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2025年11月8日土曜日

プーリアのロングパスタ・パスタ・フレスカ、トロッコリ。

(CIR)6月号の話に戻ります。
6月号のリチェッタは、《南イタリアの料理》というテーマでした。
アンチョビソースとレモンのスパゲッティあたりから、ちょっと横道にそれて、シチリアの話になっちゃいましたが、今月のパスタは、メッゼ・マニケ、フジッロ―二など、なかなか面白いパスタを使ってます。

ランドゥーヤとペコリーノのメッゼ・マニケ。

パプリカのクリームとリコッタ・サラータのフジッロ―二。

フジッロ―二は大きなフジッリという意味のパスタ。扱いが難しそうで家庭料理ではあまり見かけませんが、なぜかシェフには人気で、オリジナルのレシピは時々見ます。料理人のセンスが出せるパスタ。ロングでもショートでもないパスタの1つです。
さらに、パプリカのクリームと言えば、今月の(CIR)のパスタに、“パプリカクリーム、タコ、フリゼッラのトロッコリ”という個性的なリチェッタがありました。写真と日本語のリチェッタはP.6。
トロッコリとタコがヒント。これはプーリアのパスタです。

プーリアと言えばオレッキエッテが有名ですが、これはロングパスタです。さらにパスタ・フレスカ。乾麺ではなく生麺。セモリナ粉と水の、直径3㎜程度の生地。祝日に作るリッチなソースが合うパスタです。麺をカットする道具、トロッコロが名前の由来。

プーリアのトロッコリ。

ちなみにプーリア料理のベースは穀物、オリーブオイル、野菜。セモリナ粉は、パンに使って他の地方にはない傑作を生みだしています。
ロングパスタと言えば、もちろんスパゲッティ。これはプーリア版の田舎風スパゲッティ。素朴さが特徴。硬質小麦粉を使います。
パスタ・フレスカのベースは軟質小麦粉の生地を板状に伸ばしたもの。これで具を包む詰め物パスタにするのが一般的。乾麺には硬質小麦粉を使います。加工がしやすい軟質小麦粉のパスタは北イタリアのパスタとして発展しました。硬質小麦を生麺にするのは、硬質小麦粉の産地、プーリアならでは。ついでなのでイタリア各地のロング・パスタを見てみます。
道具を使って細くカットする麺は、例えばアブルツォのキタッラ、もちろん基本は手でカットするタリアテッレ。

トルキオで押し出すベネトのビーゴリなど。

軟質小麦粉のピチもスパゲッティに例えられます。
トスカーナのピチ。

タコ、パプリカマリーム、フリゼッラのトロッコリ

改めて動画で見ると、すごくプーリアなパスタ。

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スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』
【地方料理、シリーズ】
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(CIR)は毎月日本語に翻訳している力作です。イタリア発の地方料理の情報は、昔の有名書籍が売り切れて入手困難になっている昨今ではとても貴重です。
さらに、イタリアの情報はとても詳細。観光の役に立ちます。
私のイタリア料理の知識は、すべて長年読み込んでいるこの本から得たものです。
価格は1冊\900(税・送料込)、1年12冊の定期購読だと15%引きの\9200(税・送料込)になります。紙版と、ネット上にupするPDF版があります。PDF版の価格は\800/号、定期購読は\7700/1年12冊です。
現在、2023年の号を販売中です。それ以前の号と、旧総合解説はシステムの変更のため販売を終了しました。
現在販売中の定期購読は2023年版。
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2025年10月22日水曜日

北と南、山と海のイタリア料理。

北イタリアの、代表的なイタリア料理、1品目はフォンドゥータでした。
この料理は、イタリア料理を構成する海と山の料理のうち、山の料理に属するもの。
正確には、あまり低い山ではなく、標高4000mなどの山もある高山地帯、アルプスです。
地中海とアルプスは、北と南イタリアを象徴する地理。
北イタリアは、この高い山のおかげで、厳しい気候と痩せた土地、物流が困難という3重苦に苦しめられ、日常の食事にも制限がある地方。
でも、谷ごとにわずかな材料で作る本質的で個性的な人間と自然の結びつきを象徴する料理が誕生しました。
きのうはヴアッレダオスのチーズ、フォンティーナの話でしたが、山の民は大部分が牛を飼育して暮らしていました。まれに山羊も飼いました。そして牛のミルクからバターやチーズ、リコッタを作りました。牛は肉用ではなく、ミルク用でした。チーズは売って現金収入にしました。

酪農業は近隣国の影響を受けています。
現在高山地帯で盛んに飼育されているブルーナ・アルピーナという品種は、スイスのシュウィーツという州の品種。
スイスのエンガディン地方のパティシエは、まずベネチアに移り住み、そこからイタリア各地に散らばっていき、ジェラートなどを広めました。
16世紀初めのベルガモの羊飼いはレンネットの使用方法をスイス西部の牛飼いから学んで高山地帯全域に広め、ヴァッレダオスタではフォンティーナが生まれます。

放牧から帰るスイスの乳牛。



ブルーナ・アルピーナの手作業の乳搾り。

これはスイスの風景ですが、北イタリアにも共通のイメージ。

山の料理の代表は、ポレンタですが、とうもろこしが新世界から北イタリアの渓谷に届いたのは18世紀半ばのこと。

北イタリアのポレンタ。

とうもろこしの栽培は山の食生活を根本から変え、古い穀物のお粥が消えます。
18世紀には南米からじゃがいもが伝わります。寒さに強く、冬も長期間保存できて、山の土壌に適応したじゃがいもは、山の上でもっとも栽培量の多い野菜になります。
じゃがいもは、伝わった当初、ハンセン病を引き起こしたため豚の餌とされます。しかし、度重なる飢饉、特に1815年の大飢饉では山の住民を飢えから救います。
高地で一番普及している穀物はライムギです。

このように慣れ親しんでいるイタリア料理とはかなり違うけど、これも立派なイタリア料理。新しい本は毎週末に紹介していますが、その中の一部を紹介。

スローフードの本に海と山の料理がテーマの本がありました。

南イタリアがテーマの本、『スッド・グランデ・クチーナ』
夏と海の料理、『ブルー・リチェッテ・ディ・エスタータ・イタリアーナ』

山の料理『クチーナ・ディ・モンターニャ』

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毎週末は新書籍の紹介です


new『スッド・グランデ・クチーナ(南伊・山・海)』

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2025年10月16日木曜日

ロングやショートという分類に入らないパスタ。

ショートパスタについて、
スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・エ・スーゴ』から、ロングパスタとショートパスタという分類に入らないパスタがある、ということまで説明しました。
例えば、ルマーケ、トルティリオーニ、フジッリ、コンキリエなどです。

ルマーケ



トルティリオ―二



コンキリオ―二


ショートパスタ各種



(CIR5月号)のリチェッタの中にもショートパスタのリチェッタがあります。例えば“パスタ・パターテ・ブローヴォラ”。リチェッタの日本語訳はP.7。
パスタ・パターテ・エ・ブローヴォラはナポリのパスタ。
この話は次回。

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2025年10月15日水曜日

ショートパスタ

昨日紹介したアルベルト・ジッポー二シェフの料理は、かなり衝撃的でした。さらに彼を紹介したユーチューバーたちも、料理の表現の仕方がとても専門的で知的で、びっくりしました。シェフも客も、イタリアにはなんて高度な美食文化があるのか。TVで溢れる美味しいと叫ぶことでしか料理を表現できない芸人のみなさまのグルメリポートとは大違いです。
ジッポー二シェフのイタリアの食文化のベースを水と小麦粉、つまりパスタだという彼の考えにも魅せられました。特に彼の得意料理、牡蠣のリゾーニ。
リチェッタは(CIR5月号)にも載っています。
リゾーニは米の形のパスタです。同タイプのパスタには大麦形のオルゾというパスタもあります。普通はサラダやスープの浮き身などに使うのが一般的です。

オルゾ。

リゾーニ。


スローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パスタ・エ・スーゴ
によると、
パスタにはスパゲッティに代表されるパスタ・ルンガpasta lunga(ロングパスタ)と、パスタ・コルタpasta corta(ショートパスタ)があります。リソーニもこのタイプのパスタでしょうか。
昔は、ショートパスタはロングパスタを辛抱強く折って作っていました。
ちなみに、パスタを折るという行為には、ナポリのかなり昔のパスタ、イタリアのおばあちゃんたちがかたくなに守り伝えている伝統というイメージがあります。
やがて生パスタのカッターが発明されて、大量生産されるようになります。
イタリアのパスタは、その形に最適のソースとの組み合わせが考え出されてきました。
ショートパスタは大きく3つに分類されます。

pasta corta a taglio dritto liscia
pasta corta a taglio dritto rigata
pasta corta a taglio obliquo liscia e rigata  

まっすぐカットする/pasta corta a taglio dritto lisciaにはトゥベッティ、ディタリーニ(直径5㎜、長さ8㎜)グラミーニャ(直径3~4㎜、長さ4~5㎜)、セダネッティ(直径4~6㎜、長さ4~5㎜)などあります。
pasta corta a taglio dritto rigataは筋付きのパスタ。リガトーニなどがあります。
pasta corta a taglio obliquo liscia e rigata はもっとも一般的。ペンネなど。


プーリアのムール貝のトゥベッティ。



ディタリーニ


あくまでもほんの一部ですが、ショートパスタの世界はかなりバリエーション豊かです。
長いと短いという分類には入らないパスタもあります。米や大麦を模したリゾーニやオルゾもこのタイプ。

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2025年10月11日土曜日

イタリアの地方料理解説:北西部4、フォンドゥータ

複雑なイタリアの地方料理をコンパクトに分類し、写真を多用して見やすく伝える『ティピコ・イタリアーノ』。
“典型的なイタリア料理”に選んだ最初の料理は、“フォンドゥータ”。パスタやピッツァと同じく、世界中に広く普及したイタリア料理の傑作です。
イタリアではヴァッレ・ダオスタの料理として知られていますが、世界的にはスイスの料理として有名。
歴史的な資料を根拠にすると、発祥地はスイスのジュネーブと言われています。スイスからトリノに伝わる過程でスイス料理がイタリア風になり、さらにヴァッレ・ダオスタに伝わって、ヴァッレ・ダオスタで一番有名な銘産品、フォンティーナを使ったヴァッレ・ダオスタ料理になりました。

スイスのチーズ・フォンデュー。




ヴァッレ・ダオスタのフォンティーナ。
これを使っているからヴァッレ・ダオスタ料理、ひいてはイタリア料理と胸を張れる。




ヴァッレ・ダオスタのフォンドゥータは、糸を引いてもダマがあってもだめ。滑らかでクリーミーに溶かすのが正解。リチェッタはシンプルでも厳密な調理方法と材料が求められる料理。
フォンティーナは牛の1回の搾乳分のミルクから作る脂肪分の多いセミハードチーズ。熟成期間は最低3ヵ月。

フォンティーナはペッツァータ・ロッサやペッツァ―タ・ネラ種の牛乳から作る。
放牧がおこなわれるのは、伝統的に6月15日のサン・ベルナルドの祝日から9月29日のサン・ミケーレの祝日の間。



牛が放牧地へ行くために渓谷を登り始める日はデザルタというお祭り。
羊の移牧とは違うすごい迫力。



イタリア北西部は乳牛と共に生きている地方なんですね。


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シチリア』、『ローマとラツィオ』、『トスカーナ』、『ミラノ
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2025年10月10日金曜日

イタリアの地方料理解説:北西部3、フォンドゥータ

『ティピコ・イタリアーノ』のイタリアを5つに分けた地方料理解説から、イタリアを代表する料理の紹介、1品めは、北西部を代表する料理です。
そのイタリア料理はヴァッレ・ダオスタの“フォンドゥータfonduta”。

フォンドゥータ・ヴァルドスターナ。





本のリチェッタ
材料/4人分
フォンティーナ・ヴァルドスターナ・・350g
牛乳・・1カップ
室温の新鮮な卵黄・・4個
バター・・30g
白こしょう
付け合わせ・・トーストしたパンの小角切り

・フォンティーナの皮を取り、薄く切ってボールに入れる。
・牛乳でひたひたに覆い、ボールに覆いをする。4~5時間から一晩休ませる。
・卵黄を半分に割った殻に入れて卵白を取り除く。
・底の厚い丸い鍋にバターを溶かし、水気を切ったフォンティーナと牛乳大さじ3~4を加える。小麦粉大さじ1/2を加えると作業しやすくなる。
・鍋を熱い湯煎にかけて湯を軽く沸騰させながらホイッパーで混ぜる。
・フォンティーナが完全に溶けるまでかき混ぜ、最初の卵黄を加えて強く混ぜ込む。残りの卵黄も1個ずつ同様に混ぜ込む。この状態のフォンドゥータは、糸を引くチーズの塊りではなく、なめらかで均一なクリーム。
・火から下して白こしょうを加える。一人用の小さな浅鍋かテーブルの中央に置いた1個の浅鍋に入れ、トーストしたパンを添えて熱々をすぐにサーブする。
※ニョッキやポレンタ、ほうれん草やカルドンのスフォルマ―トにかけても美味しい。

フォンドゥータはピエモンテやスイスにも普及している。起源ははっきりしていないが、ブリア・サヴァランはこの料理はジュネーブで考え出されたと主張していた。これはつまりスイス発祥説。カヴール家で生まれたというピエモンテ発祥説もある。
カロリーがあり、寒い冬にぴったりの料理。フォンドゥータは固まってはいけない。60℃以上にせずにかき混ぜ続けるのがポイント。






次回は鍋の話の予定

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イタリアの新しいマスター・オブ・ワインが選ぶコンテンポラリーな赤ワイン。

イタリアの新しいマスター・オブ・ワイン、アンドレア・ロナルディが提案するPinosophyの概念。イタリアの食の分野のカリスマたちは、深い哲学への造詣がある人が多く、言ってることの意味が分かるまで、かなり苦労します。マスター・オブ・ワインも例外ではありません。なので、それなりにか...