『ガンベロ・ロッソ』の記事の解説です。
映画の世界では『おくりびと』がオスカーを獲った!と盛り上がっていますが、イタリアワインの世界にも、“オスカー”と呼ばれる賞があるんですねー。
それは、ガンベロ・ロッソのワインのガイドブック、『アルマナッコ・デル・ベーレベネ』で、品質と価格のバランスに優れたワインに与えられる称号です。
ガンベロ・ロッソは『ヴィーニ・ディ・イタリア』というワインの格付け本で知られていますが、もう1冊、『アルマナッコ・デル・ベーレベネ』というのも出しています。
これは8ユーロ以下のワインだけを集めた本で、いわば「安くておいしいワイン」のガイドブック。
8ユーロと言うと、'09年2月25日現在の為替相場で、約1000円。
2日前の相場だともっと安くて、約960円!
これだけ円高になる前でも1150円ぐらい。
本で取り上げているこれらのワインは4000種類以上。
その中からオスカーに選ばれるのは600種類以上。
そしてさらに、毎年ベストカンティーナとベストワインが選ばれます。
2008年版の『ベーレベネ』でベスト赤ワインに選ばれたのは、プーリアのワインでした。
ピルーナ Pilùna 2006
こちらのサイトでは、2007年のヴィンテージが6.25ユーロ。
約780円!
造り手は、カステッロ・モナチ(モーナチ) Castello Monaci 。
hpはこちら。
長靴形のイタリアのヒール部分あたり、サリチェ・サレンティーノにあります。
カステッロ・モナチは、年間総生産量が220万本で、75%が輸出向け。
グルッポ・イタリアーノ・ヴィーニのメンバーだというのだから、しっかりした大手なんですね。
グルッポ・イタリアーノ・ヴィーニというのは、イタリアワインの有名ブランド15社が統合した大企業。
他にどんなブランドが加わっているかと言うと、
フォロナーリ、メリーニ、ビジ、ラピタラ、マキャヴェッリ、ニーノ・ネグリ、ランベルティなど。
詳しくはこちら。
何年か前の決算報告では、カステッロ・モナチは順調に売り上げを伸ばしていて、『ガンベロ・ロッソ』が言うように「プーリアで注目のカンティーナの一つ」のようです。
ピルーナは、プリミティーヴォ・サレンティーノIGT。
“ピルーナ”とは、ギリシャ語で「凝灰岩の壺」という意味なんだそうです。
この地方の土壌を象徴的に言い表した名前ですね。
ぶどうはプリミティーヴォ100%。
エノロゴのフランチェスコ・バルディ氏によると、マロラクティック発酵まではタンクで行い、その後25%だけを短期間バリックに通しています。
そして仕上げに全部をタンクで熟成。
『ガンベロ・ロッソ』の評価によると、2006年のピルーナは、
伝統と現代性がきれいに溶け合ったワイン 澄んだルビーレッド色 熟した果実の香り 甘いスパイスの軽い気配 広がりのある汚れのない味 なめらかで心地よい味 |
なんだそうです。
なんだか、イタリアで買えば800円のワインだということを忘れてしまいそうですねえ。
2008年版『ベーレベネ』赤ワイン部門で2位になったのは、プーリアから一転して北のアルト・アディジェのワイン。
アルト・アディジェ・サンタ・マッダレーナ・クラッシコ A.A.Santa Maddarena Cl. 2006
カンティーナ・プロドゥットーリ・ボルツァーノ(hp)のワインです。
こちらのサイトでは2007年が7.9ユーロ。
少し前まではもっぱらドイツ向けで、イタリアの市場は関心も示さなかったというアルト・アディジェの赤ワイン。
今ではドイツよりイタリアでよく売れているんだとか。
3位はサルデーニャのワイン。
カンノナウ・ディ・サルデーニャ・ヴィーニャ・イザッレ Cannonau di Sardegna Vigna Isalle 2006
造り手はカンティーナ・ソチャーレ・ドルガーリ(hp)。
こちらのサイトでは6.2ユーロ。
生産量の75%がサルデーニャで消費されていて、輸出はごくわずか。
オスカーワインの話、次回に続きます。
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2007年11月号
“オスカー2008”の解説は、「総合解説」'06&'07年11月号、P.37に載っています。
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