギと呼ばれる品種の大麦だ。ミネラルとビタミンB群が豊富でとてもヘルシーな食材だが、このことは昔から知られていた。
 ヒポクラテスは、紀元前5世紀に、オルゾは頭にも体にもよいと考えて、抗炎症効果のある煎じ薬として使っていた。
食べ物としてオルゾを使った歴史はもっと古く、人間の歴史と強く結びついている。人類が紀元前9000~10000年頃、最初に栽培した穀物は大麦だった。最古の痕跡は、肥沃な三日月地帯(メソポタミア)で見つかっている。誕生した地は現在でも野生種が存在しているエチオピアだと考えられている」

2012年頃は、オルゾに関するこんな専門的で詳しい記事がちらほらありました。それが今ではまったく見なくなりました。

オルゾOrzoの栽培

確か昔には大麦のコーヒーなんかがあった気が・・・。19世紀、オルゾはコーヒーの代用品でした。ホテルなんかでも出していました。この習慣は第二次大戦後まで続いた。その後長い間忘れ去られていたが、最近になって再び市場に登場してきている。
さらにこの古い穀物は新しい食物として、あるいは現代病のメタボリック対策に有効な食べ物として見直されるようになった。

オルゾのコーヒー

ギリシャでは大麦のパンとポレンタはとても人気があり、食生活の基本だった。しかし、ローマ人は大麦を主に家畜の餌やグラディエーターや奴隷の食料にしたり、煎じ薬として使った。やがてもっと精製ができてパンに適する小麦が大麦に取って代わった。

参考にした旧総合解説2012年11月号

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2024年9月5日木曜日

今月のテーマは「敬意を持って食べる」、つまり環境への負荷が小さい旬のものを廃棄が出ないように使う、ということ。

今日から(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)2022年5月号の解説です。
今月の料理のテーマは、「敬意を持って食べる」。つまり、“環境への負荷の小さい旬のものを廃棄が出ないように使う”ということです。この種のおばあちゃんの知恵袋のようなことは、ヨーロッパの人は大好きなよう。今さら言われなくても感ありますが、サステナブルの次は、これか。ちなみにイタリア語で言うと“mangiare con rispetto”。
そして記事にはそれが分かるような料理が続きます。

前菜の1品目は、“イワシのオーブン焼きのジュニパー、ミルト、しょうが風味”(P.2)

ジュニパーとミルトは地中海を象徴する植物です。
しようがは今さら何も言う必要がない和食の食材。地中海の低木としょうがでマリネしたイワシは、どんな味なんでしょうねえ。

ジュニパー

地中海のジュニパー


ジュニパーはジンの原料

自家製ジン
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そしてミルトは地中海東部やサルデーニャに普及した常緑樹。その強い香りはサルデーニャの象徴。サルデーニャでは肉料理を中心にあらゆる料理に使われています。小さな実からはリキュールが造られています。実の収穫は冬の12月~1月。リキュールには赤と白があって、赤が一般的。冷凍庫から出したてをストレートで食後酒として飲みます。

ミルトの花

ミルトのリキュール

オーソドックスなアンチョビのマリネ

リチェッタでは、しょうがのすりおろし、細かく砕いたミルトの葉、潰したジュニパーベリー、オリーブオイルで2時間マリネします。そしてパン粉を散らしてオーブンで焼きます。ソースはグレープフルーツの汁、油、塩を乳化させたもの。付け合わせはソースにも使ったグレープフルーツとフィノッキオ。
地中海と和という高度なハイブリッド。

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ミラノ風スパゲッティとヴァッレ・イサルコのワイン

ミラノ風スパゲッティについて、イタリア料理としてありえない、という話を強調しましたが、あえてスパゲッティにミラノ風という名前をつけたいなら、サフランを使うことはお約束。またはミラノ名産のマスカルポーネを使うのもありかも。 サフランのパスタ マスカルポール、グリーンピース、ハムのパ...