ブイヤベース方式だったのです。
ブイヤベースはフランスのズッパ・ディ・ペッシェ。
マルセイユの名物料理で、各種の地元の魚をごった煮にした漁師料理。
スープと魚を別にして、魚とは別にサーブします。
このスタイルで、あのカサゴのグアッゼットも、魚各種と貝各種、じゃがいも、トマトを煮て、スープをムーランで漉しているのです。
こうすると、赤く色づいた濃度のある魚のスープになります。
このままパスタにも合いそう。
上に焼いたカサゴの切り身やムール貝をのせても沈まないので、魚のスープのごちゃごちゃ感がなく、カサゴは皮をカリッと焼いているので、香ばしさもアップ。
マルセイユのブイヤベース
アブルッツォのテーラモのブロデット(ズッパ・ディ・ペッシェ)
地元の魚や野菜を使う以外は、ほぼ一緒です。
ズッパ・ディ・ペッシェはアドリア海沿岸の名物料理というわけで、アドリア海と言えば、アドリア海の真珠とも呼ばれたベネチア。
ベネチアと言えば、ハリーズ・バー。
この世界的有名店は、自伝的本『ハリーズ・バー』
にすべてを書き残しています。
第4章、ズッパとヴェッルタータ
は、ジュゼッペ・チプリアーニのこんな告白で始まります。
私は子供の頃からミネストラが嫌いだった。
唯一の例外がヴェローナ叔母さんのファッロのミネストローネだった。
叔母さんはカッターは使わず、野菜を全部手で、人間の速さで刻んだ。
私は、違いはここにあったと思っている。
ここに個性が生まれた。
ミネストラは野菜の価値を引き出すには理想的な料理だ。
個人的には小麦粉で濃くしたミネストラは好きではない。
ハリーズ・バーの野菜のミストラは、じゃがいもを少量加えたクリーミーでデリケートなミネストラだ。
ハリーズ・バーには、嫌いと言う割には意外なほど各種のズッパやヴェッルタータ(とろみのあるスープ)があったようで、本のリチェッタの中には、ズッパ・ディ・ペッシェも、ありました。
訳してみます。
ZUPPA DI PESCEズッパ・ディ・ペッシェ
ズッパ・ディ・ペッシェは村や海ごとに個性があり、州によって違うイタリア料理の縮図のような料理だ。
ハリーズ・バーのズッパ・ディ・ペッシェは、フランスのブイヤベースとのアレンジ。
サフラン風味でベネチアの魚を使ったとても軽いスープで、魚だけでなく野菜もたっぷり使っている。
ストラビンスキーのお気に入りの料理だった。
材料/6人分
オリーブオイル・・50ml
セロリのジュリエンヌ・・2本
玉ねぎのジュリエンヌ・・2個
ジュリエンヌにおろしたにんじん・・1本
皮をむいてジュリエンヌに切ったトマト・・1個
小麦粉・・40g+魚の打ち粉
白ワイン・・1カップ
ブロード・ディ・ペッシェ・・2L
カイエンヌ・ペッパー
白身魚2種類・・500gが2尾、または長さ1.5cmに切ったカサゴ、アンコウ、ヒラメ
殻をむいて3つに切ったエビ・・150g
刻んだアンチョビ・・2枚
ローズマリーのみじん切り・・1枝
イタリアンパセリのみじん切り・・3房
にんにくのみじん切り・・1かけ
ローリエ・・1、2枚
粗挽きこしょう、塩
・深さのあるフライパンに油大さじ2を弱火で熱し、セロリ、玉ねぎ、にんじんを加えてしんなり炒める(約5分)。
・トマトを加えて1分煮る。
・小麦粉を加えて2分煮る。
・ワインを加えてアルコール分を飛ばし、かき混ぜながら2~3分煮る。
・ブロード・ディ・ペッシェを熱し、サフランを溶く。野菜、ローリエ1枚、カイエンヌペッパー少々、塩、こしょうを加えて沸騰させる。
・蓋をずらしてのせて火を弱め、20分煮る。
・魚に小麦粉を軽くふりかけて塩、こしょうし、余分な粉を落としてエビと一緒にフライパンを揺すりながら油大さじ2で2~3分焼く。
・シートに取って油を切り、ズッパに加える。
・ソテーパンに油大さじ3、アンチョビ、ローズマリー、イタリアンパセリ、にんにくを入れてにんにくが焦げないように弱火で2~3分熱する。
・香りをつけたこの油をズッパにかける。味を整えてすぐにサーブする。
※とろみのあるスープは嫌いと言う割には、小麦粉でしっかり濃度をつけています。
料理の写真はこちら
トッピングのクロスティーニやブロード・ディ・ペッシェなど、リチェッタは切りがないので今日はここまで。
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「総合解説」
『ハリーズ・バー』
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